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  • 土地を手放したい
  • 売りに出したけれどなかなか売れない

といったことでお困りの方も多いのではないでしょうか。

売れないからといって放置していても固定資産税がかかりますし、建物の老朽化による倒壊の危険性やシロアリなど不衛生な環境を招いてしまうと、行政から改善するよう求められ、手元に置いておくだけでも管理・維持の手間がかかってしまいます。

しかし、土地はいらないからといって放棄することは許されていません。土地の所有権を放棄する手続きは存在しないからです。

そこでこの記事では、いらない土地を手放したいときに考えられる、4つの方法についてご紹介します。

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この記事に記載の情報は2023年10月03日時点のものです

売れないからといって土地の所有権は放棄できない

買い手がつかない土地ならば、いっそ所有権を放棄してしまいたいと考える人もいるでしょう。

この問題に関しては専門家でも意見が分かれる部分で、民法第176条では所有権の移転などは意思表示のみで行えるとあります。

(物権の設定及び移転)

第百七十六条 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

引用元:民法第176条

つまり理論的には所有権の放棄が可能ではあると思います。

しかし、土地の所有権を放棄する手続きは存在せず、また放棄ができないことを明確に定めている法律も存在しないのが現状です。

また、土地の所有権を放棄した場合、民法第239条では所有権のない不動産は国のものになるとされているため、

(無主物の帰属)

第二百三十九条 所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。

2 所有者のない不動産は、国庫に帰属する

引用元:民法第239条

一見、国に引き取ってもらえるという見方もできます。しかし、国が引き取るにしてもそもそもそのための手続きの手段がないとなればどうしようもありません。

また、放棄したい不動産が危険な物件だった場合は認められないという見解もあるようです。

放棄できるのは、国が持つことについて何らかの価値を見出せるもの、あるいは少なくとも持っていてもリスクを負うようなものではないものに限られる。前者の場合、寄付を受け付ける場合の条件に近く、後者を含めれば、それよりは広げた範囲において放棄を認め、国が引き取ってもよいという考え方になる。しかし、現状では国は基本的に寄付すら受け付けておらず、より広い範囲で国が引き取らなければならないとなると、国の負担は増す一方である。

引用元:富士通総研|不要な不動産の所有権は放棄できるのか

そのため、売却することが叶わない場合は、現状では寄付する以外に土地を手放す手段はないといえるでしょう。

もっとも、どんな不動産でも一方的に寄付することはできません。寄付先も見つからなければ「放棄」は不可能ということになります。

相続放棄と所有権の放棄は別問題

「相続した財産なら、不要な土地は相続放棄すればいい」と思う人はいませんか?

実は、相続放棄をしても土地の名義は放棄した被相続人のまま。固定資産税を納める義務はなくなりますが、土地を管理する義務は残ります。しかも、相続放棄には家庭裁判所への手続き費用や相続管理人への報酬で数十万円の費用が発生するのです。

不要な土地と早く縁を切りたいなら、なんとかして売却するのが賢明です。

土地を放棄するのは簡単ではないとわかりました。それでは、放棄以外でスムーズに売るための方法はないのでしょうか?

土地放棄以外の方法1:方法を変えて売却を試みる

なぜ売却しようとしても売れないのかをもう一度考えてみましょう。その上で、方法を変えれば売却できるかもしれません。

複数の不動産会社に相談してみる

不動産会社に土地の売買を相談した方の中には、「その土地は売れない」と言われた方もいるかもしれません。しかし、不動産会社には不動産の種類や場所によって得意・不得意があるため、依頼するのにふさわしい会社は異なります。つまり、あなたの土地に合った不動産会社を見つけることが、売却成功のカギとなるのです。

不動産の一括査定サイトを使うと、複数の不動産会社へ一括で査定を依頼できます。そのなかから、あなたの土地売却に自信のある会社がきっと見つかるはずです。

記事の後半で一括査定サイトについてご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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売れないようなら売値を下げる

せっかくの土地ですから、できればより高く売りたいと思うのは当然です。しかし売値が売れない原因になっているのであれば、ある程度は妥協することを検討しなければなりません。

売却を一度試している方なら物件の相場を調べているかと思います。また、依頼している不動産仲介業者も相場にもとづいて売値を決めているでしょう。

しかし、その価格で売却できないのなら、相場だけでなく、購入希望者が買いたいと思える価格になっているか、再検討する必要があります。売り出してから3ヶ月ほど経っても買い手が付かない場合は、思い切って売値を下げてみましょう。

土地が広すぎるなら分筆登記を行う

土地が広いというのはアピールポイントになりそうなものですが、住宅を建てるには無駄に広すぎるという場合もあります。特に都会では土地が高いため、個人単位で広い土地を購入するのには限界があります。

そのようなときは分筆登記(ぶんぴつとうき)といって、登記簿上ひとつの土地を複数個に分ける登記をしましょう。これによって土地を小さくすることができ、買い手にとって購入しやすい広さで売り出すこともできます。

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土地放棄以外の方法2:土地を寄付する

手放したいけど放棄ができない土地は、売却する以外に自治体、個人または法人のいずれかに寄付または譲渡する選択肢があります。

自治体へ寄付する

自治体に寄付をして土地を手放す方法です。自治体に寄付する場合、個人所有の土地を道路用地として寄付するには、『寄付採納申請(きふさいのうしんせい)』という手続きを行うことになります。

寄付採納申請は自治体が土地を審査し、自治体ごとに定めている基準を満たしているようであれば、地方自治体が土地の寄付を受け付けるという仕組みです。自治体が寄付を認めれば土地の所有権も自治体へ移るので、その後は税負担や建物の老朽化などに気を使う必要はなくなります。

ただし、自治体によっては建物のない土地しか受け付けない場合もあります。また、老朽化した危険な建物の処分や公園緑地など、別の用途へ転用する名目で土地や建物を寄付できる制度になっている自治体も見られます。

また、どの自治体にも寄付制度が用意されているわけではなく、制度が整っている自治体でも行政の審査を受ける必要がある点がネックです。

自治体としても道路や公園にするなどの有益な使用目的があったり、その土地に建っている空家を放置したままでは将来的に危険が考えられるといった特別な事情がない限り、寄付は難しいというのが実情です。

個人へ譲渡する

地方自治体に寄付できない場合は、知り合いや近隣の人など誰かに譲渡する手段も考えられます。

しかし、売却も自治体への寄付もできないような土地のため、たとえタダでも譲渡先を見つけるのは現実的に難しいでしょう。

実際に受け取ってくれたケースを見ると、放棄したい土地に隣接した土地の所有者です。地続きの土地を手に入れることができれば、住宅の敷地を広げたり、駐車場に活用したりと、まとまった一団の土地として扱えるからです。

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一団の土地
土地利用上、現に一体の土地を構成し、また一体としての利用に供することができる土地のこと。権利主体者が同一、土地が相互に連接しひとまとまりとなっている、売買契約時に利用目的等について密接な関連を持つなど、といった条件を満たしているもの。

所有権移転登記で税金が貰い手にかかる

所有権を他の誰かに移す場合、所有権移転登記というものをしなければなりません。

用語チェック
所有権移転登記
土地や建物の所有が変わったときに行う登記(登記簿の内容を変更すること)。法務局のほか、オンラインでも申請が可能。

その際、土地の貰い手は登録免許税や不動産取得税を支払う必要があるので、取引前に相手がそのことについて認識していないようなら、トラブル回避のために事前に伝えておきましょう。

公益法人へ寄付する

ほかに公益法人に寄付する方法も考えられます。公益法人とは以下のように社会の利益のために活動する団体で、学術や芸術、慈善活動などをしています。

用語チェック
公益法人
社会公共の利益を図ることを目的とし、営利を目的としない法人をいう。営利法人に対する概念である。社団法人と財団法人の2種類がある。

公益法人へ寄付をするメリット

土地の寄付先に営利団体を選ぶメリットは、公益法人に寄付したほうが譲渡所得税という税金の面で得という点です。

譲渡所得税というのは土地を売却したときに得た利益(=譲渡所得)にかかる税金のことで、今回のように無償で譲渡した場合は本来なら発生しません。

しかし個人が法人へ譲渡した場合、それが無償によるものだったとしても、譲渡所得があったとみなして譲渡所得税がかかってしまうのです。これを『みなし譲渡所得』といいます。

所得が発生していないのにもかかわらず譲渡所得税が課せられる理由については、以下の外部サイトで説明されていますので、ご覧ください。

参考:法人保険の教科書 みなし譲渡所得|利益がないのに税金を取られる理由と注意点

土地放棄以外の方法3:土地を相続する前に相続放棄を行う

遺産相続の際に欲しくもない土地や建物をもらうと、税金や建物の管理などで面倒なことが多くなりますが、相続段階であれば相続放棄によって回避することができます。

相続放棄とは

相続放棄は遺産相続が発生した段階で、被相続人の遺産をすべて放棄する手続きのことです。相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に行うことで、土地の相続を防ぐことができます。

相続の放棄の申述の受理件数推移

参考:司法統計年報|裁判所

上のグラフは「相続の放棄の申述の受理」、つまり相続放棄を裁判所に申述して、それが受理された件数の推移を表したものです。これを見るとかなりの数の相続放棄が行われているうえ、近年さらに右肩上がりに増えているのがわかります。それだけ「相続したくない財産」が己の身に降りかかってきている人が多いということです(ちなみに借金を相続したくないというのも、相続放棄の主要な理由の一つです)。

3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄をする旨の申述を行って相続放棄をすることができれば、売却先や寄付先を頑張って探さなくても土地を手放すことができるでしょう。

【外部の参考サイト:相続弁護士ナビ】
▶相続放棄とは?期限や手続き方法と7つの注意点を解説
▶相続放棄の費用相場|自分でした場合と弁護士に依頼した時を徹底比較
▶相続放棄申述書の書き方とサンプル|必要書類や費用・申述手順を解説
▶相続放棄の無料相談窓口を紹介【休日対応・夜間対応の機関も】

相続人全員が放棄しても管理責任はなくならない

前述したように、相続放棄をすれば土地の税負担や管理から解放される思われがちですが、相続人全員が相続放棄をした場合、管理責任が相続放棄をした人に発生します。

特に、全国的に話題になっている地方の空き家は、相続放棄でよく問題になります。土地に老朽化した空き家が建っている場合、倒壊や衛生状態などで近隣に迷惑をかけないように管理しなくてはなりません。そのための修繕費や解体費用も相続放棄した人が負担しなければならないのです。

もしも管理の不届きが原因で誰かに実被害を与えてしまった場合は、被害者に損害賠償を支払わなければいけない可能性も出てくるでしょう。

相続放棄をして管理責任を逃れるには?

相続放棄するには、自分以外の相続人を探す必要があります。ただ、知人や実態を知っているほかの相続人が引き受けてくれる可能性は低いいため、家庭裁判所へ『相続財産管理人の選定』の申立てをすることになります。

選ばれた相続財産管理人は、土地や建物の管理と債権回収をすることになります。ただし、本人にとってなんらかのメリットがないと相続財産管理人に好き好んでなることはまずあり得ません。被相続人にお金を貸していたり(債権回収目的)、被相続人の特別縁故人(相続財産の分与を受ける目的)でもない限り、申立てをしても相続財産管理人になる人は現れないケースがほとんどです。

したがって、相続放棄によって土地の責任から完全に逃れることはかなり難しいことと言えます。

参考:裁判所|相続財産管理人の選任

土地放棄以外の方法4:土地を活用して収益化を目指す

土地を所有し続ける以外に方法がない場合は、土地活用ができないか検討して、少しでも収入が発生する状態にできるのがベストでしょう。土地の活用は節税対策にもなるため、土地を手放さないことは必ずしも悪いことばかりではありません。

代表的な土地活用の方法は賃貸住宅の経営ですが、そのほかにも駐車場やトランクルーム、コンビニの経営も人気があります。経営にあたっては責任も生じるので、管理業務を代行してくれる不動産会社に依頼するのがよいでしょう。

また自治体やNPO法人が運営する『空家バンク』への登録検討もおすすめします。空家バンクは土地の所有者と賃貸もしくは購入希望者のマッチングサービスであり、思わぬ借り手、買い手がみつかるかもしれません。

運営:一般社団法人 移住交流推進機構(JOIN)
〒103-0027 東京都中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル13階
TEL/FAX 03-3510-6581 / 03-3510-6582
URL:https://www.iju-join.jp/akiyabank/
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約1,700社 全国 約470万人
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さらに、ご自身の住まいに合わせて、一括査定サイトを組み合わせて利用するのが上手な使い方です。

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一括査定サイトについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

土地売却などの相談先

土地を売却などで手放すときは、税金の納付や契約書の作成、登記などといろいろな作業を行う必要があります。そんなとき頼れる専門家がいると安心ですよね。

税理士 土地売却、寄付には譲渡所得税がかかります。また売却損があった場合には損益通算によって節税ができることもあります。このような不動産売却に関する税金について相談できるのが税理士です。
司法書士 所有権移転登記や不動産売買契約書の作成をするときは司法書士に依頼することができます
弁護士 相続放棄の申述や不動産売買でのトラブルでは弁護士に相談しましょう。

参考:不動産売却を業者に相談する時に知っておくべき基礎知識まとめ

まとめ

実際のところ、いらないからという理由で土地を手放すのなかなか難しいのが現状です。

しかし、お住まいの地域の自治体と土地の状態によっては引き受けてくれる可能性もありますし、賃貸としての需要や購入希望者もいるかもしれないので、まずは今回の記事でご紹介したこと行動に移してみましょう。

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