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「親の家を売りたい。でも何から始めたらよいかわからない…。」親の家を売る場合には、名義が誰であるかによって、売るために必要な手順が異なります。今回の記事では、親の「代理」として売却する場合、「相続」で取得した親の家を売る場合、それぞれに必要な書類や受けられる特例、税金面での注意点などをご紹介します。

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この記事に記載の情報は2023年10月03日時点のものです

親の代わりに家を売る方法

親の家を売る方法

親の代わりに家を売る場合、「親の代理」として売る方法と、「成年後見人」として売る方法があります。まずはそれぞれのパターンでどのような手続きが必要になるのかをご紹介します。

親の代理として売る場合

親の「代理」として家を売る場には、必ず委任状が必要となります。委任状に特定の形式はありませんが、

  • 誰が誰に委任するのか
  • どこまで委任するのか(委任の範囲)
  • 売却物件について(所在地、面積、構造)
  • 売却条件
  • 金銭の取り扱い
  • 有効期間

などを明確にしておきましょう。重要なことは、どこまでを委任するのかという「委任の範囲」を明確にしておくことです。これにより、のちのちのトラブルを防ぐことができます。

また、委任状の押印部分は実印で行い、印鑑証明書、住民票もあわせて準備しておきましょう。

成年後見人として売る場合

成年後見人として家を売る場合、もちろん成年後見人になっているのではれば成年被後見人の不動産を処分することができます。ただし、「居住用不動産」の処分については、「家庭裁判所」の許可が必要となりますので注意しましょう。

用語チェック
居住用不動産
成年被後見人が生活をするために現に居住の用に供している、または居住の用に供する予定がある建物や敷地のことを言います。一方、非居住用不動産については、成年後見人の判断で処分(売却)することができます。
この章の重要ポイントまとめ
  • 代理として売却する場合には委任状が必要
  • 居住用不動産を売却する場合には家庭裁判所の許可が必要

相続した親の家を売る方法

相続した親の家を売る方法

相続した親の家を売る場合、どのような流れを踏む必要があるのでしょうか。必要な手順としては以下の通りです。

  • 所有権移転登記
  • 仲介業者に依頼
  • 売却活動
  • 確定申告

所有権移転登記

まずは、相続で受け取った不動産の所有権移転登記をしなければなりません。いわゆる、「不動産の名義変更」です。この名義変更が行われてから、初めて不動産の売却が可能になります。

【関連記事】 不動産の相続登記の流れ|相続があったら早めに手続きを

仲介業者に依頼

続いて、不動産売却の仲介業者を選びます。仲介業者により、売却価格が数百万円単位で変わることもありますので、仲介業者は注意深く選定する必要があります。

仲介業者との媒介方法には

  • 専属専任媒介
  • 専任媒介
  • 一般媒介

があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

契約の種類 特徴
専属専任媒介契約 ・複数の不動産会社への依頼はできない
・媒介契約締結の日から5日以内にレインズ(不動産流通標準情報システム)に登録
・1週間に1回以上の報告義務
専任媒介 ・複数の不動産会社への依頼はできない
・媒介契約締結の日から7日以内にレインズ(不動産流通標準情報システム)に登録
・2週間に1回以上
一般媒介 ・複数の不動産会社への依頼が可能
・レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録義務はない
・報告義務はない

それぞれにメリットやデメリットがありますので、売却したい親の不動産の特徴も踏まえ、どの媒介方法で不動産会社と契約を結んだらよいのかをよく考えておきましょう。

【関連記事】
専属専任媒介契約の基礎知識|メリット・デメリットは?選ぶべき人は?
専任媒介契約とは|その他の媒介契約との違いと解約の注意点
一般媒介契約の基礎知識|メリット・デメリットと一般媒介を選ぶべき人

売却活動

仲介業者が決まると、次はいよいよ売却活動です。仲介業者により紹介された購入希望者の内覧や価格交渉が行われます。ここでの注意点は、

  • 相場の確認
  • 内覧前の掃除
  • 契約書の確認

となります。

相場の確認

不動産を売却する際には、売主側もある程度の知識を持っておくことが大切です。例えば、インターネットなどで親の不動産の売却物件と近い条件に該当する不動産相場を調べておくと、大体の相場がいくらぐらいなのかを把握することができ、買主や不動産会社からの不利な条件提示に対して、適切に対応することができます。

内覧前の掃除

内覧時に家がきれいに整っているかどうかで印象は大きく変わり、契約成立に至るかどうかだけでなく、売却代金の部分までにも影響を与えます。特に目につきやすい玄関や水回り、キッチンなどはよく掃除しておきましょう。リフォームとまではいかなくても、「クリーニング」などのサービスを受けておくと、好印象を与えることができるかもしれません。

契約書の確認

契約書で確認しておいたほうがよい点は

  • 売買物件の表示
  • 売買代金、手付金等の額、支払日
  • 所有権の移転と引渡し時期
  • 公租公課の精算
  • ローン特約
  • 付帯設備等の引渡し
  • 手付解除
  • 契約違反による解除
  • 瑕疵担保責任

です。この部分は契約の中心部分となりますので注意して確認しておきましょう。もちろん納得のいく価格や条件で売却をする必要がありますが、売却までの期間が空き過ぎると受けられなくなる軽減措置もありますので、「売却時期」にも注意しましょう。

確定申告

親の家を売ったら確定申告

相続した不動産を売却したら、その翌3月15日までに確定申告をし、課税が発生するようであればその分を納税しなければなりません。相続した不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得税が課されます。不動産の譲渡所得は「分離課税」となっており、給与所得などとは別に計算されます。ですので「譲渡所得の内訳書」「申告書第三表(分離課税用)も作成し提出します。

【関連記事】 家を売却したら必ず確定申告|申告方法や流れを初めての人向けに解説

相続した親の家の売却にかかる税金

家の売却にかかる税金

相続で取得した家を売却する場合、発生する税金は「所得税」と「住民税」です。この所得税に関しては所有期間により税率計算が変わります。

売却した年の1月1日時点において所有期間が5年以下の場合、「短期譲渡所得」となります。一方5年超の場合には「長期譲渡所得」に該当し、それぞれの税率は次の通りです。

所得の種類 所得税 住民税 復興特別所得税 合計の税率
短期譲渡所得 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得 15% 5% 0.315% 20.315%

参考:土地や建物を譲渡したとき|国税庁

また、そのほかに発生する税金としては、売買契約書を交わしますのでその契約書に貼る印紙税、売却前には名義変更をしますので登録免許税などもかかります。

【関連記事】 相続した不動産の売却にかかる税金と計算方法|その他の費用もチェック

受けられる特例

親の家を売却する場合に受けられる特例には、以下のようなものがあります(最新の特例や控除については専門家にご相談ください)。

  • 取得費加算の特例
  • 空き家売却特例
  • 居住用不動産の3,000万円特別控除

取得費加算の特例

相続が発生してから3年以内の売却の場合、税負担が軽減されます。通常の譲渡所得の税金計算で使う「取得費」や「譲渡費用」に加えて売却した土地や建物に対する「相続税額」も加算することができるので、結果として課税対象になる譲渡所得を少なくすることができ、税金を抑えることができます。

参考:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

空き家売却特例

空き家売却特例とは、相続によって空き家になった不動産を相続人が売却し、適用要件を満たしている場合には、当該不動産を売却した際の譲渡所得から3,000万円を控除することができるというものです。

参考:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

居住用不動産の3,000万円特別控除

居住用不動産の3,000万円特別控除とは、居住用不動産(いわゆるマイホーム)を売却したときに売却利益が出た場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができるという譲渡の特例のことです。

【関連記事】 3000万円の特別控除とは?知らないと損するその他の特例も紹介

親の家を売却するという際には、これらの特例や控除を使うための条件に該当していないか確認しましょう。また、取得加算の特例は相続発生から3年以内という期間が定められているため注意しましょう。

参考:マイホームを売ったときの特例|国税庁

まとめ

今回の記事では、親の家の売却について、代理と相続、それぞれのケースでの方法やその際に適用できる特例についてご紹介しました。受けられる特例や控除も毎年若干の変更がありますので、詳しくは専門家に相談してみましょう。

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