マンション売却を検討している人の中には「売却時にかならずハウスクリーニングを行わなければいけないのか」「どれくらいの費用がかかるのか」という疑問を持っている人が多いと思います。

ハウスクリーニングとは、掃除のプロが専用の洗剤や掃除道具を使って、部屋を清掃するサービスです。ハウスクリーニングにはそれなりの費用がかかるため、依頼を迷っている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、マンション売却にハウスクリーニングの必要性やメリット・デメリット、費用相場について解説します。これからマンション売却を検討している人は、本記事でハウスクリーニングの重要性をしっかり理解しましょう。

マンションを売却する際にクリーニングは必要なのか

結論、マンション売却時のハウスクリーニングは義務付けられていません。そのため、引渡時に傷や汚れが残っていても、買い手と同意が取れていれば、そのままの状態で引き渡せます。ただし、ハウスクリーニングをしておいたほうが売却に有利になるケースもあります。

ここでは、マンション売却時のハウスクリーニングが必要・不要になるケースを紹介するので、自分の状況に合った売却方法を検討しましょう。

ハウスクリーニングが必要な場合

マンション売却でハウスクリーニングが必要なケースは、極端に部屋が汚れていて、内覧時に購入希望者の印象が悪くなるおそれがある場合です。基本的には、費用を抑えるために自分で掃除を行うのが一番良いですが、あまりにも汚れがひどい場合はハウスクリーニングを依頼しましょう。

特に気をつけるべき箇所は以下の4つです。

  • キッチン

  • 浴室

  • 洗面所

  • リビング

一般的に水回りに汚れが溜まりやすいため、自分できれいにする自信がなければハウスクリーニングを依頼すると良いでしょう。また、リビングは室内でメインの部屋になるので、きれいにしていると印象が良くなります。

自分で掃除する時間がなかったり、手が届かない場所があったりする場合は、スムーズに売却を進めるためにもハウスクリーニングを依頼しましょう。

ハウスクリーニングが不要な場合

ハウスクリーニングが不要なケースとして、主に次の2つが挙げられます

  • 部屋をきれいに保っている

  • 築年数が古い

日常的に部屋をきれいにしている場合は、自分で掃除を行えば費用を抑えることができます。汚れが気になる場所があれば、必要に応じてピンポイントでハウスクリーニングを依頼しましょう。

また、築年数が古いマンションの場合は、室内の設備や建具などをリフォームによって取り替える買い手が多いため、ハウスクリーニングの優先度は低いです。ただし、築年数が古くてもリフォームをして間もない場合は、ハウスクリーニングをしたほうが良いケースもあります。

ハウスクリーニングは室内の状況や築年数など、個々の事情によって必要性が変わるため、依頼するかどうかで悩む場合は、担当者に相談してアドバイスを受けましょう。

マンションの売却時にクリーニングを行うメリット4選

マンション売却でハウスクリーニングを行うと、次のメリットが生まれます。

  • 部屋の印象が良くなり早期売却につながる

  • 値引きの材料にされなくなる

  • 自分で掃除できない部分もきれいにできる

  • 査定価格が上がる可能性がある

ここでは、ハウスクリーニングを行うことで得られるメリットを紹介します。

部屋の印象が良くなり早期売却につながる

マンション売却でハウスクリーニングを行う1つ目のメリットは、室内の印象が良くなり早期売却につながることです。内覧時の第一印象は購入の意思決定に大きな影響を与えるため、ハウスクリーニングによるイメージアップがおすすめです。

購入希望者が複数の物件を比較した場合、同じ条件であれば室内がきれいなほうを選ぶのはごく自然なことです。そのため、ハウスクリーニングにより室内をきれいにすることで、早期売却につながるでしょう。

ただし、印象を良くしたいからと、やみくもにハウスクリーニングを依頼することはおすすめしません。ハウスクリーニングには少なからず費用が発生するため、できるだけ自分で掃除することを優先しましょう。

値引きの材料にされなくなる

ハウスクリーニングにより部屋がきれいになれば、室内の汚れが購入希望者からの値引き交渉の材料にされなくなります。値引き交渉の材料を少なくすることで、高値での売却につながるでしょう。

たとえば、「ハウスクリーニングをせずに3,000万円で売り出している物件」と「10万円のハウスクリーニングを行い3,000万円で売り出している物件」があるとしましょう。そのままの金額で成約すればハウスクリーニングをしていないほうが手取りが増えますが、室内の汚れを理由に10万円以上の値引き交渉をされると、ハウスクリーニングを行った物件のほうが手取りが多くなります。

このように、もし室内の汚れが目立つ状態でマンションを売りに出した場合、その汚れを理由に購入希望者から値引きの交渉をされるおそれがあります。少しでも高く売却するためには、文句のつけようがないようハウスクリーニングで室内をきれいにすることを検討しましょう。

自分で掃除できない部分もきれいにできる

マンションの売却時にハウスクリーニングを行う3つ目のメリットは、自分では掃除できない箇所を、プロの手できれいにしてもらえる点です。購入希望者の中には、室内の細かい部分までチェックしている人がいるため、少しでも高く売却する対策としてハウスクリーニングが有効です。

ハウスクリーニングを行い隅々まできれいにすれば、購入希望者に掃除が行き届いているという印象を与えられます。さらに、自分で掃除をする手間が省けるメリットも生まれるため、自分では対処できない汚れやカビなどがある場合は、ハウスクリーニングを検討してみましょう。

査定価格が上がる可能性がある

マンションの査定時にハウスクリーニングを完了させておけば、査定価格が上がる可能性があります。ハウスクリーニングを行い印象を良くしておくことで、査定価格がアップする要素となるでしょう。

不動産会社の担当者が訪問査定に訪れた場合、ホコリまみれで汚い部屋より、隅々まできれいにして清潔感のある部屋のほうが印象が良くなります。担当者側からしても、きれいに清掃されている物件は、積極的にお客様へ紹介したいと思うものです。

このように、ハウスクリーニングを行い売却に積極的な姿勢を担当者に見せることで、物件の評価がアップし高値での売却に協力してもらいやすくなります。

マンションの売却時にクリーニングを行うデメリット

マンション売却でハウスクリーニングを行うデメリットには、次の点が考えられます。

  • 費用負担がある

  • 売却価格に影響しない場合がある

ここで紹介するデメリットも理解した上で、ハウスクリーニングを検討しましょう。

費用負担がある

ハウスクリーニングを行う1つ目のデメリットは、自分で清掃するより費用負担が大きくなる点です。ハウスクリーニングは専門の会社に依頼するため、自分で薬剤や掃除道具を購入して掃除するよりも費用が高くつきます。

売却のためにハウスクリーニングを依頼した場合、成約する前に費用を支払わなくてはいけません。売却価格から費用を捻出することはできず、先にハウスクリーニング費用を用意する必要があるため、売却活動で費用を出したくないという人は、ハウスクリーニングは不向きだと言えます。

売却価格に影響しない場合がある

ハウスクリーニングを行ったからといって、かならず売却価格に上乗せできるわけではありません。ハウスクリーニングは価格の上乗せより、「値引き交渉を防ぐ」「印象を良くする」という側面が強いためです。

たとえば、10万円をかけてハウスクリーニングを行ったとしても、10万円以上が上乗せされるわけではありません。あくまでもハウスクリーニングは、物件の清潔感を引き出し印象を良くするための対策だと理解しておきましょう。

クリーニングの費用相場

マンション売却でハウスクリーニングを検討している場合は、ハウスクリーニングの費用相場を把握しおかなければいけません。ここでは、間取り別の費用相場と水回りのみ依頼する場合の費用相場を紹介します。

間取り別の費用相場

マンションのハウスクリーニング相場の目安は、おおよそ以下の表のようになります。

間取り

費用相場

1R・1K

15,000円~30,000円

1DK・1LDK

30,000円~40,000円

1DK・1LDK

30,000円~60,000円

3DK・3LDK

40,000円~80,000円

4DK・4LDK

70,000円~それ以上

注意点は、部屋の汚れ具合や形状によって価格が変動するおそれがあることです。上記の表はあくまで参考価格として理解し、ハウスクリーニングを依頼する際は専門会社に詳しい見積もりを取ってもらいましょう。

水回りのみの費用相場

部屋全体のハウスクリーニングではなく、水回りのハウスクリーニングを個別に依頼した場合の費用相場は次のとおりです。

場所

費用相場

トイレ

6,000円~12,000円

浴室

12,000円~18,000円

洗面所

7,000円~10,000円

キッチン

15,000円~25,000円

水回りも、汚れ具合や構造によって費用の増減があります。売却するマンションには、どの部分のハウスクリーニングが必要なのかを十分に検討することが重要です。

マンションを売却する際のクリーニング費用を抑える3つのコツ

マンション売却でハウスクリーニングを依頼する際は、少しでも費用を抑えることが重要です。

  • 自分でできる部分は自らクリーニングを行う

  • 水回りなどはまとめて依頼する

  • 内覧前にクリーニングを行う

ここで紹介するコツを理解した上で、ハウスクリーニングを依頼しましょう。

自分でできる部分は自らクリーニングを行う

ハウスクリーニングの費用を抑える1つ目のコツは、自分でできる範囲は自ら清掃することです。部屋全体のハウスクリーニングを依頼するとそれなりの費用がかかるため、汚れが少ない箇所は自分で掃除すると費用が抑えられます。

たとえば、リビングや寝室を自分で掃除し、水回りだけプロに依頼する方法が考えられます。また、水回りはきれいに保っているものの、小さい子供がいてリビングが汚れている場合は、そこだけ依頼することも効果的です。

購入希望者は、汚れているのが部屋の一部だけでも、全体が汚いようなイメージを持つことがあります。部屋全体のイメージアップを図るためにも、ハウスクリーニングをうまく活用しましょう。

水回りなどはまとめて依頼する

ハウスクリーニングは、水回りをまとめて依頼すれば費用を抑えることができます。水回りを個別に依頼すると割高になるため、もし複数の水回りを依頼するのであれば「3点パック」などのお得なプランを選ぶと節約につながります。

ハウスクリーニングの会社によっては「キッチン+換気扇+レンジフード」「浴室+洗面台+トイレ」など、複数の箇所を指定して依頼することでお得な料金が適用されます。マンション売却では部屋全体を掃除しなければいけないため、仕事や家事で忙しく細かい部分まで手が回らない場合は、まとめてハウスクリーニングを依頼して費用を抑えましょう。

内覧前にクリーニングを行う

費用を抑える3つ目のコツは、内覧前にハウスクリーニングを依頼することです。ハウスクリーニングにかかった費用は、内覧前であれば譲渡費用として認められやすくなるためです。譲渡費用として認められれば、マンション売却でかかる税金を抑えることができます。

また、内覧前にハウスクリーニングを行えば、購入希望者にきれいな部屋を見てもらえる効果もあります。マンション販売が始まると、いつ内覧が行われるかわからないため、できるだけ早い段階でハウスクリーニングを行うと良いでしょう。

内覧前のハウスクリーニングには、節税効果と売却をスムーズにする効果があるため、タイミングが重要な要素と言えます。

まとめ

この記事では、マンション売却時におけるハウスクリーニングの必要性について解説しました。部屋が極端に汚い場合はハウスクリーニングを依頼することをおすすめしますが、自分で掃除ができる範囲の汚れであれば、無理に依頼する必要はないでしょう。また、ハウスクリーニングを依頼すれば、部屋の印象が良くなり早期売却につながるほか、汚れを理由に値引き交渉をされることがなくなります。

マンション売却では、購入希望者にきれいな状態で内覧してもらうことが重要です。部屋の状況に応じてハウスクリーニングを活用し、少しでも早く高値で売却できるよう工夫してみましょう。