「不動産売却について調べたときに見かけた『アンダーローン』とは何だろう?」と悩んでいないでしょうか。
アンダーローンとは、所有している不動産の売却価格がローン残高と諸費用を上回っている状態のことです。
この状態で不動産を売れば譲渡益が残るので、新居にかかる初期費用や引っ越し費用に充てられます。
本記事では、アンダーローンの定義や、自分がアンダーローンかどうかがわかる売却価格の調べ方をまとめました。
「調べた結果アンダーローンではなく、残債が不動産価格を上回っていた」という方向けの対処法もまとめているので、記事を参考に取るべき行動を考えてみてください。
この記事の目次
アンダーローンとは? 概要やオーバーローンとの違いを解説
アンダーローンとは、所有している不動産の売却価格がローン残高と諸費用を上回る状態のことです。
不動産の売却額でローンを完済しても利益が出るので、家を売るときの理想的な状態といえます。
売却で得た利益を新居の購入費用や引っ越し費用に充てながら、お得に次の住居に住み替えましょう。
アンダーローンとは逆の状態を、オーバーローンといいます。
オーバーローンは不動産の価格よりもローン残債が上回っているため、仮に不動産を売却しても借金を返済し続けなければなりません。
今所有している不動産がオーバーローンだと売却できない可能性があるので、アンダーローンになるまで家に住み続けるなどの対策が必要になります。
アンダーローンは不動産売却に有利で、オーバーローンは不動産売却ができない可能性があると理解しておきましょう。
所有している不動産がアンダーローンかどうか確認する手順
「所有している不動産がアンダーローンになっているか確認したい」という方は、以下の4ステップを試してみましょう。
1.ローンの残高を確認する
まずは所有している不動産のローン残高を確認しましょう。
ローン残高は、以下の方法で確認できます。
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最も手軽な方法は、借入先の金融機関のマイページから残高を確認する方法です。
そのほか年一回送付される残高証明書でも確認できるので、チェックしやすい方法で残高を調べてください。
2.不動産会社に不動産の査定を依頼する
ローン残高を確認できたら、不動産会社に査定を依頼しましょう。
査定額は不動産会社によって異なるため、複数社に見積もりを依頼するのがセオリーです。
「不動産会社にコネクションはない」「複数社に連絡する時間がない」という方は、不動産一括査定サイトを活用しましょう。
不動産の情報を一度入力するだけで複数社に査定依頼を出せるため、忙しく時間がない方も手軽に手続きできます。
関連記事:不動産一括査定26サイトを紹介|あなたに合ったサイトが見つかる!
3.査定額とかかる費用を確認する
不動産会社から査定額が届いたら、同時にかかる費用の概算も出してもらいましょう。
不動産売却にかかる費用は仲介手数料だけではありません。
司法書士への依頼費用や税金などもかかるので、すべて合算していくらかかるか算出してもらいましょう。
諸費用を差し引かずに計算すると、見積もりが甘く実はオーバーローンだった、という事態に陥る可能性があります。
関連記事:不動産売却にかかる手数料はいくら?シミュレーションや早見表も紹介
4.査定額からローン残高と諸費用を差し引く
最後に査定額からローン残高と諸費用を差し引いて、アンダーローンなのか確認しましょう。
査定額からローン残高と諸費用を差し引き、査定額が上回るようであればアンダーローン、逆に計算結果がマイナスになるならばオーバーローンです。
アンダーローンの不動産を売却する手順
「査定を依頼したらアンダーローンだった」という方は、不動産を売却しても譲渡益が残ります。
実際に売却を検討している場合、以下の手順で進めてみましょう。
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まだ売却活動をはじめていない方は、査定額が高く担当者との相性がいい不動産会社を見つけてください。
複数社に査定を出しながら、条件を満たす不動産会社を探してみましょう。
実際に売却活動をはじめるときは、それぞれのタイミングで必要書類ややるべき手続きがあります。
必要な書類など手続きの詳細は以下の記事にまとめているので、参考にしてみてください。
関連記事:不動産売却の流れと必要な期間は?必要な支払う費用と早期売却のコツについても解説
所有している不動産がオーバーローンだったときの対処方法
「アンダーローンだと思ったらオーバーローンだった」という場合、不動産を手放す際はアンダーローン時とはまったく別の対処方法を取らなければなりません。
以下で紹介している内容を参考に、取るべき対策を考えてみてください。
家に住んだまま返済を継続する
査定に出した結果オーバーローンだとわかった場合は、家を売らず名義人が住んだまま返済を継続しましょう。
支払いを続けつつ売却時期を遅らせることで、アンダーローンになるタイミングを伺います。
返済できる金額に余裕があるなら、繰上げでの返済がおすすめです。
一般的に家は時間が経過するごとに価値が減少していくため、1年でも早くローン残債を減らして、家の価値が下落する前にアンダーローンのタイミングを見つける必要があります。
売却前提で考えているなら、緩やかに減少する家の価値よりもローン残債を早く減らさなければなりません。
住宅ローン以外の固定費や娯楽にかける費用を見直し、ローン返済に充てられる部分はないか確認してみてください。
関連記事:オーバーローンの家を売却する方法は?売却の条件や住み続けるための方法も
住み替えローンを活用する
新居購入のために不動産の売却を考えていた方は、住み替えローンの活用もひとつの手です。
住み替えローンとは、今住んでいる家に対するローンと、新居にかかるローンを合算して借りられる制度のことを指します。
そもそも住宅ローンには抵当権が設定されていて、ローンを完済しない限りこの権利を外せません。
抵当権とは、ローンの返済が滞ったときに競売にかけられる金融機関の権利のことです。
そこで住み替えローンを利用すると、新居にかかるお金と旧宅の残債分のお金を借りられるので、ローンを完済して抵当権を抹消できます。
住み替えローンを利用するには、これまでの返済履歴や現在の収入状況などの審査を受けなければなりません。
まずは住宅ローンを組んでいる金融機関に住み替えローンはないか確認し、取り扱いがない場合は他社の商品を確認してみてください。
ローンを支払えない場合は任意売却する
「すでに何度も滞納している」「収入が減ってローンを支払える状況ではない」という方は、任意売却を検討してみましょう。
任意売却とは、住宅ローンを返済できなくなったときに金融機関の合意を得て不動産を売却する方法のことです。
住宅ローンを滞納していると安値で競売にかけられる可能性があるので、任意売却を活用してできるだけ高値での売却を目指します。
任意売却を活用するためには、専門家に依頼して金融機関に交渉してもらわなければなりません。
不動産会社や弁護士などに相談し、金融機関に任意売却の許可をもらえないか交渉してもらいましょう。
離婚などの財産分与でアンダーローンだったときの対処法
「離婚を機に不動産を手放そうと考えている」「アンダーローンだったときの対処法を知りたい」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
そこで以下では、離婚などの財産分与でアンダーローンだったときの対処法をまとめます。
前提として、所有している不動産がアンダーローンなのか確認するためには、不動産会社から査定をもらわなければなりません。
この前提を押さえたうえで、以下の説明を確認してみてください。
不動産を手放す場合
アンダーローンの不動産を手放す場合は、諸費用やローン残債を差し引き、残った金額を財産分与の対象とします。
基本的には半額の分与となりますが、両者合意のもと割合を変える場合はその限りではありません。
たとえば下記の条件で不動産を売却すると仮定しましょう。
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この場合、売却価格から住宅ローンと諸費用を差し引いた金額は1,500万円になります。
半分で分けるなら、750万円ずつの財産分与です。
不動産を手放さない場合
不動産を手放さない場合は、不動産の時価から住宅ローンを差し引いた金額を財産分与の対象とします。
物件に住み続ける方が退去する方に向けてお金を支払う形になるので、あらかじめ理解しておきましょう。
下記の条件をもとに、どのような手続きを行うのか解説します。
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この場合1,500万円のアンダーローンとなり、1/2にした750万円が財産分与の対象となります。
アンダーローン下での財産分与は大きな金額が動くため、個人間での手続きはおすすめしません。
弁護士や司法書士などの専門家に依頼しながら、契約成立してからトラブルにならないような形で対応してください。
関連記事:離婚後の住宅ローンはどうする?対処法や注意点を解説
アンダーローンについて考えるときによくある質問
アンダーローンについて考える際によくある質問をまとめました。
住宅ローンについて疑問点を抱えている方は、以下を参考にしてみてください。
夫のローンは財産分与の対象になりますか?
借金の理由が家族のために必要なものの場合は、財産分与の対象となります。
一方ギャンブルなど、個人的な理由の借金は財産分与の対象とはなりません。
家のローンが旦那名義のままで離婚したらどうなる?
旦那名義のまま離婚した場合は、2人で分ける形での財産分与となります。
基本的にローンは半額ずつですが、協議の結果割合が変わるようであればその限りではありません。
ペアローンは離婚したらどうなる?
ペアローンを組んで離婚した場合、婚姻中に組んだローンが解消されることはありません。
お互い連帯保証人となっているため、どちらか一方の返済が滞ってしまうと迷惑をかける形になってしまいます。
まとめ
本記事ではアンダーローンの概要や、ローン残高の確認方法をまとめました。
アンダーローンとは、不動産の売却価格がローン残高と諸費用を上回っている状態のことです。
不動産を売却しても譲渡益が残る状態なので、新居の初期費用や引っ越し費用に充てましょう。
なお、「実際に査定を受けてみたらオーバーローンだった」というケースもよくあります。
本当にアンダーローンなのか、まずは不動産会社から査定を受けて売却価格の目安を確認してみてください。