「固定資産税の納税通知書が届いたけれど、自分の家や土地の価値はいくらなのだろう」

「売ろうとしたらいくらで売れるのだろうか」

そんな疑問を感じている人もいるのではないでしょうか。実は、固定資産税の額を把握できれば、そこから不動産の評価額を逆算できます。ただし、評価額は必ずしも売買価格と一致しない点には注意が必要です。

この記事では、固定資産税から評価額を逆算する方法や、固定資産税の仕組みなどについて詳しく解説します。

固定資産税額から評価額を逆算する計算式

固定資産税額から評価額を逆算する計算式は非常にシンプルです。基本的な計算式は以下の通りです。

固定資産税評価額 = 固定資産税額 ÷ 1.4%

例えば、年間の固定資産税額が35万円だった場合、評価額は以下のように計算できます。

35万円 ÷ 0.014 = 2,500万円

ただし、算出される金額は実際の評価額とは異なる場合があります。

固定資産税額の確認方法

固定資産税額から評価額を逆算するためには、まず固定資産税の金額を正確に把握することが必要です。固定資産税の金額を把握するためには、以下のような方法があります。

  1. 固定資産税額から評価額を逆算する:固定資産税の金額を正確に把握するためには、毎年5月頃に市区町村から送付されてくる固定資産税・都市計画税納税通知書を確認するのが最も簡単な方法です。通知書には、その年度の固定資産税額と併せて固定資産税評価額も記載されています。

  2. 固定資産税課税明細書の確認:納税通知書と一緒に送られてくる固定資産税課税明細書には、より詳細な情報が記載されています。明細書には、土地と建物それぞれの評価額や課税標準額に加えて、適用されている特例などの情報も掲載されています。

  3. 市区町村の税務課への問い合わせ:納税通知書を紛失した場合や、過去の固定資産税額を知りたい場合などは、市区町村の税務課に問い合わせれば確認が可能です。問合せに当たって本人確認が必要になる場合があるので、身分証明書を用意しておくとよいでしょう。

  4. 固定資産課税台帳の閲覧:固定資産課税台帳は、固定資産の評価額や課税額などの情報が記載された公的な台帳です。課税対象財産の所有者は市区町村の窓口で台帳を閲覧できます。ただし、閲覧時には少額の手数料が必要です。

  5. 固定資産評価証明書の取得:固定資産評価証明書は固定資産税評価額を証明する公的な書類です。市区町村の窓口で発行を依頼できます。ただし、こちらも発行には手数料が必要です。

固定資産税の軽減措置や特例

計算式によって算出された金額が実際の評価額と異なる場合もあるのは、固定資産税には様々な軽減措置や特例が設けられているためです。軽減措置や特例には、主に以下のようなものがあります。

  1. 住宅用地の特例:住宅が建っている土地に適用される特例です。小規模住宅用地(200㎡以下の部分)については評価額が1/6に、一般住宅用地(200㎡を超える部分)については評価額が1/3に軽減されます。例えば敷地が300㎡の場合は、200㎡の分までは1/6に、残り100㎡の分が1/3に軽減されるというものです。

  2. 新築住宅の軽減措置:一般の住宅は新築してから3年間にわたり、固定資産税額が1/2に軽減されます。なお、3階建て以上の中高層耐火住宅については、固定資産税の軽減期間が新築後5年間となります。

  3. 商業地等の固定資産税の負担調整措置

不動産が商業地に建っている場合は、都市再開発などを原因として地価が急激に変動することも起こり得ます。このため、地価の変動に伴う税負担の急激な上昇を緩和するための調整措置が適用されるケースもあります。

逆算した結果は実際の売買額と同じ?

実際のところ、固定資産税から逆算した評価額は、実際の不動産売買額とは大きく異なる場合があります。一般的に、固定資産税評価額は実際の市場価格の7割程度に設定されています。また、固定資産税評価額は定期的に見直されるものの、その頻度は3年に1度です。一方で、実際の市場価格はリアルタイムで変動します。

そのほか、日当たり、眺望、設備の状態、改修履歴など個別の物件特性によって市場価格は変わってきます。これらの要素は必ずしも固定資産税評価額に反映されません。

実際の売買価格を正確に把握するためには、以下のような方法が有効です。

  • 複数の不動産業者に査定を依頼する

  • 近隣の類似物件の取引事例を調査する

  • 不動産ポータルサイトで同様の物件の販売価格を確認する

固定資産税評価額は1つの指標として参考にしつつ、実際の市場動向や不動産業者の意見も併せて考慮することが重要になります。

まとめ

固定資産税から不動産の評価額を逆算することは可能ですが、逆算した結果の金額はあくまで概算値に過ぎません。固定資産税の算出には様々な軽減措置や特例が適用されている可能性があり、単純な逆算では不動産の正確な価値を把握できないことがあります。また、固定資産税評価額と実際の市場価格には大きな開きがあることも考えられます。

不動産の正確な価値を知りたい場合は、納税通知書や課税明細書を確認し、適用されている特例を把握した上で、複数の不動産業者による査定や近隣エリアにおける取引事例の調査などが必要です。