土地活用に悩んでいる人の中には、コインランドリーの経営を検討している人もいるでしょう。
コインランドリー経営には、アパートやテナントビル経営にはない、さまざまなメリットがある一方、注意しなければならないデメリットも存在します。コインランドリー経営に成功するコツを知ることで、安定した収入の柱が作れるでしょう。
本記事では、コインランドリーを経営するメリット・デメリットや、開業するために必要な費用、経営に成功するコツを紹介します。土地活用の1つとしてコインランドリー経営を検討している人は、この記事の内容を参考にしてください。
この記事の目次
コインランドリーを経営する3つのメリット
コインランドリーの経営には、大きく3つのメリットがあります。
-
ランニングコストを抑えられる
-
収益性が高い
-
空室リスクや滞納リスクがない
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
ランニングコストを抑えられる
コインランドリーを経営する1つ目のメリットは、ランニングコストが安く済む点です。コインランドリーは、人を雇って店員を常駐させる必要がなく無人で営業できるためです。
店舗に洗濯機を設置すれば、お客様が自らお金を投入して洗濯機が自動で洗濯してくれます。また、コインランドリーは開業する際に初期費用が必要ですが、開業以降に大きな出費がかかる可能性は低い業態です。ただし、水道光熱費や機械が故障した際の修理費はかかるため、ランニングコストが安く済むとは言え、収支計画をしっかり立てて経営に臨みましょう。
収益性が高い
コインランドリー経営のメリット2つ目は、アパートや駐車場経営と比較して収益性が高い点です。アパート経営の利回りは約5〜7%が一般的ですが、コインランドリーの経営は約10〜20%だと言われています。
たとえば、需要が高いエリアで20坪程度の店舗であれば、月60〜80万円(年間720〜960万円)ほどの売上が見込めます。機材の購入や設置費に5,000万円かかったとすると、年間利回りは約14〜19%という計算になります。※ただし、この計算には土地代や建物の建築費は含まれていません。
また、コインランドリーの利用と収入(回収)の時間差が少ないことも特徴のため、すぐに利益になる点もオーナーにとってありがたいポイントです。客単価自体は低めですが、リピーターを獲得できれば、安定した経営が可能になるでしょう。そのため、収益性が高い事業を始めたいという人に、コインランドリーの経営が向いていると言えます。
空室リスクや滞納リスクがない
コインランドリー経営には、アパートやテナントビル経営と違い、空室リスク・滞納リスクがない点がメリットです。コインランドリー経営は、自らが店舗に洗濯機を設置して売上を上げる土地活用のため、テナントの退去リスクや家賃の滞納リスクが起きないのです。
所有する土地にテナントビルを建築した場合、テナントが入居しなければ収益を上げることができません。さらに、借主が家賃を滞納するおそれもあるため、常に滞納リスクがつきまといます。また、家賃収入のように上限が決まっていないため、経営方法や規模によってどんどん売上を伸ばしていける点も、コインランドリー経営のメリットと言えます。
コインランドリー経営のデメリット
コインランドリーには魅力的なメリットがある反面、以下のデメリットも存在します。
-
高い初期費用がかかる
-
競争が激化しやすい
-
立地が悪いと需要が限られる
デメリットも理解した上で、コインランドリー経営を検討しましょう。
高い初期費用がかかる
コインランドリー経営における1つ目のデメリットは、初期費用の高さです。コインランドリー経営には、土地と建物以外で2,000〜5,000万円程度の初期費用がかかると言われています。
さらに、土地を購入して建物を建築するとなると、より高額な資金が必要です。コインランドリー経営は収益率が高い点がメリットですが、十分な自己資金を用意できる、または高額な融資を受けられることが前提と言えるでしょう。
初期費用の準備が難しい場合は、後の章で紹介する初期費用を抑えるための方法を参考にしてみてください。
競争が激化しやすい
コインランドリー経営のデメリットとして、新規参入が多く競争が激化しやすいという点が挙げられます。コインランドリー経営を始めるために免許や実績は不要なため、競合他社が参入しやすいのです。
そのため、順調に経営が続いていたにもかかわらず、近隣に強力なライバル店が出店すると、たちまち経営に行き詰まるおそれがあります。近年では、キャッシュレス化やスマホとの連動など、コインランドリーも進化を続けているため、競合に負けないよう常にサービスを改善していく必要があるでしょう。
立地が悪いと需要が限られる
コインランドリーの立地が悪いと、需要が限られ思ったような収益を得られなくなることも考えられます。住宅街や人口の多いエリアなどを選べば需要が見込めますが、立地の見極めに失敗してしまうと、集客ができず売上が立たなくなってしまいます。
先述の通り、コインランドリーは数千万円の初期費用がかかります。そのために金融機関から融資を受けた場合、立地が悪い土地にコインランドリーを開店してしまったがために、借金だけ残して廃業に追い込まれることも考えられるでしょう。
コインランドリー用地として、価格が安い土地が見つかったとしてもすぐに飛びつくのではなく、需要や立地条件を十分に見極めた上で、購入を検討するようにしましょう。
コインランドリーの経営に必要な費用
コインランドリー経営に成功するためには、コストの全体像を把握しなければいけません。ここでは、コインランドリー経営にかかるコストを、初期費用と維持費の2つに分けて紹介します。
設備費や内装工事費などの初期費用
コインランドリー経営を始めるための初期費用は、店舗の規模や設備により違いがありますが、おおよそ2,000〜5,000万円程度だと言われています。初期費用として、主に以下のものが挙げられます。
-
機器代:1,500~3,000万円
※洗濯乾燥機1台あたり200〜300万円、洗濯機約100〜150万円、乾燥機約60〜100万円
-
内装工事費:500〜1,000万円
-
外装工事費:300〜500万円
導入する設備や内装のグレードが高いほど、初期費用が高額になります。また、駐車スペースを広く設けると、その分外装工事費用がかかります。
さらに、土地の購入から始める場合は、上記に加え土地代金と建物建築代金が必要です。また、テナントを借りてコインランドリー経営を行う場合は、保証金や仲介手数料が別途かかります。このように、店舗の形態によって費用が大幅に変わってくるため、経営を始める際はコインランドリーの専門業者に相談することをおすすめします。
運営するための維持費
コインランドリー経営では、初期費用だけでなく維持費にも注目しましょう。広さが20坪の店舗の場合、月額のランニングコストは主に以下のとおりです。
-
水道光熱費:10〜20万円
-
家賃(テナントを借りる場合):10〜30万円
-
設備のリース代(リース契約の場合):10〜30万円
-
洗剤などの備品:1万円
-
固定資産税(月割で計算した場合):1〜3万円
上記を見てみると、設備や店舗をすべて自分で用意した場合の維持費は15〜25万円/月、テナントを借りて設備をリースした場合は35〜70万円/月ほどかかることがわかりました。
ただし、上記はあくまで目安です。店舗の規模が大きくなればなるほど費用がさらにかかるほか、売上アップのための広告宣伝費や機械のメンテナンス代も適時かかります。コインランドリー経営では、ゆとりを持った収支計画を立てることを意識しましょう。
コインランドリーの経営に成功するためのコツ4選
コインランドリー経営は、アパートやテナントビル経営などとは違い、自ら経営戦略を立てなければいけません。そのため、成功するためには他の土地活用とは違うコツを知る必要があります。
-
需要がある立地なのかを見極める
-
キャッシュフローの計算をしっかり行う
-
初期費用を抑えるリース契約を検討してみる
-
ニーズに合わせたサービスを取り入れる
コインランドリー経営ならではのコツを、ここでしっかり理解しましょう。
需要がある立地なのかを見極める
コインランドリー経営を成功させる1つ目のコツは、需要がある立地なのかどうかを見極めることです。コインランドリー経営の成功の鍵を握るのは立地と言っても過言ではないため、需要のある立地を十分に見極める必要があります。
コインランドリーの需要がある立地は、主に次のとおりです。
-
ファミリーマンションが立ち並ぶ土地
-
共働き世帯が多い住宅街
-
大型商業施設など人が集まりやすい土地
-
車道から見えやすく駐車スペースがある土地
-
小中学校や高校が近くにある土地
コインランドリー経営を始める際は、これらの条件が少しでも多く揃っている立地を選びましょう。特に、ファミリー層が多いエリアでは、大きな布団など家庭で洗いにくい洗濯物が出るため、コインランドリーの需要が高いです。また、共働き世帯では家事負担を減らすために、コインランドリーの利用が多い傾向にあります。
立地の見極めがコインランドリー経営の成功につながるため、妥協せずに適切な立地を選びましょう。
キャッシュフローの計算をしっかり行う
コインランドリー経営では、キャッシュフローの計算を十分に行うことで、成功する確率が上がります。キャッシュフローとはお金の流れのことで、経営するにあたり出費と収入のバランスをしっかりチェックすることが重要です。
キャッシュフローの計算を行う上で重要なポイントは、具体的で現実的な計画を立てることです。コインランドリー経営では、機械の故障などの急な出費が発生するおそれがあります。このような不測の事態が起きても経営を続けられるよう、将来を見据えた収支計画を立てなければいけません。
コインランドリー経営は、参入のハードルが低い人気の土地活用のため、近くに競合店ができることもあるでしょう。競合によって顧客が減った場合に、どのような施策を打つのかをあらかじめ考えておくことも重要なポイントです。キャッシュフローの計算を十分に行い、ギリギリの経営にならないように心がけましょう。
初期費用を抑えるリース契約を検討してみる
コインランドリー経営に成功する3つ目のコツは、初期費用が用意できない場合、リース契約を検討してみることです。リース契約とは、店舗に導入する設備機器を購入するのではなく、専門の会社に料金を支払い借り入れる形態です。
前に述べたように、コインランドリー経営は設備費用として1,500~3,000万円ほどかかります。設備投資をリース契約にすれば、初期費用を50%以上を抑えられ、金融機関からの融資額を少なくすることができます。その結果、金銭的な余裕が生まれて、不測の事態が発生しても自己資金を投入できるようになるでしょう。
リース料金の支払いは月々10〜30万円程度の支払いが一般的ですが、「売上分配方式」という形態では、売上の40〜60%ほどを支払う必要があります。店舗の規模や売上によって適したプランがあるため、支払い方式を十分に検討した上でリース契約を利用しましょう。
ニーズに合わせたサービスを取り入れる
顧客のニーズに合わせたサービスを取り入れて、他の店舗にはない付加価値をつけることも、コインランドリー経営で成功するコツです。近年では、洗濯の待ち時間も有意義に使えるコインランドリーが増加しています。
-
待ち時間に本格カフェが利用できる
-
無料Wi-Fiが設置されている
-
洗濯代行サービスが利用できる
-
スマホとの連動で洗濯完了時間がわかる
-
ガソリンスタンドが併設されている
付加価値をつけたコインランドリー経営で重要なポイントは、自己流だけで工夫するのではなく他店舗を調査し、評判の良いサービスを導入してみることです。その上で、自店を利用している顧客のニーズを調べて、差別化を意識したサービスを取り入れましょう。
まとめ
この記事では、コインランドリーを経営するメリット・デメリットや経営に成功するコツを解説しました。コインランドリー経営は、アパートやテナントビル経営に比べて利回りが高くなりやすい点や、空室・滞納リスクがない点がメリットとして挙げられます。ただし、導入する設備によっては高い初期費用がかかり、立地を間違えると需要が限られてしまう点に注意が必要です。
コインランドリー経営で成功するためには、現実的な収支計画を立てて、顧客のニーズに合わせたサービスを取り入れることが重要です。コインランドリー経営は、近年人気が集まっている土地活用方法です。安定した収益基盤を築けるコインランドリー経営で、有効的な土地活用を実現しましょう。