コインパーキング経営に「メリットはあるの?」「失敗しないコツはあるの?」と、悩んでいる人もいることでしょう。

コインパーキングの経営にはメリットやデメリット、コツなどがあり、それぞれの内容を理解すれば成功する確率が上がります。

本記事では、コインパーキング経営のメリット・デメリットや経営方法、初期費用について解説します。記事の後半では、失敗しないためのコツも紹介していますので、コインパーキング経営を始めるか悩んでいる人は内容を見て疑問の解消につなげてください。

コインパーキング経営の5つのメリット

コインパーキング経営には、次の5つのメリットがあります。

  1. すぐに利益を得られる

  2. 狭小地や変形地でも土地活用できる

  3. 知識がなくても経営できる

  4. コインパーキング事業は撤退しやすい

  5. 初期費用が安い

メリットを活かしつつ、コインパーキング経営を成功に導いていきましょう。

1.すぐに利益を得られる

コインパーキングは比較的早く運用を開始できるため、すぐに利益を得られます。

不動産投資には、駐車場経営の他にもアパート・マンション経営などがありますが、準備から建物完成、利益を得るまで数年かかることも珍しくありません。

しかし、コインパーキング経営の場合、一般的には土地にアスファルト舗装し、業者に設備を設置してもらうだけで運用を開始できます。進め方によるものの、おおよそ2週間〜4週間くらいで利益を得られます。

不動産投資は、利益が上がる前でも固定資産税や草刈りなどのランニングコストがかかるため、利益がすぐに得られるのは経営者にとって大きなメリットです。

2.狭小地や変形地でも土地活用できる

コインパーキングは駐車できるスペースがあれば運用できるため、狭小地や変形地でも利益を得られます。

狭小地とは土地の面積や間口が狭い土地で、変形地とは三角形や台形、くびれのある形状などの土地です。狭小地や変形地によっては建物が建てられず、アパート・マンション経営ができないケースもあります。車両が通行できるスペースと駐車できるスペースがあれば、コインパーキングとして利用できます。

土地活用しにくい形状の土地を所有していたとしても、コインパーキングなら利益を得られるでしょう。

3.知識がなくても経営できる

コインパーキング経営は、アパート・マンション経営に比べて少ない知識で始められます。

アパート・マンション経営は人の住まいを提供する不動産投資であり、生活している人とのトラブルに発展するおそれがあります。人が建物に住む権利は強く守られており、退去の交渉や生活の改善の要望などは法律の知識がないとうまく進みません。

また、建物があると定期的に補修の費用を負担しなければならない、税金の計算が複雑になるなどお金の知識も必要です。

コインパーキングには人が住みませんし、土地のみの知識で経営できるため、必要になる知識が少なくなります。

4.コインパーキング事業は撤退しやすい

コインパーキングは、アスファルト舗装と簡易的な設備しかないため事業の撤退が容易です。

アスファルト舗装と簡易的な設備の撤去は簡単におこなえ、撤退期間中の赤字を圧縮できます。一方、アパート・マンション経営の場合、そもそも入居者を理由もなく強制退去させられません。経営が赤字になっていたとしても、入居者が自主的に退去するまで待つ必要があります。

もちろん、入居者が撤退するまで建物の解体はおこなえず、自由に土地を使うこともできません。コインパーキングなら、子どもの家を建てたい、更地にして売却したいなど、すぐに別の用途で土地を利用できます。

5.初期費用が安い

アパート・マンション経営するには数千万円〜数億円かかるケースもありますが、コインパーキング経営の場合、基本的に土地の整地費用とアスファルト舗装費用だけで済みます。

土地の有効活用を検討している人の中には、多額の資金を捻出できない人もいますが、コインパーキング経営なら少ない初期費用で運用できます。

ただし、コインパーキング経営の方法によって初期費用は大きく変わるため、費用が抑えられる方法を理解しておかなければなりません。経営方法については後述します。

コインパーキング経営の3つのデメリット

コインパーキング経営には、次の3つのデメリットがあります。

  1. 税金の節税効果が低い

  2. 面積効率はよくない

  3. 収益が立地に左右される

デメリットの内容を把握すれば、コインパーキング経営に失敗する可能性が低くなります。

1.税金の節税効果が低い

アパート・マンション経営は土地の固定資産税や所得税の節税につながりますが、コインパーキング経営に節税効果はあまり得られません。

土地の固定資産税の減税を受けるには、敷地に住居系建物が建っていなければならず、所得税を節税するには建物の減価償却費の計上が必要です。

どちらも建物に由来する減税制度であり、土地だけを利用するコインパーキング経営では使えません。

ただし、コインパーキング経営でも、相続税の減税制度である「小規模宅地等の特例」は対象になります。

小規模宅地等の特例とは、一定条件を満たした場合、相続する土地の評価額が50%〜80%下がる税制です。適用には多くの条件があるため、税理士と相談のうえ小規模宅地等の特例が利用できるか確認しましょう。

2.面積効率はよくない

コインパーキング経営は面積効率がよくなく、多額の賃料を得るのが難しい投資方法です。

アパート・マンション経営の場合、2階建て以上にするケースがほとんどであり、土地面積以上の賃料が入るものの、コインパーキングは基本的に土地面積分しか有効活用できません。

立体駐車場をコインパーキングにする方法もありますが、建築には多額の費用がかかり、土地面積もかなりの広さを要します。

3.収益が立地に左右される

コインパーキングには適した立地があり、立地の良し悪しによって収益に大きな差が出ます。

大きな収益を得るには、駐車場の一時利用が多い地域の土地でなければなりません。郊外の路上駐車できる地域、そもそも車の台数が少ない地域などではコインパーキングで収益を得るのは難しいでしょう。

コインパーキング経営する際には、経営に適した地域かどうか調査しておくことが大切です。

コインパーキング経営の方法

コインパーキング経営の主な方法は、次のとおりです。

  • 自主管理方式

  • 管理委託方式

  • 一括借り上げ方式(サブリース)

経営方法には違いがあるため、違いを理解して自分にあった方法を選びましょう。

自主管理方式

自主管理方式とは、コインパーキングの機材の導入や駐車場の管理をすべて経営者がおこなう方法です。

経営者がすべて自分で管理するため、機材の導入費用や管理の手間がかかります。しかし、コインパーキングで得られる収益は、すべて経営者に入ります。

安定した収益を得るには、正確な市場調査、的確な広告活動、顧客満足度を獲得できる管理が必要です。そのため、自主管理方式はコインパーキングのノウハウを豊富にもっている経営者に向いています。

管理委託方式

管理委託方式は、コインパーキングの機材の導入や整備を経営者がおこない、駐車場の管理を管理会社がおこなう方法です。

コインパーキングの運営には、駐車場の清掃や点検のほかに駐車場料金の回収、おつりの補充などの作業が必要です。こうした管理はかなりの手間になるため、管理会社に管理を任せて負担を軽くします。

管理会社に管理を依頼すると、委託料として費用がかかります。サービス内容や委託料は管理会社によって異なり、しっかりと内容を比較して管理会社を選ぶことが大切です。

一括借り上げ方式(サブリース)

一括借り上げ方式とは、サブリースとも呼ばれ、土地をコインパーキング運営会社に貸す方法です。

あくまで土地を貸すため、コインパーキングの収益に関係なく安定して地代を得られます。経営者はコインパーキング運営に介入しないため、機材の設置や管理の必要はなく、費用もかかりません。

ただし、土地の維持に必要な固定資産税や都市計画税、自治会費などは経営者の負担です。

コインパーキング経営の流れ

コインパーキング経営を一括借り上げ方式で進める場合、次の手順で進めます。

STEP1.コインパーキング運営会社に相談する

STEP2.コインパーキング運営会社がニーズの調査をおこなう

STEP3.依頼する会社を選んで契約締結する

STEP4.コインパーキング運営会社が土地の舗装や設備を設置する

STEP5.コインパーキング経営を開始

上記のように一括借り上げ方式を選択した場合、経営者はコインパーキング運営会社を選ぶだけで経営を開始できます。

もしほかの方式でコインパーキング経営するなら、経営者が自身でニーズを調査し、駐車場を整備しなければなりません。

コインパーキング経営に必要な初期費用

コインパーキング経営に必要な初期費用は、次のとおりです。

・アスファルト舗装:4,000~5,000円/㎡

・ライン引き:6万円~8万円(50m程度)

・車止め:1万円~2万円/1台

・料金精算機:40万~50万円/1台

・ロック板:10万円/1台

・監視カメラ:30万円~40万円(工事費込)

※上記に加え電気配線や設備の整備も必要

経営に必要な初期費用は、どの方法で経営するのかによって異なります。自主管理方式を選択する場合、すべての初期費用がかかります。しかし、一括借り上げ方式なら上記の費用を払う必要はありません。

コインパーキング経営の収益計算

コインパーキング経営の収益は、次のように計算します。

1時間あたりの駐車料金 × 24時間 × 稼働率 × 365日 = 年間の収益

それでは、具体的な数字を用い、コインパーキング経営の収益をシミュレーションしていきましょう。

【シミュレーション条件】

・1時間あたりの駐車料金:500円

・稼働率:30%

500円 × 24時間 × 30% × 365日 = 131万4,000円(年間の収益)

なお、管理委託方式を採用した場合、年間の収益から委託料が差し引かれます。また、一括借り上げ方式を選択した場合、コインパーキング運営と取り決めした地代が収入になります。

コインパーキング経営で失敗しない3つのコツ

コインパーキング経営で失敗しないコツは、次の3つです。

  1. 適切な運営会社を選ぶ

  2. 失敗事例を学ぶ

  3. 需要の高さを調査する

失敗しないコツを実践し、コインパーキング経営を成功に導きましょう。

1.適切な運営会社を選ぶ

一括借り上げ方式で経営すれば、駐車場の整備も管理も必要なく手間がかかりません。しかし、適切なコインパーキング運営を選択しなければ、不適切な賃料を提示されたり、ずさんな管理をされたりします。

コインパーキング運営会社を選ぶ際には、口コミや評判を調査し、適切な会社を探すようにしましょう。

2.失敗事例を学ぶ

コインパーキング経営の失敗事例を学べば、適切な対策の実施が可能です。

コインパーキング経営の失敗には、次のような事例があります。

  • 賃料の安い競合が近くにオープンした

  • 区画が狭すぎて特定の車種が停められなかった

  • 防犯カメラなどを設置せず盗難が発生した など

たとえば、経営する駐車場の近くに空き地が多い場合、競合のコインパーキングができるかもしれません。土地を購入してコインパーキングを始めるなら、そのような場所は避けたほうがいいでしょう。

このように失敗事例を学べば、事例に対応した方法を検討できます。

3.需要の高さを調査する

コインパーキングにする土地が、どの程度の需要があるか調査しておきましょう。

需要の高さを調べないと、相場に合った値付けができません。価格が相場より高ければ稼働率が下がり、低ければ収益が低くなります。

どちらの結果になったとしても、コインパーキング経営はうまくいきません。

需要の高さを調べるには、車両の通行量や競合の数などさまざまな要素を考慮する必要があります。しかし、個人で調べるのは難しいため、不動産会社からアドバイスを受けつつ進めるといいでしょう。

まとめ

コインパーキング経営に成功するには、メリット・デメリットや失敗しないためのコツを理解しておくことが大切です。

また、自主管理方式で経営するには専門的な知識が必要であるため、経営に自信がない人は一括借り上げ方式で始めることをおすすめします。

一括借り上げ方式でコインパーキング経営すれば、設備の設置費用がかからず管理も任せられます。基本知識を得てからコインパーキング運営会社に相談すれば、経営に成功する確率が高くなるはずです。