「所有している一戸建てを売却したい」「何から準備したらいいか、どこに相談したらいいかわからない」このように悩んでいないでしょうか。
一戸建ての売却は6カ月程度かかることが多く、その間もローン返済や資料収集など多くの労力を要します。
そのため、まったく知識がない状態で取り掛かると、余計な手間や時間がかかってしまうかもしれません。
そこでこの記事では、一戸建てを売却するまでの流れや成功のコツを紹介します。
記事を見れば一連の流れや用意すべき資料がわかるので、何回も見返しながら手続きを進めてみてください。
この記事の目次
1.一戸建て売却前の準備
一戸建ての売却を考えている方は、事前の準備が何よりも大切です。
準備を怠ったまま売却活動をはじめると、そもそも売却できなかったり思ったよりも費用がかさんでしまったりする可能性があります。
下記で紹介している流れを参考に、ひとつずつ確認作業を進めてください。
住宅ローンの残高を確認する
一戸建ての売却を考えている方は、住宅ローンの残高を確認しましょう。
売却益で完済できるか確認し、このまま一戸建てを返済していいのか判断するためです。
住宅ローン残高を確認する方法は、下記を参考にしてみてください。
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リアルタイムの残高を確認したいなら、Webサイトのマイページや金融機関窓口での確認がおすすめです。
スケジュールを確認する
住宅ローン残高を確認して返済できる見込みがあると判断したら、売却までのスケジュールを確認しましょう。
お金が必要なときまでに余裕がないと、不動産会社や買い手に買い叩かれてしまうからです。
一般的に一戸建てを販売する場合、6カ月程度の期間がかかるといわれています。
1カ月など短期間での売却は期待せず、余裕を持って販売活動にあたりましょう。
売却にかかる費用の種類を知る
次に売却にかかる費用の種類を知りましょう。
「一戸建ての売却でかかる費用は仲介手数料だけ」などのように見積もっていると、想定以上に費用がかさんでしまう可能性があります。
売却のかかる費用の種類は、下記の通りです。
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それぞれの概要やかかる費用については、下記の記事を参考にしてみてください。
関連記事:不動産売却にかかる手数料はいくら?シミュレーションや早見表も紹介
土地の権利を確認する
ここで土地の権利は誰が有しているのか確認します。
査定額に大きな影響を及ぼす点や売却後のトラブルを未然に防ぐ点などから、土地の権利確認は必要です。
土地の権利を確認する際は、法務局で「土地・建物の登記事項証明書」をオンラインまたは窓口で取得しましょう。
オンラインであれば10分程度で交付請求できるので、日頃忙しい方は法務局のサイトから登記事項証明書を発行してください。
参照元:法務局|登記事項証明書(土地・建物),地図・図面証明書を取得したい方
必要な書類を揃える
最後の準備として、必要な書類を揃えましょう。
この段階で準備しておくと後から書類を発行する手間が省けるため、スムーズに売却の取引が進みます。
具体的には、下記の書類を用意してください。
書類 |
概要・取得方法 |
土地・建物の登記事項証明書 |
土地の権利がわかる書類。法務局でオンライン申請できる |
固定資産税納税通知書 |
固定資産税を納付したことの履歴がわかる通知書。毎年4月から5月に届く |
売買契約書 |
土地や建物の地番や種類、売買代金などがわかる資料。不動産を購入した際に渡される |
物件購入時の重要事項説明書 |
物件の状態や権利状況をまとめた資料。購入時に渡される |
測量図 |
土地の測量結果などがわかる資料。手元にない場合は法務局で請求できる |
境界確認書 |
隣地との境界を確定させた資料のこと。測量会社に依頼して取得するのが一般的 |
物件の図面証明書 |
不動産の形状や敷地との位置関係などを示した資料のこと。法務局で取得できる |
建築確認済証・検査済証 |
不動産の設計や建築が正しく行われているか確認する資料のこと。不動産の引き渡し時に施工会社からもらえる |
建物の請負契約書 |
注文住宅・リフォームの場合に施工会社と結ぶ契約書。工事や建築の詳細が書かれている |
2.一戸建て売却の不動産会社選びと査定
一戸建てを売却する際の事前準備が完了したら、会社選びと物件の査定を行います。
下記の内容を参考にしながら、順番に準備を進めてください。
査定の種類を知る
不動産会社を見つける前に、これから行う査定の種類を知りましょう。
具体的には2種類の査定方法があります。
査定の種類 |
概要 |
机上査定 |
現地調査をせず、住所・間取り・築年数などの物件情報から売却価格を査定する方法のこと |
訪問査定 |
現地調査を行い、机上査定のデータを踏まえながら正確な価格を算出する方法のこと |
今後査定を考えている方は、より正確な売却価格を算出できる「訪問査定」がおすすめです。
一戸建ては物件によって売値が変わるケースが多いので、できる限り訪問査定を受けてください。
不動産一括査定サイトで一括査定を取る
査定の種類について知識を身につけたら、不動産一括査定サイトで複数社から査定をもらいましょう。
実際の査定額は不動産会社によって異なるため、複数社から査定を受けると高値での取引が可能です。
査定を受けると、A社は1,000万円、B社は1,500万円などのように、査定額が算出されます。
この中から査定額の高さや対応の良さで選びましょう。
また査定額の根拠を説明してもらい、本当に売れる見込みがある金額なのか確認するのも大切です。
「どの不動産一括査定サイトを利用すればいいかわからない」という方は、下記の記事を参考にしてみてください。
関連記事:不動産一括査定26サイトを紹介|あなたに合ったサイトが見つかる!
取引する不動産会社を選定する
最後に取引する不動産会社を選定しましょう。
利用する契約形態によって、取引する会社は1社か複数社か異なります。
取引する不動産会社を選ぶ際は、複数社査定を出した中で査定額の高さや対応の良さが際立つ会社を選定してください。
3.媒介契約の締結
取引する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。
媒介契約とは、家を売る際に不動産会社に間に入ってもらい、代わりに買い手を探してもらう契約のことです。
契約の種類など具体的な手順は下記で解説しています。
媒介契約の違いを知る
媒介契約を結ぶ前に、それぞれの違いについて確認しましょう。
今必要な形式で契約して、早く買い手を見つけるためです。
一般媒介 |
専任媒介 |
専属専任媒介 |
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依頼する会社数 |
複数社(1社も可能) |
1社 |
1社 |
契約期間 |
3カ月以内 |
3カ月以内 |
3カ月以内 |
自分も買い手を探せるか |
◯ |
◯ |
× |
レインズへの登録 |
可能 |
契約締結日から7日以内 |
契約締結日から5日以内 |
参照元:レインズ|媒介契約制度
媒介契約の違いを知らないと、高値で売れるチャンスを逃したり売却までの期間が伸びたりしてしまいます。
たとえば人気エリアで買い手がすぐに付きそうな一戸建てなら、一般媒介契約で不動産会社同士を競わせながらの契約がおすすめです。
また人気エリアから外れている場合は、専任媒介契約または専属専任媒介契約でていねいに売却活動にあたってもらうといいでしょう。
所有している一戸建ての位置関係や状態にあわせて、希望の方法で契約してください。
4.売却活動の開始
ここからは、自分の一戸建てを売るための売却活動を開始します。
主な販売活動は不動産会社が行うものの、相場を調べるなど自分で行うべきこともあります。
下記を参考に、売却活動の全体像を確認してください。
地域の物件の相場を調べる
まずは地域の物件の相場を調査しましょう。
これから提示する価格が相場に見合った内容か確認するためです。
具体的に物件を調べる方法は、下記を確認してみてください。
|
価格には「売り出し価格」「成約価格」の2種類があり、成約価格は売り出し価格よりも低くなる傾向にあります。
つまり交渉が入ってから成約する流れになるので、売り出し価格で成約できるとは限らないと理解してください。
売り出し価格を決める
物件の相場を理解したら、売り出し価格を決めましょう。
売り出し価格は地域の相場を理解したうえで、不動産会社と相談しながら決める形となります。
不動産会社が集客を行う
具体的な価格が決まったら、不動産会社が集客を行います。
売却活動ではレインズと呼ばれるポータルサイトに登録し、そのほかSUUMOなど不動産仲介のサイトにも掲載していきます。
またチラシなどの広告も使い、一戸建ての露出を高めていきましょう。
ここで売り手がやるべきことは、とくにありません。
専属媒介契約なら2週に1回、専属専任契約なら週1回不動産会社から活動報告が行われるので、綿密にコミュニケーションを取りながら進めてください。
内覧に向けて物件を清掃する
不動産会社が販売活動を行うと、内覧予約が入る可能性があります。
内覧で好印象を持ってもらえるよう、事前に室内や庭を清掃しておきましょう。
清掃時のポイントを下記にまとめました。
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とくに水回りが汚れていると、チョウバエなどの害虫が住み着く可能性があります。
内覧希望者に好印象を残せるよう、物件をていねいに清掃してください。
内覧に対応する
内覧希望者が現れたら、可能な限り内覧に対応しましょう。
自分がこれまで住んで感じた魅力を話せると、不動産会社では気づけなかったポイントを購入希望者に伝えられます。
購入希望者は複数の一戸建てを比較している可能性が高く、魅力を伝えられないと何かしらの理由で断られることもあるでしょう。
そこで自身で一戸建ての魅力や想いを伝えて、購入に対し前向きに検討してもらってください。
もちろん平日日中の内覧など、ビジネスパーソンでは対応できない時間もあるでしょう。
そのような場合は、不動産会社に内覧対応を依頼しても問題ありません。
5.売買契約の締結
希望者から購入するとの意思表示があった場合は、売買契約を締結します。
ここからは料金の支払いなど重要な手続きを行うので、必ず以下のステップを確認しておきましょう。
不動産会社主導で売買契約を結ぶ
まずは不動産会社主導で一戸建ての売買契約を結びます。
一般的には下記の流れで進むので、全体像を掴むためにも把握しておきましょう。
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重要事項の読み合わせでは専門用語が連発するので、必ず不明点も出てきます。
わからないことは都度不動産会社に質問し、ひとつでも疑問点を減らした状態で契約してください。
また一戸建ての契約の際は、物件の状態をお互いに認識しておく必要があります。
とくに買い手が欠陥を知らないまま契約すると、損害賠償や契約解除などのトラブルになりかねません。
すべて包み隠さず共有し、お互いが納得する状態で売買契約を結びましょう。
買い手から手付金を受け取る
次に買い手から手付金を受け取ります。
手付金の相場は5%〜10%、上限は20%です。
ただし売り手が個人の場合は、20%を超える手付金を受け取っても違法ではありません。
最終的な決済時に改めて料金を受け取るため、あらかじめ理解しておきましょう。
不動産会社に仲介手数料の半額を支払う
買い手との売買契約を結べたら、不動産会社に仲介手数料の半額を支払います。
仲介手数料は売買価格によって上限が変動するため、下記の表をもとに確認してみてください。
不動産売買価格 |
仲介手数料の上限額 |
200万円以下 |
売買価格×5%+消費税 |
200万円〜400万円以下 |
(売買価格×4%+2万円)+消費税 |
400万円超 |
(売買価格×3%+6万円)+消費税 |
参照元:全日本不動産協会 埼玉県本部・不動産保証協会 埼玉県本部
残りの代金は、引渡しが完了したらもう一度支払います。
住宅ローンの残債があるなら完済する
住宅ローンの残債がある方は、売買契約後に完済し手続きを行う必要があります。
金融機関と住宅ローンを契約する際に「抵当権」を設定しているため、抹消の手続きを行わなければなりません。
抵当権とは、金融機関が不動産を競売にかけて現金化できる権利のことです。
この権利を抹消しないと所有者を移転できないため、引き渡しまでに行う必要があります。
金融機関に問い合わせて、住宅ローンを完済できる旨を伝えてください。
金融機関から抵当権抹消登記の委任状を受け取り記載する
金融機関に住宅ローンを完済する旨を伝えたら、抵当権抹消登記の委任状を受け取りましょう。
抵当権抹消登記の委任状とは、金融機関が有している権利を抹消すると法務局に申請するための書類のことです。
本人で申請する場合は、受け取った委任状のフォーマットをもとに、ローン完済日や氏名など必要事項を記載してください。
「平日法務局にいく時間がない」「手続きの手間を省きたい」という方は、司法書士への依頼もおすすめです。
関連記事:抵当権抹消登記には委任状が必要!ケース別の書き方や注意点を解説
6.決済・引き渡し・確定申告
買い手と売買契約を結び手付金を受領したら、決済・引き渡しに移ります。
ここからさらに大きなお金が動くので、必ず手順を確認しておきましょう。
買い手から残りの代金を受け取る
まずは買い手から残りの代金を受領しましょう。
買い手側のローンの融資がおりるため、売り手には残りの売買代金が一括で支払われます。
住宅ローンを完済できていない方は、決済完了後住宅ローンを完済しなければなりません。
所有権を移転するときに残債があると対応できないため、滞りなく進めてください。
鍵を渡して引き渡しを完了させる
代金を受領すると、司法書士が法務局で所有権移転登記を行います。
所有権移転登記とは、不動産の持ち主が変わるときに行う手続きのことです。
登記の際は下記の書類が必要になるので、事前に用意しておきましょう。
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これらの資料をもとに所有権移転登記が完了したら、鍵をすべて渡して終了です。
不動産会社や司法書士に残りの手数料を支払う
決済・引渡しが完了したら、不動産会社や司法書士に手数料を支払いましょう。
不動産会社には仲介手数料を支払い、司法書士には登記に関する報酬を支払います。
譲渡益が出たら確定申告を行う
譲渡益が出た方や税金の特例を活用する方は、必ず確定申告が必要になります。
一戸建ての売却益には譲渡所得税として所得税と住民税、加えて2037年までは復興所得税もかかるため、期日までに確定申告を行いましょう。
確定申告の申告期限は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までです。
また一戸建てを売却する際は、国が用意している税制特例を利用できる可能性があります。
下記のような特例を利用できる可能性があるので、今の状況に当てはまっていないか確かめてみてください。
ケース |
受けられる可能性がある税制優遇 |
自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ったとき |
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 |
売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えているとき |
マイホームを売ったときの軽減税率の特例 |
マイホームを令和5年12月31日までに売って、代わりのマイホームに買い換えたとき |
特定の居住用財産の買換えの特例 |
相続・遺贈で取得した家や敷地を売ったとき |
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例 |
住宅ローンが残っている家を売却した際に損失が発生したとき |
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 |
家を買い換えて譲渡損失が出たとき |
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 |
一戸建ての売却を成功させる5つのコツ
一戸建ての売却を成功させるためには、すべて不動産会社に任せるだけではいけません。
売り手自身が不動産売却にまつわる知識を持ち、余裕を持ったスケジュールで行う必要があります。
「希望している価格で売却したい」と考えている方は、下記で解説していることを参考にしてみてください。
相場を確認して売り出し価格を決める
一戸建ての売却を成功させたい方は、相場を確認したうえで売り出し価格を決めましょう。
相場を無視した価格設定だと、内見に人が来なかったり安く買い叩かれてしまったりするからです。
たとえば国土交通省が運営している「不動産情報ライブラリ」を参照し、周辺の取引価格や地価公示などを確認すると良いでしょう。
売り出し価格に納得感を持たせられるよう、必ず地域の相場をチェックしてください。
スケジュールに余裕を持って活動する
長期戦になることを見越して、スケジュールに余裕を持った売却活動を行いましょう。
焦ったスケジュールで売却活動をはじめると、不動産会社や買い手に買い叩かれてしまう可能性があるからです。
一般的に一戸建てを売却できるまでにかかる期間は、6カ月程度だといわれています。
所在地や間取りなどの条件によっても異なるため、1年程度の余裕があると無理に値引きせずに取引が可能です。
複数社比較していい不動産会社に出会う
一戸建ての売却を成功させるために、複数社比較していい不動産会社に出会いましょう。
「大手だから安心」「知り合いが利用していたから」などの理由で任せてしまうと、数百万円損する可能性があります。
譲渡益を増やすためにも、不動産一括査定サイトを活用して高値で取引してくれる会社を見つけましょう。
複数社比較したうえで、自分が取引したい会社を見つけるのがおすすめです。
ポータルサイトに掲載する写真をていねいに撮影する
買い手から「魅力的な物件」だと思われるために、ポータルサイトに掲載する写真をていねいに撮影しましょう。
魅力的な物件にもかかわらず、写真が暗かったり枚数が少なかったりすると、思わぬ機会損失につながる可能性があります。
実際に写真を撮影する際は、下記のポイントに注意してください。
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「写真に慣れていなくてうまく撮影できない」と悩んでいる場合は、フォトグラファーに依頼するのもおすすめです。
不動産会社によってはフォトグラファーと提携しているケースもあるので、担当者に相談してみましょう。
内覧前に家をクリーニングする
一戸建ての売却をスムーズに行うために、必ず内覧前にクリーニングをしましょう。
購入希望者からの第一印象が悪くなってしまうと、競合の物件に負けてしまう可能性があります。
とくに玄関前の雑草や水回りのアカなど、購入希望者が見やすい部分の清掃は欠かせません。
また押入れやクローゼットのように、隠れている部分の清掃も必ず行ってください。
「自分では対応しきれない」という場合は、業者に依頼してクリーニングをかけてもらうのもおすすめです。
一戸建ての売却が「難しい」「売れない」といわれる理由
一戸建ての売却を考えていて「売却は難しい」「なかなか売れない」という意見を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
そこで以下では、一戸建ての売却が難しいといわれる理由を4つ解説します。
資産価値の低下スピードが早い
一戸建ての売却が難しいといわれる理由は、資産価値の低下スピードの早さにあります。
国土交通省が公表しているデータによると、中古木造住宅は10年で資産価値が約50%減少するのに対し、中古マンションは約20%しか下がっていません。
このデータからも、一戸建ての資産価値の低下スピードが早いとわかるでしょう。
また国税庁が定めている法定耐用年数を見ても、木造住宅は22年、鉄筋コンクリート造のマンションは47年と、2倍以上の差があります。
一戸建て売却の難しさは、資産価値の低下スピードが早く、投資としての側面を持ちにくいことが背景にある旨を理解しておきましょう。
日本人は新築戸建てを好む傾向にある
一戸建てを売りにくい背景には、日本人の嗜好も関係しています。
具体的には新築戸建てを好む傾向があり、中古戸建ては優先度が下がる可能性が高いのです。
たとえば「せっかく買うなら新築がいい」「もともと新築戸建てに住むことを憧れていた」のように、強い憧れを抱いている方が多くいます。
とくに築年数が経過している一戸建ては、売りにくく長期戦になる可能性があると理解しておきましょう。
住宅ローンは新築の方が有利な傾向にある
一戸建ての売却が難しいといわれる理由は、住宅ローンも大きく関わっています。
中古よりも新築のほうが長期の返済期間を確保しやすく、中古戸建てだと毎月の返済額が高くなる可能性があるのです。
たとえば2,500万円の中古物件を全期間固定で、金利3.0%で購入したと仮定しましょう。
ボーナス払いを加味せず計算すると、35年払いなら毎月約9.6万円の支払いですが、25年払いだと約11.9万円になります。
このように一戸建ての売却は、買い手にとって経済的な負担が大きくなるケースがあります。
総額は安くても毎月の負担が多くなるリスクがあると知ったうえで、売却活動をはじめてください。
鉄筋コンクリート造のマンションを選ぶ傾向にある
近年は鉄筋コンクリート造のマンションを選ぶ方が多くなっています。
1981年以降に建築されたマンションは新たな耐震基準で作られているため、揺れに強いというイメージが先行しているのです。
実際に全国生コンクリート工業組合連合会のデータでも、阪神・淡路大震災の際は鉄筋コンクリート造よりも木造住宅のほうが全壊・半壊率が高いとわかっています。
ただし、木造の一戸建ては重量が軽く、そもそもマンションよりも揺れにくい特徴があります。
「耐震性が原因で売却できないのかも」と不安な場合は、木造耐震診断などを受けてみるといいでしょう。
参照元:全国生コンクリート工業組合連合会|災害に強い抜群の安全性
関連記事:戸建て売却が難しい理由とは?売れない原因や対策4選を紹介
まとめ
この記事では、一戸建ての売却の流れや成功のためのポイントを紹介しました。
一戸建てを売却するには売り手自身の知識も欠かせません。
とくに「適正価格で売りたい」「損したくない」と考えているなら、買い手や不動産会社に安く買い叩かれないための知識が必要になります。
記事内で紹介している流れを事前に知り、スムーズに取引が進行するように進めてください。