マンションの売却を検討する中で「売れやすい間取りはあるのか」「間取りに合わせた販売方法を知りたい」などの疑問を持つ人が多くいるでしょう。
実際、マンションには売れやすい間取りとそうでない間取りがあるため、部屋ごとに適切な販売戦略を立てなければ、マンション売却に失敗してしまう可能性があります。
今回は、マンション売却に有利な間取りや、間取りごとの販売戦略について解説します。さらに、間取り以外に注目すべきポイントも解説しますので、納得のいくマンション売却を実現したい人は、最後まで読んで参考にしてください。
この記事の目次
マンションで最も売却しやすい間取りは3LDK
マンションの中で最も売却しやすい間取りは3LDKだと言われています。子どもがいるファミリー層や、これから家族を増やしていく予定の夫婦に人気が高いためです。
下記の表は、中古マンションにおける首都圏の間取り別成約件数を表したものです。
引用:東日本不動産流通機構「表17-① 中古マンションの間取り別成約件数[首都圏]」
この表を見てわかるように、中古マンションの3LDKの間取りは、2012年から全体の40%以上の比率を維持し続けています。ファミリー層にとって2LDKでは少し狭く、4LDKでは広すぎて持て余してしまうおそれがあることから、3LDKが最も需要が高く売却しやすいと言えます。
近年マンションの売却で人気が高まっている間取りは2LDK
近年、マンションの中で人気が高まっているのが、都心部にある2LDKです。子育てを終えた50〜60代の人が定年退職前に自宅を売却し、利便性の良い立地の2LDKを購入するケースが増えています。
以前までは、結婚当初に購入した家に生涯住むことが主流でしたが、近年では終の棲家を都心部に求める人が増加しています。都心部に住めば、車に乗ることなく買い物に行けたり病院に通えたりすることが大きな理由です。
そのため、超高齢化社会に突入している日本では、今後さらに都心部の2LDKの需要が増えていくと言われています。
マンション売却で間取りごとのターゲットの違いとは
マンション売却では、間取りごとにターゲットが異なります。ターゲットに合わせた販売戦略を立てることで、よりスムーズに売却ができるでしょう。ここからは、間取り別のターゲットの違いについて解説します。
1LDK
1LDKは、経済的にゆとりのある単身者や、子どもが独立した夫婦などに人気の間取りです。また、近年ではDINKSと呼ばれる子どもを持たない選択をした夫婦からの人気も高まっています。
リビングとは別に部屋があることで、単身者は広さにゆとりを持って生活できます。また、専有面積が広ければ、2人での生活にも支障はありません。ただし、1LDKを希望する単身者やカップルの多くは、利便性を一番に考える傾向にあるため、最寄駅から徒歩15分以上の物件は需要が低くなってしまうでしょう。
また、1LDKは賃貸物件として市場に出回っていることが多く、その場合は収益用の物件となります。そのため、投資家をターゲットにした販売戦略を立てることも、1LDKの選択肢として考えられます。
2LDK
2LDKは、子どもが独立した夫婦やDINKS、子どもが1人の3人家族などに人気が高い間取りです。1LDKでは狭いと感じる層がターゲットになるでしょう。
たとえば、自宅で仕事をする機会が多い夫婦は寝室と別に書斎を作れますし、趣味の部屋として活用することもできます。また、3人家族の場合は子どもに1人部屋を用意できます。
ただし、メインターゲットとなる子どもが独立した夫婦やDINKSは、立地を重視する傾向があるため、2LDKでも立地が重要となります。DINKSには、通勤のために交通アクセスが良い立地が求められますし、子どもが独立した夫婦には商業施設や病院などが充実したエリアが好まれるでしょう。
3LDK
3LDKは、子どもがいる家族や、将来子どもを作る予定の夫婦に人気の間取りです。夫婦の寝室とは別に複数の部屋があることで、子どもに1人部屋を用意することが可能ですし、子どもが独立したあとに親と同居できるスペースを設けることもできます。
3LDKも最寄駅までの距離が大事ですが、それ以上に子育てに適した立地が人気です。学校や公園などがマンションの近くにある場合は、大きなセールスポイントとなるでしょう。
ただし、3LDKのマンションは需要が高いため売却は比較的簡単ですが、その分流通量も多いのでケースによっては他の部屋との差別化を図らなければいけません。たとえば、同じマンションで同じ価格の3LDKが複数出ている場合、差別化のために価格調整や室内のリフォームなどの対応が必要になるでしょう。
4LDK
4LDKは、部屋数が多いため、複数の子どもがいる家族に人気の間取りです。また、近年では自宅で仕事をする人や、趣味の部屋がもう1室欲しい人の需要も高まっています。
4LDKの部屋は、専有面積が広くなる分価格が高くなる傾向にあるため、経済的に余裕のある人がターゲットになります。また、経済的に余裕のある人は、室内の設備にもこだわる傾向にあるため、性能の高い設備を備えた部屋が人気です。
3LDKに比べればターゲット層が少なくなりますが、設備面や複数の部屋をさまざまな用途に利用できるという点をアピールしながら、販売活動を行うと良いでしょう。
マンションの売却で間取り以外の重要な要素4選
マンション売却では、間取り以外にも重視するべきポイントがあります。
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立地や周辺環境
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部屋の向きや階数
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築年数
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管理体制
ここからは、それぞれの特徴について解説します。
立地や周辺環境
間取り以外で売却に影響を与える要素として、マンションの立地や周辺環境が挙げられます。どれだけ人気の間取りだとしても、間取りのターゲット層に合わない立地では売却に苦戦するおそれがあるのです。
たとえば、1LDKや2LDKの間取りでは、交通アクセスの良さや、スーパーなどの商業施設が近くにあるなどの条件が重視されやすい傾向にあります。一方、3LDKや4LDKの間取りは、子育てをする家族に人気のため、閑静な住宅街や公園・学校が近いなどの立地条件が重要です。
また、交通量の多い幹線道路に面していたり、娯楽施設や繁華街に隣接したりする立地のマンションは、間取りが良くてもマイナス要素になるかもしれません。このように、立地や周辺環境は売却価格・売却スピードに大きな影響を及ぼす要素の1つです。
部屋の向きや階数
間取り以外に重要な要素2つ目は、部屋の向きや階数です。部屋が面している方角や階数の違いで日当たり・眺望が変わり、買い手に与える印象に影響を与えるためです。
日当たりを重視する場合、部屋の方角の人気順は以下のとおりです。
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南向き:日が入る時間が最も長いため、明るい中で生活できる
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東向き:午前中に日が入るため、朝日の中で目覚められる
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西向き:日当たりは午後からだが、冬は西日で温かい
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北向き:直接日が入らないが、夏は室内が暑くなりにくい
また、一般的に、高層階になればなるほど売却価格が高くなりやすいとされています。高層階の部屋ほど遮る建物が少なくなるため、眺望が良く日当たりが良くなる傾向にあるのです。マンション売却では、間取りとともに部屋の方角や階数に合わせた販売戦略を立てることが重要です。
築年数
間取りの他に、マンションの築年数も売却に影響を及ぼします。一般的に、マンションの築年数が古くなるほど価格が下がります。国土交通省によると、築年数の経過により中古マンションの価格は、以下のように下落するとしています。
このグラフによると、築5年で約10%、築20年で約40%も価格が下落しています。ただし、再開発や新駅の設置により土地価格が上昇したケース、マンションの修繕・管理がしっかりしているケースでは価格の下落が緩やかになります。
また、築年数が古く売却できるかどうかが不安な場合は、リフォームを行い資産価値を上げることも手段の1つです。このように、築年数と売却価格には密接な関係があるため、売却時に無視できない重要な要素と言えるでしょう。
管理体制
間取り以外に重要な要素の4点目は、マンションの管理体制です。管理体制が整っているマンションは住み心地や見た目が良いだけでなく、安全性も備わっています。管理体制が整っているマンションの特徴として、主に以下が挙げられます。
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管理人が常駐して定期的に巡回している
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マンション内にコンシェルジュがいる
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清掃が行き届いていて、ゴミ捨て場や共用部分がきれい
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防犯カメラが設置されている
買い手の中には間取りや立地とともに、上記のポイントを重視している人が多くいます。そのため、間取りに少し不満があっても管理体制が整っているからという理由で物件を決めるケースもあるでしょう。
間取りの良さだけでなく、管理面が優れていれば早期売却や高額売却につながるため、管理体制が重要な要素になると言えます。
マンションを高く売るための3つのコツ
間取りやそれ以外の要素を踏まえた上で、マンションを高く売るためのコツは以下の3点です。
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複数の不動産会社へ査定依頼を行う
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マンション売却が得意な不動産会社を選ぶ
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担当者との相性をチェックする
これらのポイントを把握すれば、マンションが高額で売却できる可能性が高まるでしょう。
複数の不動産会社へ査定依頼を行う
マンションを高い金額で売却するためには、複数の不動産会社へ査定依頼を行いましょう。1社だけに査定依頼をしても、その金額が高いのか低いのかがわかりにくいためです。
複数社へ査定依頼を出す方法として、不動産一括査定の利用がおすすめです。不動産一括査定とは、一度の申し込みで複数社へまとめて査定を依頼できるサービスです。査定方法は不動産会社によってさまざまなため、複数社からの査定結果を比較検討しましょう。
一例として、1社のみと複数社へ査定依頼を行った場合の違いをみてみましょう。
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A社:3,000万円
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B社:2,500万円
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C社:3,500万円
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D社:3,200万円
もしA社のみに査定を依頼した場合は、3,000万円以上で売却できる見込みはありませんが、複数社へ査定依頼を行うことで、それ以上の金額で売却できる可能性が生まれました。必ずしも高い金額で売却できる訳ではありませんが、可能性を広げるためにも不動産一括査定を利用して、複数社へ査定依頼を行いましょう。
マンション売却が得意な不動産会社を選ぶ
マンションを高く売却する2つ目のコツは、マンション売却が得意な不動産会社へ依頼することです。「マンション」「一戸建て」「土地」では、それぞれの販売方法が異なります。マンション売却が得意で実績が豊富な不動産会社を選べば、売却を有利に進めることができるでしょう。
マンション売却が得意な不動産会社は、既存顧客を多く抱えている可能性があります。また、マンション販売に有効な広告手段を利用していることもあるため、効率の良い宣伝活動が期待できます。
売却の得意分野を調べるためには、ホームページで売却事例や掲載されている物件情報を確認するほか、担当者へ販売実績を直接聞いてみることもおすすめです。
担当者との相性をチェックする
マンションを高値で売却するためには、担当者との相性も重要です。実際に買い手とコミュニケーションを取るのは担当者のため、相性や質の悪い担当者に依頼してしまうと売却がスムーズに進まないおそれがあります。
担当者との相性を見極めるためには、以下のポイントに気をつけましょう。
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連絡や行動が早いか
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販売プランを明確に提案してくれるか
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言葉遣いが丁寧か
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身だしなみに気を遣っているか
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書類を間違いなく作成してくれるか
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時間を守ってくれるか
上記のポイントに納得がいくのであれば、その担当者に依頼しても良いでしょう。相性が良く信頼できる担当者に売却を依頼することで、スムーズにマンション売却を進められます。
まとめ
この記事では、マンション売却と間取りの関係について解説しました。マンション売却において最も人気のある間取りは3LDKですが、ターゲットをしっかり定めることで、他の間取りでも高値で売却することが可能です。また、間取りだけでなく立地や部屋の方角、築年数などもマンション売却では重要な要素になります。
さらに、マンション販売が得意な不動産会社に売却を依頼する、相性の良い担当者を選ぶことも大事なポイントです。売却するマンションの間取りの強みをしっかりと理解し、ターゲットに合わせた販売戦略で納得のいくマンション売却を実現しましょう。