マンション売却を検討している人の中には、どの必要書類を用意すればいいのかわからず不安を抱いている人もいるでしょう。

マンション売却では手続きのタイミングによってさまざまな書類が必要ですが、全体像を把握すれば焦らずに用意を進められます。

この記事では、マンション売却で必要な書類を4つのステップに分けて解説します。さらに、マンションを少しでも高く売却するためのコツも紹介しているので、自宅マンションの売却を検討している人は、最後まで読んで参考にしてください。

マンション売却における査定時の必要書類

マンション売却を行うためには、まず不動産会社による査定を受ける必要があります。ここでは、査定時に用意する書類を紹介します。

登記識別情報(または登記済権利証)

不動産査定を受ける際は、「登記識別情報」または「登記済権利証」の準備が必要です。登記識別情報とは不動産の真の所有者を証明するための書類で、依頼者が不動産の本当の所有者なのかを確認するために、不動産会社から提示を求められます。登記済権利証とは、以前に「権利証」と呼ばれていた書類で、平成18年以降は登記識別情報に順次切り替えられています。

これらの書類は不動産購入時に法務局から発行され、司法書士に登記手続きを依頼した場合は司法書士から受け取ります。また、相続の場合は相続登記完了時に法務局から受け取ることになります。

建物図面

査定時は、部屋の間取りや面積などがわかる図面を用意しましょう。購入した際に交付された建物平面図や新築時のパンフレットがあれば、細かい間取りや形状を不動産会社に伝えることができます。

設備の仕様書

室内に付帯している設備の仕様書も必要です。仕様書を確認することで、どのような設備が室内に付帯されているのかがわかるため、設備のメーカーやグレードによっては、査定額アップにつながる可能性があります。

固定資産税納税通知書(または固定資産税評価証明書)

固定資産税納税通知書とは、毎年4〜5月に届くマンションの固定資産税評価額や納付額が記載されている書類です。一方、固定資産税評価証明書は、市町村役場で取得できる固定資産税評価額が記載された書類です。

固定資産税評価額はマンションの査定に役立つため、これらの書類を用意することで、より精度の高い査定が期待できます。両方とも内容はほぼ同じなので、どちらか一方を用意すると良いでしょう。

リフォーム履歴の確認資料

過去にマンションのリフォームを行った場合は、どこをどのようにリフォームしたのかがわかる書類を用意しましょう。具体的には、工事請負契約書やリフォーム見積書があるとわかりやすいです。リフォームした箇所や時期を不動産会社に正確に伝えることで、より正確な査定が期待できます。

マンション売却の媒介契約から売買契約締結までの必要書類

ここからは、マンション売却を依頼する不動産会社が決まった後の、媒介契約から売買契約締結までの必要書類を紹介します。

本人確認書類

媒介契約を締結する際、物件の所有者本人なのかを確認するために、本人確認書類を準備します。本人確認書類には主に以下が挙げられます。

  • 運転免許証

  • マイナンバーカード

  • パスポート

  • 在留カード・特別永住者証明書

  • 各種福祉手帳

もしマンションが夫婦や兄弟などと共有している場合は、他の共有者の身分証明書も用意しましょう。

パンフレット

マンション販売における資料やインターネット広告を作成するために、購入時のパンフレットを準備します。マンションのパンフレットには、構造や間取り、敷地図面や設備の詳細が記載されているため、物件資料を作成するのに役立つのです。もし紛失している場合は管理会社が保管しているかもしれないので、相談してみることをおすすめします。

マンションの管理規約、使用細則

マンションの管理規約と使用細則はかならず用意しましょう。管理規約とは、マンションごとに定められたルールをまとめた書類です。使用細則とは、管理規約より細かい規則を定めたもので、主に日常生活上の注意事項などがまとめられています。

物件の販売資料を作成する際に、管理規約と使用細則に記載された内容を付け加えることがあります。

  • ペットの飼育は可能か

  • 駐車場・駐輪場の使用料金はいくらなのか

  • 室内で楽器を演奏しても良いのか

これらの内容を確認するためにも、管理規約と使用細則を用意する必要があります。

マンションの維持費関連書類、長期修繕計画書

マンションの維持費関連書類も販売資料を作成する際に重要な書類です。マンションの維持管理にかかる代表的な費用には、次のものが挙げられます。

  • 管理費・修繕積立金

  • 駐車場・駐輪場代

  • 固定資産税・都市計画税

  • 専用庭・ルーフバルコニー使用料

これらの維持費は生活に直結するコストのため、購入希望者からの質問に的確に説明するためにも、マンションの維持費関連書類は忘れずに用意しましょう。

また、長期修繕計画書とはマンションの修繕工事に関する長期的な計画を記載した書類で、将来的に不足する修繕積立金の額や値上げ予定が記されています。これも購入者にとって大切な書類のため、必ず用意してください。

マンションの維持費関連書類と長期修繕計画書は、マンションの管理会社が所有しています。紛失してしまった際は、管理会社に問い合わせてみましょう。

アスベスト使用調査報告書、耐震診断報告書

マンションの管理会社からアスベスト使用調査報告書や耐震診断報告書をもらっている場合は、媒介契約時に用意しておきましょう。

アスベスト使用調査報告書とは、建物にアスベスト(石綿)が含まれる建材が使用されているかどうかを調査し、その結果を記載した書類です。特に、アスベストに関する法律が改定された1975年以前に建てられたマンションは、アスベスト使用調査報告書を用意して現在の基準に適合することを示せれば、購入希望者の安心につながります。

耐震診断確認書とは、新耐震基準が導入される前である、昭和56年(1981年)6月1日以前に建てられたマンションを対象に行われる耐震診断の報告書です。

マンション売却における引渡時の必要書類

マンションの引渡時に用意するのは、主に登記手続きや金融機関に関連する書類です。

本人確認書類

マンションの引渡時にも本人確認書類を用意しましょう。引渡時は、司法書士に登記を依頼する際の本人確認のために身分証明書が必要です。

実印・印鑑証明書

実印は、引渡時の登記書類に押印するために必要となり、印鑑証明書は使用された印鑑が登録済であることを証明するための書類です。印鑑証明書は、各自治体の役所やコンビニ、証明サービスコーナーの窓口で発行することができます。また、印鑑証明書には3ヶ月という有効期限があるため、必要な時期に合わせて取得しましょう。

住民票

住民票は、現住所と登記簿謄本に記載されている住所が違う場合に準備します。住民票も各自治体の役所やコンビニ、証明サービスコーナーの窓口で発行することができ、有効期限は3ヶ月です。

銀行口座書類

マンションの残代金は、振込で受領することが一般的です。そのため、振込先がわかる通帳やキャッシュカードなどを用意しましょう。銀行名や口座番号などが確認できる部分をコピーして持参しても問題ありません。

抵当権抹消書類

売却するマンションに住宅ローンが残っている場合、登記手続きのために抵当権抹消書類を用意します。抵当権とは不動産に設定された担保権のことを指し、抵当権抹消書類は抵当権を解除してマンションを引き渡すために必要です。抵当権抹消書類は、住宅ローンを組んでいる金融機関が用意します。売買契約が成立した時点で、金融機関に連絡をして用意してもらいましょう。

マンション売却の確定申告時の必要書類

マンションを引き渡した後は確定申告を行います。その際に必要な書類を紹介します。

確定申告書B

以前まで確定申告書AとBがありましたが、確定申告書Aは2023年1月に廃止され、確定申告書Bに1本化されました。確定申告書Bには、第一表(表面)と第二表(裏面)があり、どちらにも記入する必要があるため、記入漏れがないように注意しましょう。取得方法は、税務署の窓口で受け取るか、国税庁のホームページでダウンロードします。

確定申告書第三表

不動産売却で得た所得は給与所得などと分けて納税額を計算しなければならないため、確定申告書第三表(分離課税用)を作成します。確定申告書第三表も、税務署の窓口か国税庁のホームページから取得します。

確定申告書付表兼計算明細書(譲渡所得の内訳書)

売却したマンションの所在地や売却金額、購入者の氏名などの情報を記入する書類が、確定申告書付表兼計算明細書です。この書類も上記と同じく税務署の窓口か国税庁のホームページから取得することができます。

売却物件の購入時と売却時の売買契約書コピー

売却物件の購入時と売却時の売買契約書コピーは、譲渡所得税を算出するために必要です。売却時の売買契約書は今回の取引で締結した書類で、購入時の売買契約書は今回売却したマンションを購入した際に作成された書類です。譲渡所得税の節税のために、かならず用意しましょう。

仲介手数料、登記費用などの領収書

仲介手数料や登記費用などの領収書は、売却でかかった費用を経費として計上するために必要な書類です。経費として計上できる費用には、主に次のものが挙げられます。

  • 仲介手数料

  • 司法書士の代行手数料

  • 印紙税

売却でかかった費用が経費として認められれば譲渡所得税を抑えられるので、忘れずに用意しましょう。

少しでも高くマンションを売却する3つのコツ

マンションを高く売るためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。

  • 複数社の不動産会社に査定依頼を行う

  • あらかじめ価格相場を把握しておく

  • ゆとりを持ったスケジュールで売却に臨む

それぞれのコツを詳しく解説します。

複数社の不動産会社に査定依頼を行う

マンションを高く売却する1つ目のコツは、複数社の不動産会社に査定を依頼することです。1社のみの査定の場合、その査定結果が適正なのかが判断しづらいですが、複数社に査定依頼を行えば、さまざまな意見を聞き比較検討することができます。

複数社に査定依頼を出すためには、不動産一括査定を利用しましょう。不動産一括査定とは、マンションの情報を入力して送信するだけで、複数の不動産会社へまとめて査定依頼を行えるサービスです。

不動産会社によって得意・不得意分野があるため、不動産一括査定を利用してマンション販売に強い会社を選べば、高い金額でマンションが売却できるでしょう。

あらかじめ価格相場を把握しておく

マンションを高く売却するコツとして、事前に周辺相場を調べておくことが挙げられます。売却価格の算出を不動産会社任せにせず、自分で相場を理解しておくことで、高値でのマンション売却につながります。周辺相場を把握するためには、インターネットで以下をチェックします。

  • 不動産情報ライブラリ

  • レインズ・マーケット・インフォメーション

  • ポータルサイトや不動産会社のホームページ

相場とかけ離れた価格で売り出してしまうと、売却活動が長期化して売れ残るリスクが高まります。早期に高値で売却するためには、事前に相場を確認しておくことが重要です。

ゆとりを持ったスケジュールで売却に臨む

高くマンションを売却する3つ目のポイントは、ゆとりを持ったスケジュールで売却活動に臨むことです。スケジュールに余裕がないと、焦って売却しようとするあまり、大幅な金額交渉に応じてしまうおそれがあります。

ゆとりを持って売却するためには、短くとも半年以上のスケジュールを確保して売却活動を行いましょう。そうすれば、無理な価格交渉に応じることもなくなり、ベストなタイミングでの売却が実現します。

まとめ

この記事では、マンション売却に必要な書類を各ステップに分けて解説しました。購入希望者に物件の魅力を存分に伝えるためには、できるだけ多くの書類を集めることが重要です。また、マンションを高く売却するためには、不動産一括査定を利用して複数社へ依頼する、ゆとりを持ったスケジュールで売却に臨むことが重要です。

この記事を参考にマンション売却に必要な書類の全体像を把握し、書類が必要なタイミングで焦ることがないようにしましょう。