マンションを売却したいものの「どの季節に売ればいいの?」「売却するタイミングはいつがいいの?」と、悩んでいる人は多いことでしょう。
マンション売却には適した季節やタイミングがあるため、どの時期に売ればいいのかあらかじめ把握しておくことで、より早く高く売れる確率が高まります。
本記事では、マンション売却に適した季節やタイミングについて解説しますので、いつ売ればいいのか悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
マンション売却に適した季節やタイミングは多く存在する
マンション売却に適したタイミングは、次のとおりです。
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築年数が10年以下もしくは30年を超えたとき
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修繕積立金の値上げといったマンションの環境が悪化する前
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ライフスタイルの変化が訪れたとき
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不動産の繁忙期にあたる季節
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金利が上昇傾向になったなど経済動向が悪くなったとき
上記のようなタイミングに該当すると、マンションの価格は変動します。
なぜ季節やタイミングで価格の変動が起きるのか理解し、マンションを早く高く売却しましょう。
【築年数】マンション売却に適したタイミング
マンション売却に適した築年数は、次のとおりです。
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築10年以下のとき
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築30年を超えたとき
ここからは、築年数による売却のタイミングについて解説します。
築10年以下のとき
築10年以下のマンションは見た目も設備も新しいうえに、新築マンションよりも値下がりしているため買い手の多い築年数です。
近年は新築マンションの価格高騰により、購入できる人が限られてきているため、新築の購入を検討している人が築浅のマンションにシフトしています。需要が多いほど早く高く売れる確率が高くなることから、築10年以下の年数は売却に適したタイミングです。
ただし、築年数が浅いときは値下がりの幅が大きく、早く売却すればするほど有利に取引できると考えておきましょう。
築30年を超えたとき
築30年を超えたマンションは、価値の下落が一段落する築年数であり、買い手にとって購入しやすい価格帯になります。
東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」によると、不動産の価値と築年数との関係性は以下の表のようになるとしています。
引用:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」
築0〜5年と築31〜35年の成約価格を比べると、価格が3分の1くらいになっていことがわかります。
買い手にとっては価格が下がるほど購入しやすくなりため、築30年を超えたマンションには需要があり、早期売却できる可能性が高まります。
東日本不動産流通機構の同資料によると、2023年に売買された築30年以上のマンション数の割合は、49.8%にもなるそうです。
なお、築36年移行の単価が上昇しているのは、リノベーション・リフォーム工事したマンションが増えるからと考えられます。
【マンションの環境】マンション売却に適したタイミング
マンションの環境が次のようになったときは、売却に適したタイミングです。
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大規模修繕が実施された直後
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管理費・修繕積立金の値上げ前
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周辺環境の変化前
それぞれの環境が、なぜマンション売却に適したタイミングなのかみていきましょう。
大規模修繕が実施された直後
大規模修繕が実施された直後は、次の理由からマンション売却に適したタイミングといえます。
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工事が終わったばかりで見た目がキレイになる
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設備が取り替えられて便利になる
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修繕積立金が計画に貯められていたのがわかる
大規模修繕は住人にとってプラスの工事になるため、買い手にとってのメリットにもなります。
また、計画的に大規模修繕が実施されていれば、修繕積立金をしっかり貯められるマンションだとわかります。修繕積立金を計画的に貯めるのは意外に難しく、2〜3回目の大規模修繕時にはお金が足りないというマンションも多くあるのです。
大規模修繕はマンションの寿命を延ばすのに必須の工事であり、資産価値を維持したいと考える買い手の購入判断の材料となります。
管理費・修繕積立金の値上げ前
管理費・修繕積立金の値上げが実行されると需要が低下するため、金額が変わる前に売却したほうがいいでしょう。
大規模修繕のお金を計画的に貯めるのは難しく、足りない部分に関しては管理費・修繕積立金の値上げで対応します。値上げを実行されると毎月の負担が増えてしまい、買い手から敬遠されてしまうでしょう。
管理費・修繕積立金の値上げの予定が公表された場合、値上げの時期と金額を必ず買い手に伝えなければならないため、値上がりしそうだなと感じた時点で売却する必要があります。
周辺環境の変化前
マンションの目の前に大規模建築物ができたり、周辺に騒音を発生させる工場ができたりしたときは価格が下がってしまいます。
生活に影響しない建物なら価格に変動はありませんが、日当たりがなくなる、騒音が気になるといった場合は価格が落ちてしまいます。
マンションの周辺に大きな空地がある場合、生活に影響する建物が建つ可能性もあるため注意しましょう。
【ライフスタイル】マンション売却に適したタイミング
ライフタイルが次のように変化したときは、売却に適したタイミングです。
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家族が増えて手狭になった
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子どもが独立しすべての部屋を使いきれなくなった
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転職が決まった
それでは、ライフスタイルの変化がマンション売却のタイミングに影響する理由をみていきましょう。
家族が増えて手狭になった
家族が増えて手狭になった場合、住み続けるのが困難になるためマンション売却を検討してもいいでしょう。
1LDKに夫婦で住んでいる場合、子どもができると手狭になってしまいます。子どもが成長しプライバシーを気にするようになると、日々の生活でストレスを与えてしまうおそれもあります。
居住スペースは増やせないため、マンション売却して広いスペースのある建物に住み替えるといいでしょう。
子どもが独立しすべての部屋を使いきれなくなった
逆にマンションが広すぎると感じた場合も、売却に適したタイミングといえるでしょう。
4LDKに夫婦と子ども2人の計4人で住んでいたものの、子どもが独立したといったケースです。すべての部屋を使いきれなくなったとしても、管理費・修繕積立金は今までどおり支払わなければなりません。
マンションの管理費・修繕積立金は専有部分の広さに応じて金額が決まるため、広い部屋を所有しているだけで高額な支払いが発生します。
すべての部屋が使い切れない、管理費・修繕積立金が負担に感じる場合はマンションを売却してちょうどいい広さの建物に引越ししましょう。
転職が決まった
転職が決まって引越ししなければならない場合、マンションを売るのに適した時期です。
引越しする場合、売るか、貸すか、空き家のままにするかの3つの選択肢があります。しかし、住宅ローンが残っている場合、金融機関との契約の関係で貸せません。また、新居の費用を払いつつ、住宅ローンを返済するのは困難です。
なお、住宅ローンが残っていない場合は、貸してもいいでしょう。ただし、賃貸経営するには不動産や税金の知識が必要になるため、不動産会社のアドバイスを受けつつ進めていきましょう。
【季節】マンション売却に適したタイミング
不動産には繁忙期と閑散期があり、繫忙期だと早く高く売れる傾向にあるためマンション売却に適したタイミングといえます。
新年度の直前である2月〜3月に入居したいと考える人が多く、4月までに引渡しできる物件の需要が高くなります。不動産売買するには時間がかかるため、10月〜12月くらいまでに売り出せば4月までの引渡しが可能です。
4月を過ぎてしまうと需要が下がることもあり、1月以降に売り出した場合は売却しにくくなってしまいます。
なお、物件や売主の状況によっては10月〜12月で売り出しても、4月までに引渡しできないケースがあります。4月までに引渡しできるかどうか心配な人は、不動産会社に確認してから売り出しましょう。
【経済動向】マンション売却に適したタイミング
経済動向が次のような状態のときは、マンション売却に適したタイミングです。
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住宅ローンの金利が低いとき
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不動産価格が高止まりか値下がりしているとき
ここからは、経済動向がマンション売却のタイミングに影響する理由を解説します。
住宅ローンの金利が低いとき
住宅ローンの金利が低いときは、多額の融資が借りられるため買い手の需要が高くなります。
金利が1%変わるだけで住宅ローンの月々返済額、返済総額が大きく変わります。たとえば、次の例で金利が1%変動すると、どの程度、月々返済額と返済総額が多くなるのかみてみましょう。
【シミュレーション条件】
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借入金額:5,000万円
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返済金利:1.5%と2.5%
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返済期間:35年(ボーナス返済なし)
月々返済額 |
返済総額 |
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金利1.5% |
153,092円 |
64,298,640円 |
金利2.5% |
178,747円 |
75,073,740円 |
シミュレーション条件をもとに計算すると、月々返済額は約25,000円、返済総額は約1,100万円の違いが出ます。この差は相当大きく、買い手によってはマンション購入を諦める人もいるはずです。需要が低くなればマンションの売れるスピードは落ち、価格も下がってしまいます。
不動産価格が高止まりか値下がりしているとき
不動産価格が高止まりしている状態や、値下がりしているときはマンション売却に適したタイミングです。
現在は不動産の価格は上昇しているものの三極化が進んでおり、引き続き値段が上がる地域、上昇が止まる地域、値段が下がる地域に分かれます。人口の減少、利便性の高い地域への移転などが影響しており、不動産価格に与える影響が複雑化しています。
今後の不動産価値の増減を売却の判断にする場合、不動産会社から見通しを聞き、売るかどうか決めるといいでしょう。
マンション売却の季節・タイミングに関する注意点
マンション売却の季節・タイミングに関する注意点は、次のとおりです。
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相続したマンションを売るならすぐに販売活動に入る
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金利の動向を注視する
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さまざまな要因を考慮し初冬の季節に売り出す
注意点を理解し、適切なタイミングを計って売却を進めましょう。
相続したマンションを売るならすぐに販売活動に入る
相続したマンションは、売却の季節・タイミング関係なくすぐに販売活動に入りましょう。
相続税の納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内と決められています。不動産を売却するには時間がかかるため、10ヶ月という期間は決して長いとはいえません。
また、マンションを相続するには遺産分割協議や相続登記をおこなう必要があり、そもそもすぐに売り出せません。準備から引渡しまでしっかりとスケジュール管理しておかないと、あっという間に10ヶ月が経過してしまいます。
相続税の納税に間に合すためには季節やタイミングを問わず、すぐに売却の準備を始めましょう。
金利の動向を注視する
将来、マンションを売却しようと考えている人は、金利の動向を注視しましょう。
金利が高くなると住宅ローンの返済総額と月々返済額に大きな影響を与え、買い手が不動産の購入を控えるようになって需要が大きく低下してしまいます。
長年、金利は低水準で推移していましたが、2022年末から固定金利が上昇してきています。また、2024年3月に日銀がマイナス金利を解除したことにより、変動金利がどのように推移するのかは不透明です。
今後、今までになかったような金利設定になる可能性もあり、金利の動向を調査しつつ、売却に適したタイミングを計っていきましょう。
さまざまな要因を考慮し初冬の季節に売り出す
金利の変動、ライフスタイルの変化など売却に適したタイミングが訪れたら、できる限り初冬の季節に売り出しましょう。
マンションを売却する際には、できる限り繫忙期にあわせて売り出すのがコツです。たとえば、金利が低いときの繁忙期にあわせる、築年数が30年を迎えたときの繁忙期にあわせるなど時期を計ります。
マンションを少しでもいい条件で売却したいなら、10月〜12月に販売活動を開始するよう準備を始めましょう。
まとめ
マンション売却に適したタイミングは、次のとおりです。
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築年数が10年以下もしくは30年を超えたとき
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修繕積立金の値上げといったマンションの環境が悪化する前
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ライフスタイルの変化が訪れたとき
-
不動産の繁忙期にあたる季節
-
金利が上昇傾向になったなど経済動向が悪くなったとき
上記のようにマンション売却のタイミングは多く、とくに築年数や周辺環境の変化は売却価格に影響します。マンション売却に適した季節やタイミングがわかれば、満足いく不動産取引ができるはずです。
大切な資産が少しでもいい条件で売れるよう、マンション売却の季節・タイミングを理解しておきましょう。