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不動産鑑定(ふどうさんかんてい)とは、対象の不動産の最も適正な価格を算出するために行う鑑定評価方法の総称で、不動産鑑定士が都道府県地価調査や固定資産税標準宅地などの専門的な評価を行うことで初めて不動産鑑定評価額を決めることができます。

不動産鑑定は不動産鑑定士しか行うことができず、彼らの活躍がないと不動産の価格を正しく評価できない為、不動産鑑定士の責任はかなり重大と言えるでしょう。

第三条  不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を行う。

2  不動産鑑定士は、不動産鑑定士の名称を用いて、不動産の客観的価値に作用する諸要因に関して調査若しくは分析を行い、又は不動産の利用、取引若しくは投資に関する相談に応じることを業とすることができる。
引用元:不動産の鑑定評価に関する法律

このように、不動産鑑定は一般人ではできない為、多くの方にとっては馴染みの薄いものになるかもしれませんが、不動産がどう評価されて市場の価格が決まっていくのかを知ることは、不動産売却を検討していたり、相続時の不動産価値を知りたい方なら覚えておいて損はないかと思います。

そこで今回は、不動産鑑定士が行う不動産鑑定の基礎知識をご紹介していきますので、参考にして頂ければと思います。

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この記事に記載の情報は2023年10月03日時点のものです

そもそも不動産鑑定はなんの為に行うのか?

冒頭でもお伝えしましたが、不動産鑑定は不動産の経済価値を判定し、金額で表示させるもので、不動産の最も適正な価格を算出することが目的とされています。

国土交通省の不動産鑑定評価基準にも、

(1)鑑定評価の対象となる不動産の的確な認識の上に、

(2)必要とする関連資料を十分に収集して、これを整理し、

(3)不動産の価格を形成する要因及び不動産の価格に関する諸原則についての十分な理解のもとに、

(4)鑑定評価の手法を駆使して、その間に、

(5)既に収集し、整理されている関連諸資料を具体的に分析して、対象不動産に及ぼす自然的、社会的、経済的及び行政的な要因の影響を判断し、

(6)対象不動産の経済価値に関する最終判断に到達し、これを貨幣額をもって表示するものである。
引用元:不動産鑑定評価基準

ということが明記されています。

表:不動産鑑定を行う目的

個人の場合 1:不動産の適正価格を知りたい場合
2:遺産分割や遺留分減殺請求などの際
3:不動産の節税対策で利用
4:家賃や地代の適正な判定 など
企業の場合 1:不動産売買時の評価
2:地代・家賃の分析
3:節税対策など
税理士の場合 1:相続財産の時価評価で利用
2:広大地の判定意見書の作成
3:等価交換・同族間取引
4:不動産調査代行 など
弁護士の場合 1:鑑定評価書作成をして家賃・地代の増減請求
2:相手方の鑑定評価書を分析するとき
3:準備書面の分析、意見書作成 など

基本的に、不動産の正しい価値を知りたい個人だけではなく、企業や税理士、弁護士も業務の一環で利用する機会が多いものになるでしょう。

不動産鑑定士が不動産鑑定業務として行う5つのこと

次に、不動産鑑定士が鑑定評価をする際にどのようなことをしているのかを見ていきましょう。

不動産の実地調査

実地調査とは、実際に不動産物件を見に足を運んで、机上だけの評価ではなく、実際にどう言った状態なのかを確認し、鑑定評価をしていきます。

その評価項目にはいくつかあり、

  • 国土交通省の地価公示法を見て基づく標準地評価を決める
  • 各都道府県の地価調査に赴く
  • 固定資産税標準宅地の評価をする
  • 公共用地の取得をする
  • 資産評価 など

こういったポイントを見て、専門的な判断を下していきます。

法務局・役所への調査

法務局や国土交通省などにいって、過去の不動産取引などを確認し、どう言った取引事例があったのか、その時の取引価格はいくらだったのかを調査しにいきます。基本的には外回りの営業マンのように、地道な作業が続くと思われます。

不動産業者へのヒアリング

場合によっては、不動産会社に行ってどのような取引があったのかをヒアリングに行くケースもあります。ある程度の相場があるとは言っても、あくまで相場ですので、

  • どのレベルの不動産が実際にはいくらでやりとりされていたのか
  • どう言った傾向の方が購入しているのか

などは、その土地に根をはる不動産会社に聞くのが一番という考え方なのでしょう。

分析と検討

こうして集めた情報を持ち帰り、事務所で分析と検討を繰り返し、評価手法をもって鑑定評価額を決定していきます。場合によっては建築士などの専門家も交えて、より正確に価格を決定していくことも多いようです。

鑑定評価書の作成

最終的にはお客様に鑑定評価書を納品し、不動産鑑定業務は終了になります。

図:物件調査報告書(土地)記載例

引用元:物件調査報告書(土地)

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不動産鑑定にかかる費用

対象となる不動産の広さや鑑定目的でも費用が異なりますので、一概にいくらとは言いにくいですが一般的には18万〜が相場となると言われています。

表:不動産鑑定評価書の作成費用の例

土地のみ 〈小規模〉戸建住宅が1棟建築できる程度 180,000円~
〈中~大規模〉分譲住宅、アパート、マンション、事務所、ビル、店舗、工場、倉庫などに適した土地、山林 200,000円~
建物のみ 戸建住宅 180,000円~
アパート、マンション、事務所、ビル、店舗、工場、倉庫など 200,000円~
土地と建物 戸建住宅 200,000円~
アパート、マンション、事務所、ビル、店舗、工場、倉庫など 250,000円~
マンション 専有一部屋 250,000円~
賃料 家賃 300,000円〜
地代 300,000円〜

参考:料金|株式会社赤熊不動産鑑定所

不動産鑑定を相談する際の相談先

不動産鑑定について相談できる先としては、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会という組織が良いでしょう。日本の不動産鑑定士を広める活動をしている、いわば総本山であることと、無料相談会などを全国で行なっていますので、まずは相談を考えているのであれば、ここを頼るのが良いかと思います。

民間の不動産鑑定事務所もありますが、ここなら北海道から沖縄まで各都道府県に協会がありますので、お近くの「不動産鑑定士協会」に問い合わせてみることをおすすめします。

▶︎不動産鑑定相談所一覧

不動産鑑定を依頼する際の3ステップ

不動産鑑定の無料相談に行く

まずは、不動産鑑定をしてくれる事務所や協会へ無料相談にいきましょう。民間の不動産鑑定事務所でも良いとは思いますが、選ぶのが大変ですし、どの事務所が良いのかという判断もつかないと思いますので、不動産鑑定士協会の無料相談会というのに参加してみると良いでしょう。

不動産鑑定の申し込みをする

不動産鑑定をすることが決まったら委託契約を結び、正式な鑑定を依頼することになります。これ以降、あなたが何か特別なことをする機会は少ないかと思います。その間に、不動産鑑定士が対象不動産を確認、現地調査しながら法務局や市区町村などに行って、さらに細かく調査を行います。

鑑定評価の方法として、「原価方式」「比較方式」「収益方式」の3つがありますが、こう言った評価方法を行なっているものとして、覚えておくと良いかもしれません。

原価方式 価格を求める手法のひとつで、「価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法」と定義されています。参考:不動産評価基準
比較方式 多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法。参考:不動産評価基準
収益方式 収益還元法は、対象不動産が将来生みだすであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格を求める手法。参考:不動産評価基準

不動産鑑定評価書を受けとる

不動産鑑定士が上記のような複雑な評価方法で算出した結果を不動産鑑定評価書にまとめ、これを受け取ることで不動産鑑定は終了です。

簡単に不動産の価値(価格)を知る方法|一括査定サイトの利用

これまでご紹介してきた不動産鑑定は、かなり厳密に不動産の価格を導き出すものですので、正確ではある反面、費用と時間がかかります。無料で、もっと手軽に不動産価格を知りたい場合はどうしたらよいのでしょうか。

あなたの不動産を得意とする不動産会社に出会うことが売却の成功のカギ

不動産を売却する際は、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。しかし、不動産会社ならどこでもいいわけではありません。あなたの不動産を得意とする会社に依頼することが大切です。

得意な不動産会社と苦手な不動産会社

では、そのような不動産会社はどのように見つければいいのでしょうか?そこで役に立つのが「一括査定サイト」です。

一括査定サイトを使ってあなたの不動産が得意な不動産会社を効率よく探す

不動産の一括査定サイトは、ネット上で自分の物件情報・個人情報を入力するだけで、一度に複数の不動産会社に無料で査定依頼ができるというものです。物件情報をもとに査定可能な不動産会社が自動表示されるので、好みの会社を選んで依頼する、という仕組みです。

一括査定イメージ

不動産会社によって出す査定額はバラバラです。そのため、査定額が出たら金額はもちろん、その根拠も各社に尋ねて比較しましょう。上の図だと、細かい部分まできちんと評価して高額を出してくれているA社に依頼したくなりますね。

ただし、買い手が付かないような過剰に高い金額になっていないか、注意も必要です。高額査定はうれしいものですが、それに加えて納得のいく根拠を示してくれる不動産会社を見分けることが重要です。

このように、一括査定サイトを使うことで、個別に不動産会社に連絡するよりも格段に効率よく依頼できるうえ、各社の比較を通じて、自分に合った不動産会社が見つけやすくなるのです。

よくある疑問

Q.まだ売却時期が決まっていないが、査定してもらえる?
A.査定してもらえます。査定結果を見てから、売却時期の検討を始めても問題ありません。

Q.住宅ローン完済前だが、売却できる?
A.売却できます。ただし、売却の完了時に住宅ローンの残額を一括返済することが条件になります。そのため、まずは査定を受けて住宅ローンの完済が可能かどうかを確かめましょう。

おすすめの一括査定サイトはこの6つ|組み合わせ例も紹介

一括査定サイトは、比較的よく知られているものだけでも30以上。どれを使えばいいのか迷ってしまいますよね。

いえぽーと編集部では、運営歴の長さや利用者数の多さから、信頼できる11サイトをセレクトし、利用をおすすめしています。

そのなかでも、特におすすめなのは以下の6サイトです。


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・業界で最も運営歴が長く信頼感アリ
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約1,500社 全国 約1,000万人
/2001年
 
【おすすめ度】
★★★★★

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・超大手6社のみの参加で安心感抜群
・最大手3社に一括査定が依頼できる唯一のサイト

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・人口が少ない地域は未対応の可能性あり
6社
・三井不動産リアルティ
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・野村不動産ソリューションズ
・三菱地所ハウスネット
・小田急不動産
全国
※一部未対応
年間成約件数11万件以上
/2016年
 
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SUUMO

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【長所】
・業界トップクラスの知名度を誇るSUUMOに物件情報を掲載できる
・電話番号を入力しなくても査定依頼が可能

【弱点】
・競争相手となる物件もSUUMOには多く掲載されている
約2,000社 全国 非公開
/2009年
 
【おすすめ度】
★★★★☆

イエウール

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【長所】
・利用者数1,000万人以上は業界No.1
・参加不動産会社数は約1,600社でこちらも業界屈指

【弱点】
・運営歴が浅く、サポートはやや少なめ
約1,600社 全国 1,000万人以上
/2014年
 
【おすすめ度】
★★★★☆

ライフル・ホームズ

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【長所】
・地元密着型の不動産会社が幅広く参加
・不動産ポータルサイトならではの情報の充実度

【弱点】
・大手で参加していない会社がある
約1,700社 全国 約470万人
/2009年
 
【おすすめ度】
★★★★☆

イエイ

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【長所】
・「イエローカード制」で悪徳業者を徹底排除
・「お断り代行サービス」など各種サポート体制が充実

【弱点】
・大手で参加していない会社がある
約1,000社 全国 400万人以上
/2007年
 

さらに、ご自身の住まいに合わせて、一括査定サイトを組み合わせて利用するのが上手な使い方です。

1つの一括査定サイトで依頼できる不動産会社の数は限られているので、あなたにとって最適な会社がそこだけで見つかるとは限りません。複数の一括査定サイトを組み合わせて使えば、より多くの不動産会社を比較できるようになるので、自分に合った会社が見つかる可能性が高まるでしょう。

以下でおすすめの組み合わせ例をご紹介していますので、参考にしてください。

3大都市圏などの大都市部 それ以外の地域
HOME4U
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すまいValue
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SUUMO
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イエウール
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ライフル・ホームズ
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イエイ
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ポイント ポイント
万能型の「HOME4U」でまずは有力な不動産会社をキープ。大手特化の「すまいValue」と地場企業に強い「SUUMO」でさらに比較対象を増やすのがおすすめ。 1つのサイトで候補に挙がる社数が少ない可能性があるため、提携社数の多い3サイトを組み合わせて選択肢を広げるのがポイント。

ちなみに、首都圏や関西の物件査定であれば、SRE不動産の利用もおすすめです。SRE不動産はソニーグループの不動産会社で、売主のみを担当する「売却エージェント制」を敷いており、100%売主の味方になってくれることから、非常に高い顧客満足度を誇っています。一括査定ではありませんので、上記の一括査定サイトで査定依頼することになった不動産会社にプラス1社、といった使い方もしやすいのが魅力です。

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【対応エリア】東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・京都・奈良

一括査定サイトについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

まとめ

不動産鑑定について概要をお伝えしてきました。不動産鑑定士は正確な不動産価格を出すために、厳密な作業を行ってくれます。

もし、もっと手軽に不動産価格を知りたい場合は、最後にご紹介した一括査定がおすすめですので、検討してみてください。

【関連記事】
不動産売却の全手順|高値での売却を目指すための正しいステップ

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