「余っている土地を太陽光発電会社へ売却したい」「土地売却にまつわるトラブルを事前に確認しておきたい」と悩んでいないでしょうか。

土地を太陽光発電用に売却する場合、近隣住民からの苦情や売買不成立などのトラブルが生じる可能性があります。

スムーズに売却するためにも、事前によくあるトラブル事例と対策を知っておかなければなりません。

そこで本記事では、太陽光発電の土地売却にまつわるトラブルや対処法を解説します。

土地売却の際の注意点もまとめているので、記事を参考にトラブルになるリスクを避けましょう。

太陽光発電の事業者へ土地を売る際によくあるトラブル

太陽光発電の事業者に土地を売る際、そもそも売却できないケースや安値での取引になるなどのトラブルが起こる可能性があります。

適正価格かつスムーズに売却したい方は、下記で紹介するよくあるトラブルを参考にしてみてください。

売却から引き渡しまでに時間がかかる

太陽光発電事業者に土地を売却する際は、取引に時間がかかる可能性があります。

土地や土壌、日射量などの調査に時間がかかるためです。

一般的に土地は3カ月から 6カ月程度で売却できますが、地方など人口が少ない地域だと1年以上かかることも少なくありません。

また太陽光発電用地として活用するために、下記のような申請が必要になります。

太陽光発電用地として転用するための申請

・地目の転用申請

・伐採許可(木々が生い茂っている場合)

・林地開発許可(木々が生い茂っている場合)

・開発許可

太陽光発電事業をはじめるための申請

・都道府県知事の許可

・電力会社への申請

余裕のないスケジュールで売却活動をはじめると安売りを強いられかねないので、最低でも1年程度は余裕を持って手続きをはじめてください。

交渉に負けて安値で売却する

太陽光発電の土地売却でよくあるトラブルは、交渉に負けて安値で売却することです。

とくにスケジュールに余裕がないと、業者から早めの対応を迫られて安く売ってしまう可能性があります。

また業者側が再生可能エネルギー機器等助成金など補助金の申請で早めの対応を迫られ、所有者を急かすことも考えられるでしょう。

安値で売却しないための対策は、下記の3点です。

  • 1年程度スケジュールに余裕を持つ

  • 複数社比較して対応のいい業者と取引する

  • 相場をチェックしておく

安値での売却にならないよう、所有者自身でも準備してから売却活動をはじめてください。

ソーラーパネル設置で近隣とトラブルになる

ソーラーパネルを設置する際に、近隣住民と反射や景観などが原因でトラブルになる可能性があります。

「ソーラーパネルからの反射光で日常生活に支障が出る」「積雪が敷地内に落ちてきて困っている」などといわれる事例が考えられるでしょう。

トラブルを避けるためには、事前に近隣住民からの理解を得ておく必要があります。

スムーズに売却できるよう土地売却の業者と手を組みながら、近隣住民から理解を得られるようにリスクや対処法を説明してください。

停止条件付売買で契約自体が無効になる

太陽光発電の土地を売却する際、そもそも契約自体が無効になる可能性があります。

売買取引の際は「停止条件付売買」を行うため、太陽光発電用地として許可がおりなかった場合は契約自体が成立しません。

太陽光発電用地売買における停止条件付契約とは、販売している土地が太陽光発電用地として認められなかった場合に、取引を停止できる条件のことです。

購入者の意思があっても正式に認められない限り取引が成立しないため、やむを得ない事情でキャンセルになる可能性があると理解しておく必要があります。

太陽光発電の土地を売却する際の注意点

太陽光発電の土地を売却する際の注意点を5つ紹介します。

金銭的なトラブルや近隣住民とのトラブルを避けるために、下記で紹介する注意点を参考にしてみてください。

取引する業者の対応はていねいか確認する

太陽光発電の土地を売却するときは、取引する業者の対応を確認しましょう。

無理に急かしてくる業者や安値で買い叩こうとする業者では、納得いく金額で売却できないからです。

たとえば質問をしたときに迅速に回答してもらえるか、日々の対応で強引な部分はないか確認してみましょう。

また査定金額が相場よりも低くないか、相見積もりを取りながら確かめてみてください。

太陽光発電用の土地なのか確認する

農地を太陽光発電用地として転用する場合、その農地が太陽光発電に向いているのか確認が必要です。

第一種農地や農業振興地域の場合は許可がおりないケースがあるため、売却活動をはじめる前に確認しなければなりません。

たとえば一面農地が広がっているような場所だと、第一種農地として判断されて農地転用の許可がおりない可能性があります。

売買契約書類を細かくチェックする

太陽光発電の土地を売却するときは、売買契約書類を細かくチェックしましょう。

業者が行っている取引内容が正しいか判断するために、自分自身でも売買契約書類を確認する必要があります。

たとえば相場よりも明らかに高い買取額を提示している業者は、契約後に買取代金を変更できるような契約にしているケースがあります。

契約書を読まずに印鑑を押すと将来の自分が損してしまうので、契約書の内容を細かくチェックしながら気になる部分は業者へ質問してみてください。

複数の会社を比較する

太陽光発電の土地を売却する際は、複数の会社を比較しましょう。

高値で買い取ってくれる会社を見つけるために、複数社に見積もりを取る必要があります。

たとえばA社は1,000万円でB社は1,500万円のように、会社ごとに査定額が異なることは少なくありません。

またスムーズに対応してくれる会社を選べば、売却までスムーズに進めてくれます。

1社しか査定を依頼しないと適正価格や対応の良し悪しはわからないので、複数社に査定を依頼してみてください。

近隣住民からの理解を得る

太陽光発電にまつわるトラブルを避けるために、近隣住民の理解を得てから売却活動をはじめる必要があります。

ソーラーパネルの設置によって景観を乱すリスクや日当たりが変わる恐れがあるので、近隣住民からの理解を得てからはじめたほうが後のトラブルを避けられるでしょう。

また地域ごとに独自のルールを設けているケースもあり、設置に制限をかけているところもあります。

近隣住民の中でソーラーパネルを設置している方がいるなら、どのように周囲の方に説明したか聞いてみてください。

太陽光発電用地に向いている土地の条件

  • 崩壊しにくい安定した土地である

  • 濁水のリスクが低い

  • 騒音があっても問題ない

  • 反射光によるリスクが低い

  • 工事に関する粉じん・騒音・振動のリスクが低い

  • 景観が変わっても問題ない

  • 動物・植物・生態系への影響が低い

  • 自然とのふれあいの場が縮小しにくい

  • 農地転用が可能な土地である

太陽光発電用地に向いている土地の条件は、上記のとおりです。

自然環境や住環境、生態系などに影響が少なく、地方自治体から許可を得られるような土地でないと設置できません。

たとえば周辺が住宅地で反射光や騒音などのリスクがある土地だと、近隣住民や自治体からの許可は得にくいでしょう。

また切土や盛土、自然斜面などを含む土地構造の場合は、土地の安定性の観点から許可がおりない可能性があります。

太陽光発電に向いているか判断できない方は、業者に査定を依頼してみてください。

参照元:環境省|太陽光発電の環境配慮ガイドライン

太陽光発電の土地を売却するときの流れ

太陽光発電の土地売却を考えている方は、売却までの全体像を確認しておきましょう。

不動産売却とは流れが異なるので、下記を参考に対応漏れがないように予習してください。

1.太陽光発電会社に査定依頼

まずは太陽光発電会社に査定を依頼しましょう。

査定を依頼する際は高値で取引するために、必ず2社以上の太陽光発電会社に連絡してください。

1社のみの申し込みだと、受け取った査定額が適正価格なのか判断できません。

買い叩くような業者と取引しないためにも、2社以上に査定を出して高値で取引できる会社を見つけましょう。

2.現地査定を受ける

太陽光発電業者の査定には、書類などの情報だけで判断する「簡易査定」と、実際に担当者が現地で調査する「現地査定」があります。

基本的には簡易査定を行ったあとに現地査定が行われるので、まずは簡易査定を受けて高値で取引できる会社を絞り込んでください。

この際に簡易査定だけで会社を決めるのではなく、現地査定を受けて正式な価格を2社以上に出してもらいましょう。

3.買取価格を提示される

太陽光発電会社が現地査定を実施したあとは、買取価格が提示されます。

複数社の買取価格を比較しながら、高値で取引できる会社を見つけてください。

4.売却先の太陽光発電会社を選び売買契約を締結する

現地査定の結果をもとに、売却する太陽光発電会社を選びます。

太陽光発電会社の売買契約では、停止条件付売買や即時買取などさまざまな契約方法があります。

契約内容を確認のうえ、契約後にトラブルがないように手続きを進めてください。

5.太陽光発電業者が事業申請を行う

売買契約を結んでも、手続きは終わりではありません。

都道府県知事に事業申請をしたり、電力会社へ申請したりする必要があるため、すぐに現金を手に入れられるわけではないと理解しておきましょう。

売却予定の土地が太陽光発電事業に向いていると許可がおりれば、決済・引き渡しに進みます。

事業申請は数カ月から1年程度かかるケースもあるので、スケジュールに余裕を持って進めてください。

6.決済し土地を引き渡す

都道府県知事や電力会社からの許可がおりたら、決済・土地の引き渡しが行われます。

太陽光発電会社から印鑑や必要書類の案内をされるので、決済日までに揃えておきましょう。

基本的に決済と土地の引き渡しは同日に行われます。

太陽光発電の土地売却は不動産会社を優先的に考える

太陽光発電用地としての土地売却は、最終手段だと捉えるべきです。

トラブルを避けスムーズに売却するためにも、まずは今の状態のまま土地を活用できないか考える必要があります。

具体的には、以下の順番で土地売却を進めてみてください。

  1. 不動産会社に売却を依頼する

  2. 断られたら不動産会社に買取を依頼する

  3. 最終手段として太陽光発電用地として売却する

まずは不動産会社に売却を依頼しましょう。

トラブルや煩雑な手続きを避けて売却するためにも、不動産会社に売却できる見込みがあるか確認する必要があります。

しかし駅から離れた土地や木々が生い茂っている土地など、不動産会社が売却できる見込みがないと判断するケースも少なくありません。

売却・買取どちらの方法でも太陽光発電以外の活用方法を見出しにくい場合は、最終手段として太陽光発電業者に買取を依頼してください。

太陽光発電の土地売却にまつわるよくある質問

太陽光発電の土地売却でよくある質問をまとめました。

業者に査定を依頼する前に、下記の内容をチェックしてみてください。

太陽光発電ができない土地は?

崩壊のリスクがあり安定性がない土地や、騒音・反射光などによる悪影響が大きい土地は、太陽光発電に向いていません。

自分で判断する前に、太陽光発電会社に査定を依頼してみましょう。

太陽光発電をやめたあとの土地はどうなりますか?

土地や設備を借りている場合、太陽光発電をやめたあとの土地は貸主へ返却する必要があります。

自己所有の場合は設備を含めた売却や、設備を撤去して土地のみの売却が可能です。

太陽光発電会社と相談しながら、どの方法で売却するか考えてみてください。

まとめ

本記事では、太陽光発電の土地売却にまつわるトラブルについて解説しました。

「売却から引き渡しまでに時間がかかる」「ソーラーパネル設置で近隣とトラブルになる」などの事例があるので、事前に起こりうるリスクや対策を知っておきましょう。

大前提として、土地を売却する際は、不動産会社へ売却できないか優先的な検討がおすすめです。

近隣住民とのトラブルや契約不成立などのトラブルを避けながら、スムーズに土地を売却できます。

不動産会社への売却や買取に対応できないとわかってから、太陽光発電会社への売却を検討してみてください。