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中古マンションの市場を分析すると、高値で売れる時期と安値でしか売れない時期があることがわかります。したがって、これから自分のマンションを売ろうと考えている人は、売却活動を始めるタイミングを見計らって、高値で推移する時期に売買契約を結べるようにすればよいのです。

しかし実際は、そう簡単にはいきません。なぜなら、中古マンション価格の「波」は、短期間に上下を繰り返す波と長期間で上下を繰り返す波があるからです。つまり短期間の波だけを見ていると大きな波を見失ってしまい、結局トータルでみると安値で売ってしまった、ということになるのです。

自分のマンションを高値で売りたい人は「最適な時期」を逃さないようにしましょう。売るタイミングをつかむコツを紹介します。

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この記事に記載の情報は2023年10月03日時点のものです

中古マンションの売却活動を始める「最適な時期」はある

自分の中古マンションを、市場が高値で推移している時期に売却するには、次の2つの「とき」を把握する必要があります。

  • 売却活動を始めるとき
  • 売買契約を結ぶとき

売却活動を始める日と売買契約を結ぶ日の間の期間が、売却活動期間になります。中古マンション市場が高値で推移しているときに売買契約を結ぶには、売却活動期間から逆算して、売却活動を始める時点を割り出さなければなりません。

ところが売却活動期間は、中古マンションの売出価格と購入希望者の気持ちによって大きく変動します。売却活動期間が数ヶ月で終わる場合もありますし、1年経っても売れないこともあります。

ただ中古マンションは大体3ヶ月ぐらいが売却成立の目安とされるので、ここでも売却活動期間を3ヶ月として考えていきましょう。

売却活動は11・12月スタート→3月成約、または6・7月スタート→10月成約を目指す

データは後ほど紹介しますが、中古マンション市場は、3月と10月に「良い時期」を迎えます。良い時期とは、成約件数が増え、成約価格(取引価格)が上がる時期のことです。

したがって売却活動期間を3ヶ月確保するなら、3月の3ヶ月ほど前の11・12月ごろと、10月の3ヶ月ほど前の6・7月ごろに売却活動をスタートさせたほうがよいでしょう。

ただこの「11・12月スタートまたは6・7月スタート」ベスト説は、そのほかのさまざまな要因によって変動してしまいます。

詳しく見てみましょう。

マンション売却がしやすい時期は「季節」「市場動向」の2つで見極める

冒頭で、中古マンション価格の波は、短期間に上下を繰り返す波と、長期間で上下を繰り返す波の2つがあると紹介しました。

短い波は、「季節による変化」や「1年サイクル」と呼ばれています。売却活動の開始は「11・12月スタートまたは6・7月スタート」がベスト説は、季節変化を考慮したものです。

一方の長い波は、「市場動向」と呼ばれます。中古マンションの価格は、日本経済が好調なときに値上がり、景気が冷え込んでいるときに値下がりします。また、新築マンションが高騰すると割安感がある中古マンションが人気になり価格が上がりやすくなりますが、中古マンションが高くなりすぎると、今度は購入希望者は、中古との価格差が縮まった新築マンションに流れていってしまいます。

つまり、季節変化ばかり追っていると、確かにその年では最も良い条件で売ることができたものの、前年に売っていたほうがもっと高く売れた、ということが起きてしまうのです。

また、市場動向だけをウォッチして売却すると、「あと3ヶ月待てばもう少し高く売れたのに」ということになりかねません。

マンションの売主は、季節変化と市場動向の2つをしっかり観察しましょう。

季節|1年サイクルで需要が変化

中古マンション価格の季節変化を見てみましょう。

まずは首都圏と近畿圏の成約件数の推移です。

首都圏では、3,300件以上成約している月を黄色くしました。近畿圏では1,500件以上成約している月を黄色にしています。

2、3、4、6、10月の件数が多いことがわかります。

【首都圏の中古マンション成約件数の推移】(黄色:3,300件以上)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2018年 2,641件 3,424件 3,819件 3,237件 2,785件 3,317件 3,139件 2,303件 - - - -
2017年 2,861件 3,461件 3,719件 3,163件 2,983件 3,333件 3,304件 2,265件 3,222件 3,103件 2,904件 3,011件
2016年 2,655件 3,539件 3,590件 3,294件 3,001件 3,069件 3,190件 2,384件 3,150件 3,339件 2,985件 2,993件

【近畿圏の中古マンション成約件数の推移】(黄色:1,500件以上)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2018年 1,183件 1,655件 1,740件 1,571件 1,331件 1,537件 1,469件 1,089件 - - - -
2017年 1,174件 1,603件 1,764件 1,575件 1,404件 1,459件 1,452件 1,079件 1,457件 1,517件 1,341件 1,451件
2016年 1,120件 1,633件 1,794件 1,570件 1,391件 1,370件 1,332件 1,218件 1,378件 1,510件 1,480件 1,374件

続いて、首都圏と近畿圏の成約価格の推移を見てみます。各年のトップ3の月を黄色くしています。若干ばらけていますが、「3、4月」と「10、11、12月」が高めに出ています。

【首都圏の中古マンション成約価格の推移】(黄色:各年のトップ3)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2018年 3,359万円 3,353万円 3,369万円 3,364万円 3,305万円 3,320万円 3,362万円 3,318万円 - - - -
2017年 3,138万円 3,152万円 3,145万円 3,245万円 3,173万円 3,162万円 3,160万円 3,238万円 3,226万円 3,209万円 3,202万円 3,320万円
2016年 2,987万円 3,045万円 3,056万円 2,917万円 2,991万円 3,016万円 2,999万円 3,009万円 3,126万円 3,136万円 3,173万円 3,122万円

【近畿圏の中古マンション成約価格の推移】(黄色:各年のトップ3)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2018年 2,150万円 2,186万円 2,188万円 2,165万円 2,118万円 2,201万円 2,171万円 2,137万円 - - - -
2017年 2,048万円 2,094万円 2,111万円 2,048万円 2,058万円 1,991万円 2,065万円 2,060万円 2,101万円 2,141万円 2,036万円 2,151万円
2016年 1,940万円 2,040万円 2,044万円 1,963万円 1,063万円 1,979万円 1,996万円 1,992万円 2,034万円 2,058万円 2,049万円 2,023万円

参考:不動産業統計集|不動産流通推進センター

成約件数が伸びるのは、2、3、4、6、10月で、高値になりやすいのが3、4、10、11、12月なので、公約数を取ると「3、4月と10月」がゴールデン・マンスといえそうです。

3月に多いのは年度初めの4月から住み始めたいからです。3月に決まらない場合、4月に流れて来るので、4月も多めです。

10月に多いのは、年度の下半期のスタートにあたるのと、本格的に寒くなる前に「次の家を決めたい」という購買ニーズもあるかもしれません。

気をつけなければならないのは、市場動向です。首都圏の成約価格をもう一度ご覧ください。2016年で最高値を記録したのは11月の3,173万円です。2018年は3月の3,369万円です。実に196万円の差があります。つまり「2016年1月~2018年8月の首都圏」の中古マンションに限って言えば、「遅く売ったほうが高値で売れる」という傾向を見ることができます。

また上記の4つの表のうち、一度も黄色が塗られていないのは1月と5月です。また8月と9月は1ヶ所しか黄色になっていません。

この4つの月に売却成立させるのは避けたほうがよさそうです

市場動向|より長期サイクルで需要が変化

次のグラフは2010年の価格を100として、それぞれの住宅の価格推移を示したものです。

<不動産価格指数>

マンションの価格上昇指数

引用: 不動産価格指数(平成30年12月・第4四半期分)の公表|国土交通省

マンション価格が2013年から急上昇しています。住宅地や戸建住宅の価格はほぼ100のままです。

新築マンションの価格が値上がりすると、それを嫌気した消費者が中古マンション市場に流れるので、中古マンションの価格も上昇します。

したがって直近は、マンションを売るには好機といえるでしょう。

中古マンションの価格が上がっていっている理由

マンションの価格が上がっているのは、2013年にアベノミクスが本格的に始まり、日本銀行がそれに同調し、大規模な金融緩和を行ったからです。

金融緩和とは、社会にお金を大量に流通させる政策のことです。相対的に物価が上がっていくので、マンションの価格も上昇するわけです。この傾向は特に都市部で顕著です。

また金融緩和政策のなかには、利下げも含まれています。利下げが行われると銀行から借りる住宅ローンの金利が低くなります。住宅ローンの金利は、不動産を購入する人の経済的な負担になるので、金利が下がるということは負担も小さくなるということです。

つまり人々は、不動産を買いやすくなります。このことも、マンションの価格を押し上げる一要因になっています。

中古マンション売却までの期間は3ヶ月が平均

先述しましたが、中古マンションの売却期間は、3ヶ月が一つの目安になっています。

中古マンションの売主が売却仲介を依頼する不動産仲介業者を選定すると、業者は売却活動に着手します。売却活動とは、対象の中古マンションをインターネット上の広告に掲載したり、チラシを近隣に配布したりすることです。内覧会の開催も重要な売却活動です。

このような売却活動で、ある程度購入の見込みがある買い手を見つけるのに2ヶ月程度はかかるといわれています。

そして内覧会などで売主と購入希望者が初めて接触してから、購入を検討したり価格交渉をしたりして、最終的な売買契約の締結までにはさらに1ヶ月ほどかかります。

そのため、中古マンションの売却期間は3ヶ月が一つの目安になるわけですが、ケースによってはさらに早まる場合もありますし、半年、あるいは1年が経過しても売れないこともあります。

中古マンションを「高く」かつ「早く」売却するためには

自分のマンションが半年や1年も売れないと、売主は大きなストレスを抱えることになるでしょう。マンションの売却益で住宅ローンを完済して、次に購入する住宅の頭金にしようとしていた方は、すべての計画が狂ってしまいます。

そこで「高く」かつ「早く」売却することが、売主にとっては至上命題になります。

そのコツには次の3つがあります。

自分のマンションの価値と魅力を伝えよう

一般的な購入希望者はもちろんのこと、プロである不動産仲介業者でも、中古マンションに備わっている価値や魅力を簡単に見つけることはできません。

もちろん、地域のブランドやマンションメーカーの知名度ぐらいなら、不動産仲介業者も購入希望者も把握できます。しかし住人(売主)しか知らない物件の価値や魅力もあるはずです。

売主はその価値と魅力を、しっかり伝えましょう。不動産仲介業者が対象の中古マンションの価値と魅力を知れば、売却活動に力が入ります。

購入希望者が価値と魅力を知れば、「売出価格は妥当かもしれない」という気持ちになるかもしれません。そうなれば値下げ圧力は弱まります。

信頼できる不動産仲介業者を見抜こう

残念ながら、すべての不動産仲介業者が豊富なデータを持っているわけではありませんし、すべての営業担当者が高値で売るノウハウを持っているわけではありません。

したがってマンションを売却するときは、複数の不動産仲介業者に査定を依頼しましょう。そして営業担当者が査定のために自宅マンションにやってきたときに、地域の相場や高値で売る戦略について質問してください。

その質問に誠実に答えられた営業担当者は期待できます。

最適な価格設定をしよう

「1円でも高く売りたい」というのが売主の本音だとしても、相場をはるかに上回る売出価格をつけてはいけません。購入希望者は相場を調べていますので、一瞬で見抜かれてしまいます。つまり、問い合わせが来ません。

「最適な価格」とは、購入希望者が「少し予算をオーバーするけど、もしかしたら値下げ要請に応じてくれるかもしれない」と感じる金額です。

不動産仲介業者に相談しながら最適な価格を見つけてください。そうすれば長期間売れ残ることなく、最低でも「後悔しない値段」で売ることができるでしょう。

この3つは、売るタイミングを計るのと同じくらい重要ですので、売却活動の「やることリスト」の上のほうに書いておいてください。

まとめ

中古マンションを売るには、タイミングが重要です。絶好のタイミングを見つけるには、長期的な視野と短期的な視野の両方が必要です。

しかし「不動産の素人」が、いきなり2つの視野を持つことは簡単なことではありません。不動産仲介業者の営業担当者に相談しましょう。

営業担当者に出会ったら「売り急がないので、最適な価格で売ることができるタイミングを教えてください」と質問してみましょう。

真剣に検討してくれたら、その営業担当者は信頼できます。

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