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マンションを売却する前に、相場を把握しておくことは重要です。マンションの売却の成功とは一般に「できるだけ高く売却すること」ですが、マンションの価格には絶対的な基準があるわけではありません。つまり、「5,000万円で売れたから成功した!」といったことはなく、「相場よりも高く売却できた」といった場合に成功だといえるのです。

さらに、マンションを相場より高く売却するためには、質の良い不動産会社・営業担当者を見抜く必要もあります。

そこでこの記事では、マンション売却の相場を調べる方法と、マンションをできるだけ高く売却するコツを紹介します。

相場を把握する方法を知り、高く売却するコツを実践できれば、マンション売却を成功に導けるはずです。

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この記事に記載の情報は2023年10月03日時点のものです

2020年のマンションの価格相場動向

マンション売却の相場への理解を深めるために、まずは日本全体で2020年現在、マンションの価格相場動向がどうなっているか確認してみましょう。

以下の表は、日本全国のマンションの価格を2010年の平均を100として、価格推移を表したものです。

年度 マンション価格指数
2010 100
2011 102.3
2012 102.6
2013 106.8
2014 113.1
2015 121.0
2016 128.8
2017 135.6
2018 141.5
2019 147.7

参考: 不動産価格指数|国土交通省

上記を見れば、マンションの価格が2010年に比べて2019年には1.5倍近くにまで上昇していることがわかります。

どうしてここまで上昇しているのでしょうか?

それは、2013年にあった金融緩和政策と、2016年にあったゼロ金利政策が原因と考えられます。

2013年から、大量の資金が日銀から市場に供給され、また2016年からは民間の銀行がとにかくお金を貸し出すという動きが見られました。そしてその融資先の1つが、不動産の購入者でした。不動産は一般に高額ですが、低金利のため購入資金の借り入れがしやすい状況が生まれました。

特に、ワンルームからファミリータイプまで選択肢も豊富にあり、耐用年数が長く、投資にも向いている「マンション購入」への融資を、銀行が積極的に行うようになったのです。

2020年初頭までは「マンション高騰」に疑いはありませんでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、日本はもとより世界的に景気が後退する局面に入りました。マンションを初めとした不動産の価格も下落するといわれています

IMF(国際通貨基金)からは、2021年には世界経済は回復に向かうという見通し(※)が示されていますが、それも新型コロナウイルスの感染拡大が収束する時期に左右されるため、なかなか先が見通せない状況です。

少なくとも、近年のマンション価格高騰にブレーキがかかるのは間違いないでしょう。ただし、底値を打つのが2020年なのか2021年なのか、あるいはもっと先なのか、また下落幅がどの程度になるのかは、予測が非常に難しい状況です。

※参考: 2020年4月「世界経済見通し(WEO)」|IMF(国際通貨基金)

マンション売却の価格相場を知る前に知っておくべきこと

マンション売却の価格相場を調べる前に、知っておくべきことがあります。それは次の4点です。

  • マンションの査定額が決まる要素
  • 同じマンションの価格を調べるのが望ましい
  • 売り出し価格と成約価格は異なるケースが多い
  • 精度が高い相場の把握は訪問査定を利用する

これらを踏まえてマンションの相場を調べないと、精度がぐっと下がってしまいます。ここでは上記4点について簡単に紹介します。マンション相場を調べるための事前知識として理解しておくようにしてください。

マンションの査定額が決まる要素

マンションの査定では、「比較事例方式」というものを用います。

比較事例方式では、あなたのマンションと条件の近いマンションの成約価格をいくつか選び、平均単価、つまり1㎡あたり何万円で取引されたかを求めます。それにあなたのマンションの面積を掛けて、ベースとなる金額を計算します。

比較事例方式計算方法

このベースとなる金額に、あなたのマンションの以下の要素を加味して、査定額が決まります

  • 交通の便
  • 周辺環境
  • 店舗・施設への距離
  • 所在階
  • 方位
  • 宅内の状況
  • 維持管理の状況
  • 共有部分
  • インフラ対応
  • 流通性比率

つまり、あなたのマンションの面積と、上記10点がマンションの査定額を決定する要素になるといえるのです。

参考: 価格査定マニュアル|公益社団法人 不動産流通推進センター

【関連記事】 マンションの査定額に特に影響を与える10のポイント

同じマンションの成約価格を調べるのが望ましい

相場を調べるには、あなたと同じマンションの成約価格を調べるのが望ましいといえるでしょう。

近隣のマンションや、別の地域の同じブランドのマンションの成約価格を調べてもよいのですが、マンションの査定額は前述の通り「比較事例方式」を用いて求められます。つまり、いくら比較するといっても、あなたのマンションと限りなく条件が近くないと精度が下がってしまうのです。

近隣のマンションや別地域の同一ブランドマンションだと、上で紹介したマンションの査定額を決める要素が変わってくるので、正確な相場をつかむのが困難になってしまいます

できるだけ精度の高い相場を把握するためには、同じマンションの別の部屋で比較するのがベストなのです。

売り出し価格と成約価格は異なるケースが多い

マンションの売却では、売却を開始したときの「売り出し価格」と、売買契約に至ったときの「成約価格」に差異が見られることが通常です

下の図は、2007~2016年までの、中古マンションの価格の乖離率(売り出し価格と成約価格の乖離)と売却期間の推移のグラフです。折れ線グラフが乖離率を、棒グラフが売却期間を表しています。

売却価格と成約価格の乖離

引用: 「中古マンションの売出・取引事例の価格乖離率」|東京カンテイ

グラフから、乖離率は5~10%程度を推移していることが分かります。これは、査定額よりも相場(=成約価格)のほうが低くなる可能性が高いということを意味しています。売り出し価格は売り手が自由に決められるものですが、とりあえずは不動産会社の査定額と同額とするケースが多く見られるからです。

自分で調べた相場と、不動産会社が提示した査定額とを比較して、査定額のほうが高い場合には「思っていたよりも高く売れそうだな」と思ってしまうかもしません。

しかし、売り出し価格と成約価格は5~10%程度乖離していることから、不動産会社の提示する査定額通りの金額で売却できる可能性は低いことを頭に入れておきましょう。

精度が高い相場の把握は訪問査定を利用する

不動産会社の査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。精度の高い相場を把握したい場合には、訪問査定を利用することをおすすめします

机上査定はマンションの築年数や面積といったデータをもとに概算を行う方法ですが、実物を見ない分、精度は下がってしまいます。一方、訪問査定では、不動産会社の担当者が実際にマンションまで足を運び、上記の「マンションの価格を決める10点」などを細かく吟味して査定をします。

とりあえず手間もかけず気軽にざっくりとした相場を把握するなら机上査定が便利です。実際の売り出しも見据えて正確な相場を把握したいなら、訪問査定を利用しましょう

マンション売却の価格相場を調べる方法

ここでは、具体的にマンション売却の価格相場を調べる方法を確認してみましょう。ただし、相場通りの価格で売却できるとは限らないのはすでにお伝えした通りです。

相場はあくまでも相場。売却価格とは異なる可能性が高いことを頭に入れながら調べるようにしましょう。

土地総合情報システムで調べる

土地総合情報システム とは、国土交通省が運営しているサイトで、マンションや戸建て、土地など、不動産の実際の取引価格を調べられるサイトです。

相場を調べるためには、まずトップページから「不動産取引価格情報検索」をクリックします。

土地総合システムで相場を調べる

次のような画面になりますので、まずは1の「時期」を選びましょう。直近の取引事例を調べたほうが精度が高いので、「直近の四半期(過去一年間を含む)」を選ぶとよいでしょう。

土地総合システムで相場を調べる

次に、種類を選びます。ピンク色の「中古マンション等」を選択してください。

土地総合システムで相場を調べる

最後に地域を選びます。ここでは例として「東京都・新宿区・西新宿」を選択しました。

土地総合システムで相場を調べる

一番下の「この条件で検索」をクリックすると、次のように当該地域のマンションの取引事例を調べることができます。

土地総合システムで相場を調べる

築年数や面積から、あなたに似たマンションの相場を調べるとよいでしょう。

レインズで調べる

REINS(レインズ) とは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営している不動産流通標準情報システムのことで、実際に売買が行われた物件の価格(成約価格)などの取引情報を検索することができます。

国土交通省が運営しているという点では「土地総合情報システム」と似たようなシステムですが、即時性が高く、今月のやり取りなども反映されているので、リアルタイムに近い価格を探るには、こちらを利用するのがよいでしょう。

レインズで相場を調べるには、まず下のように所有するマンションの都道府県と地域を選択してください。

レインズで相場を調べる

「検索する」をクリックすると、下のように取引事例が出ますので、相場を調べてみましょう。

レインズで相場を調べる

より高い精度を求める場合には、「追加検索条件」から、あなたのマンションに近いものを選択するようにしてください。

不動産会社やポータルサイトの相場検索機能で調べる

大手の不動産会社やポータルサイトでは、独自の取引データをもとにしたマンションの相場検索システムを設置しているところもあります。代表的なものをいくつかご紹介します。

一括査定サイトを利用する

マンションの相場を調べるためには、一括査定サイトを利用して、実際に不動産会社に査定依頼をするのも一つの方法です。マンションの査定額は、3ヶ月程度で売れるであろうと不動産会社が予想する価格ですから、相場の把握には有効です。

ポイントとしては、複数社に依頼するようにしてください。不動産会社によって査定結果に違いがあるからです。

また、明らかに高い査定額や低い査定額を提示する不動産会社もあるかもしれませんが、こういった査定額には十分に注意をする必要があります。明らかに高い場合には、不動産会社が契約を獲得するためだけに高額査定をしている可能性がありますし、明らかに低い場合には、不動産会社があなたのマンションの価値を正確に判断できていない可能性があるからです。

【関連記事】 【業界のプロが教える】不動産一括査定のメリット|査定で重視する5つのポイント

マンションをできるだけ高く売却する7つのコツ

最後に、できるだけマンションを高く売却するためには、何ができるのかを見ていきましょう。

不動産会社がどの不動産を売るのが得意かを知っておく

ひと口に不動産会社と言っても、「不動産の種類」「流通経路」など、それぞれに得意・不得意とする分野があります。担当してもらう不動産会社が、どういった物件を得意としているかについては十分に注意しましょう。

マンションを得意とする不動産会社を選べば安心と思うかもしれませんが、それだけでは不十分です。シングルタイプかファミリータイプか、投資用なのか居住用なのか、個人に売るのか買取業者に売るのかなど、マンションといってもさまざまな特徴や流通経路があるからです。

ホームページから取引事例を確認したり、営業担当者にどういう売却先が多いかなどを質問したりして、その不動産会社があなたのマンションを得意としているかを把握しておきましょう

良い担当者を選ぶ

マンションが高く売却できるかどうかは、最終的には営業担当者の質によるところも大きいです。そのために、良い担当者を選ぶことは重要だといえるでしょう。

営業担当者の質を確認するためには、次のような質問を投げかけてみましょう。

  • 担当者の直近の販売実績
  • 過去に高値で売却できた事例
  • あなたのマンションをどういった戦略で販売しようとしているか

これらの質問をすることで、担当者の「マーケット感覚」を窺い知ることができます。できるだけ高くマンションを売却したいと担当者が考えているならば、上記3点への質問にはすぐに答えられるはずです。

一方、質問の答えをはぐらかしたり、明確な回答をしなかったりした場合には信頼できないかもしれません。担当者を変えてもらうか、別の不動産会社に依頼するのが無難です。

近所の不動産会社を選ぶのがベター

仲介を依頼する不動産会社の候補には、近所の会社も入れるようにしてください。マンションを購入する人の8割以上が、2キロ圏内に住む「近所の人」(※)というデータがあるからです。

高い価格でマンションを売却するために必要なのは、地域に根差した情報です。不動産会社は、店舗を構えている地域の周辺の情報を多く集めています。

マンションから多少離れていても、広告力やネームバリューを期待して大手に依頼するのも悪くありませんが、やはり地の利は近所の不動産会社にあります。

(※)参考: 不動産を「高く売る」ために知っておきたい大切なこと

売りやすい時期を狙う

マンションが売りやすい時期を狙うのも有効な手段です。一般的には、9~11月と1~3月が繁忙期といわれていますが、最近ではあまり時期は関係ないという不動産会社もいます。

【関連記事】 マンション売却に最適な時期は3月と10月|季節と市場を見極める

専任媒介契約を選ぶ

不動産会社と媒介契約を結ぶ際、一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約 の3つからどれかを選ぶことになります。

一般媒介契約は複数の不動産会社に仲介を依頼できるのが特徴ですが、競合他社で成約してしまった場合にかけたコストが無駄になることを恐れ、不動産会社があまり熱心に販売活動を行わない可能性があるともいわれています。

専任媒介契約専属専任媒介契約では、競合他社のことは気にする必要がないので、不動産会社も本気度が違ってきます。専属専任媒介契約では「自己発見取引」という自分で買い主を見つける行為も制限されるため、縛りが少々きつ過ぎると感じるかもしれません。

間を取って専任媒介契約を選ぶのが、最も無難でしょう。

内覧では売り手側の好印象づくりに気をつける

買い手には「できるだけ良い印象の売り手から買いたい」という潜在的な意識があります。

買い手がマンションの内覧に来る際は、まずは買い手が売り手の立ち会いを希望しているかどうか確かめましょう。希望していないのに無理して立ち会うのは逆効果です。

希望している場合は、できるだけ都合を調整して立ち会うようにしましょう。その際は、できるだけ好印象を持ってもらうことが大切です。笑顔を心がけ、親しみやすさのある印象を与えられるようにしてください。

【関連記事】 不動産売却で内覧を成功させるには?準備と応対のポイント

内覧では物件の良い点をアピールしておく

内覧に立ち会うことになった際は、物件の良い点はしっかりアピールしておきましょう。

  • 近くのコンビニ・スーパーまで歩いて●分
  • ●●まで100m
  • 幼稚園まで徒歩5分
  • 花火が目の前で見える など

普段は当たり前になっていたことでも、他人にとっては大きなメリットかもしれません。日常生活を振り返ってみると、案外アピールポイントはすぐに見つかるはずです。買い手に合わせたアピール(新婚ならおいしい飲食店が近くある、ファミリーなら公園が近い、シニアならバス停が近い、といった具合)も有効です。

まとめ

マンション売却の価格相場を調べる方法と、高く売るためのコツを解説しました。

「価格相場、査定額、成約価格はそれぞれ異なる」というのは重要なポイントです。売り出し価格と成約価格は乖離する傾向にあるため、不動産会社の査定額を鵜呑みにすることなく、じっくりと相場を見極めるようにしてください。

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