「今の家にあと何年住めるのだろう」「寿命が近そうな家でも売れるのかな」このように悩んでいないでしょうか。

日本の家の寿命は短い傾向にあり、住み続けるには問題なくても、売却を考えている方は売り時を逃してしまうかもしれません。

また住み続けようと考えている方は、メンテナンスや修繕を怠るとすぐに劣化する可能性があります。

このような事態を避けるためにも、家の寿命や日本ならではの事情を理解しなければなりません。

本記事では、家の寿命は何年なのか紹介し、寿命を伸ばすためのポイントや売却のコツをまとめます。

記事を参考に、自分の家はあと何年使えるのか、価値は残っているのか確かめてみてください。

家の寿命は平均30年!国土交通省のデータをもとに解説

平均築後年数

日本

30年

アメリカ

55年

イギリス

77年

参照元:国土交通省|長持ち住宅の手引き

国土交通省のデータによると、家を建築してから取り壊されるまでの年数は30年でした。

アメリカは55年、イギリスは77年取り壊されていないことから、日本の家の寿命が短いとわかります。

同じ資料によると、日本は1981年以降に建てられた家が全体の6割を占めるのに対し、1950年以前に建てられた家は5%以下となっています。

イギリスは1950年以前に建てられた住宅が4割を超えていることからも、我が国の家の短命さがわかるでしょう。

日本の家の寿命が短い理由

日本の家の寿命が短い理由は、建築物のクオリティではありません。

日本では、売却時のことを考えたり自分の気持ちのことを考えたりして、家を買い換える傾向にあるのです。

具体的な理由は、下記を参考にしてみてください。

築年数が経過した家は売却価格が下がるため

引用元:レインズ|築年数から見た 首都圏の不動産流通市場(2023年)

日本の家の寿命が短い理由は、築年数が経過すると売却価格が下がるためです。

年数を経過するごとに資産価値が低下するため、買い手が現れずに造っては壊すような構図になってしまいます。

左の画像をみると、築30年経過した家は、約2,000万円程度価値を落としていることがわかるでしょう。

このように年数を経過するごとに資産価値が落ちるため、海外諸国よりも家の寿命が短命なのです。

しかし最近は、以前よりも中古住宅の取引が活発に行われるようになりました。

国土交通省の調査によると、2019年は新築マンションよりも中古マンションの成約件数が上回っています。

家を所有している方は、中古住宅も売却できる気運が高まっていることを認識するといいでしょう。

ユーザーは新築を好む傾向にあるため

住宅を購入するとしたら新築か中古か

割合

新築の一戸建てがいい

63.0%

新築のマンションがいい

10.0%

中古の一戸建てがいい

6.1%

中古のマンションがいい

3.8%

どちらでもいい

14.2%

引用元:内閣府|2ページ目-住生活に関する世論調査

日本の家の寿命が短いもうひとつの理由は、新築を好む傾向にある点です。

2015年に内閣府が行なった世論調査でもわかるように、回答者の7割以上が「新築がいい」と答えています。

中古住宅の市場も伸びつつありますが、新築嗜好が根付いていることは把握しておきましょう。

家の寿命が近づいているサイン

家を建ててから20年以上経っている場合、寿命はいつ来るのか気になっている方もいらっしゃるでしょう。

そこで以下では、家の寿命が近づいているサインを3つ紹介します。

外壁のヒビや塗装の剥がれが目立つ

外壁のヒビや塗装の剥がれが目立つ際は、家の寿命が近づいているサインです。

売却を検討している方は買い手からの印象にもかかわるため、早めに再塗装しましょう。

小さなヒビを放置していると、やがて塗装が剥がれて大きなヒビに変わります。

塗装だけでは修繕できなくなる可能性もあるので、ヒビが小さいうちに対処してください。

水漏れが確認できる

キッチンやお風呂など、水回りのどこかが水漏れしているのも寿命が近づいているサインです。

配管にゴミが蓄積して破損してしまい、気付かぬうちに水漏れが生じていることも少なくありません。

ある時期を起点として急に水道料金が高くなっている方は、家のどこかで水漏れが生じている可能性があります。

配管工などに修理を依頼し、水漏れを解消できるか確かめてみてください。

まだ水漏れは見られない方は、キッチン周りの汚れや水垢などを除去し、汚れが蓄積しないように気をつけましょう。

床や天井の腐食が目立つ

床や天井の腐食が目立つと、家の寿命が近づいているサインです。

とくにキッチンやトイレ、洗面所などは湿気が溜まりやすいところで、腐食しやすくなっています。

たとえば床を歩いていて一部分だけ柔らかいところがあったら、中が腐食している可能性が考えられるでしょう。

また雨漏りなどで天井がたわんでいる部分を放置している場合は、表面も内部も腐食がすすんでいるかもしれません。

大きな怪我や売却の際の減点ポイントになるので、床や天井の腐食は放置せずに修繕を依頼してください。

家の寿命を伸ばして100年住むための対策

「購入した家にできるだけ長く住みたい」「次の世代にも引き継いで100年使ってもらいたい」このように考えている方もいらっしゃるでしょう。

そこで以下では、家の寿命を伸ばして100年住むための対策を解説します。

湿気がこもらないように換気する

家の寿命を伸ばすために、室内に湿気がこもらないよう換気しましょう。

湿気を長年放置すると、床材やフローリングの痛みやシミ、腐食などの原因になるからです。

たとえば梅雨時は扇風機を回したり除湿をつけたりするなど、湿気がこもらないような対策が必要になります。

また浴室から出たら換気し、風呂場に湿気がたまらないような対策も必要です。

湿気が原因でカビが発生すると、喘息や鼻炎などのアレルギー疾患を引き起こす可能性があります。

日頃から換気を徹底し、湿気がこもらないように対策をしてください。

床や外壁を定期的に塗装する

家の寿命を伸ばして100年住むために、床や外壁を定期的に塗装しましょう。

塗装が剥げたり外壁にヒビが入ったりするので、住める状態を維持するためにもメンテナンスが必要です。

国土交通省の資料によると、外壁材の交換周期の目安は20年から40年だといわれています。

「子どもが独立したら」「塗装の剥がれが目立ってきたら」などの基準を設けて、業者に塗装を依頼してください。

費用を浮かせたい方は、自分で塗装できるか試してみましょう。

参照元:国土交通省|期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新 による価値向上について

リフォームや定期メンテナンスを依頼する

購入した家をそのままにせず、リフォームや定期メンテナンスを依頼するのも大切です。

設備は徐々に劣化していくため、定期的に修繕すると長く同じ家に住み続けられます。

国土交通省の資料によると、台所や浴室設備、洗面化粧台の交換周期は15年から25年でした。

また屋根材は20年から40年と、あらゆるものには交換周期の目安が設けられています。

そのため20年から30年を経過したタイミングでメンテナンスを依頼すると、家で劣化した部分を修繕してくれるでしょう。

改めて購入するよりも安く収まるため、明らかに壊れていない箇所もメンテナンスをしながら維持できるように心がけてください。

参照元:国土交通省|期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新 による価値向上について

寿命が近い家でも売却できる!4つの方法を解説

寿命が近い家を売りたい場合、まだ耐用年数が残っている家とは別の方法が必要になります。

具体的なアクションプランを4つ紹介するので、下記を参考に対策を講じてみてください。

不動産会社に買取を依頼する

寿命が近い家を所有している場合は、不動産会社に買取を依頼しましょう。

売却では買い手がつかない場合も、不動産業者に買い取ってもらえる可能性があります。

修繕費などの費用を差し引いた金額で買い取るため、構造上相場よりも低い価格での買取となります。

しかし寿命が近い家でもすぐに売れる点がメリットなので、売却では買い手がつかなかった場合に検討してみてください。

古家付き土地として売却する

寿命の近い家を所有している場合も、解体せずに古家付き土地として売却できないか検討してみましょう。

自分でリフォームをしてから住みたい層にアピールできるため、条件が合えば購入してくれる可能性があります。

古家付き土地として売却できれば買い手は安くリフォームでき、売り手は解体やリフォームにかかる費用を抑えて売却が可能です。

「このままだと買い手はつかないかも」と悩んでいる場合も、まずは古家付き土地として売却できないか不動産会社に相談してみてください。

空き家バンクに登録する

すでに住んでいない家の売却を考えている場合は、空き家バンクへの登録も検討してみましょう。

空き家バンクとは、地方自治体が運営している空き家の登録サイトのことです。

登録できる家の条件は下記を確認してみてください。

  • 個人が居住を目的として建築し、現に居住していない(近く居住しなくなる予定のものを含む。)市内に存する建築物であること。

  • 賃貸、分譲などを目的としていないこと。

  • 建築物の安全性に問題がないこと。

  • 居住の場として機能しない建築物でないこと。

引用元:秋田市|空き家バンクQ&A

つまり、今現在住んでいない状況で、機能面に問題ない家を所有している方は登録できます。

不動産会社で取り扱ってもらえなかった場合は、空き家バンクへの登録も検討してみてください。

住宅診断を受けて評価をもらう

「家に不具合がないか不安」と悩んでいる場合は、住宅診断を受けてみましょう。

住宅診断とは住宅診断士が住宅の劣化状況、不具合の有無、改修すべき箇所などをアドバイスしてくれる専門業務のことです。

別名ホームインスペクターとも呼ばれています。

住宅診断を受けると専門家から評価をもらえるため、内見時に「専門家から評価を得た物件です」とアピールできるでしょう。

アメリカでは取引全体の70%〜90%の割合で住宅診断が行われていて、中古物件の取引が盛んな国では常識となっています。

築年数が原因で売却できるか不安な方は、住宅診断を受けてみてください。

家の寿命と耐用年数は異なる!勘違いしないように注意

構造

居住用の法定耐用年数

木造・合成樹脂造の もの

22年

木骨モルタル造のもの

20年

鉄骨鉄筋コンクリー ト造・鉄筋コンクリ ート造のもの

47年

れんが造・石造・ブロ ック造のもの

38年

金属造のもの(4mmを超えるもの)

34年

金属造のもの(3mmを超え、4mm以下のもの)

27年

金属造のもの(3mm以下のもの)

19年

参照元:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

家の寿命と耐用年数を混同している方が多くいますが、実際に両者は別物です。

家の寿命とは物理的に住み続けられる期間のことを指します。

一方耐用年数とは、税務上で減価償却を使用できる期間のことです。

実際に住み続けられる年数は、建物の材質やこれまで行ってきたメンテナンスによって異なります。

耐用年数で判断できないことがほとんどなので、まったく別物だと理解しておきましょう。

まとめ

この記事では家の寿命は何年なのか、統計データなどをもとに解説しました。

日本の家が建てられてから壊されるまでの期間は、平均30年だといわれています。

100年など長く使い続けたい方は定期的にメンテナンスを行い、住める状態を維持できるように心がけてください。

また寿命が近い家の売却を考えている場合は、不動産会社に買取を依頼したり古家付き土地として売却したりする方法があります。

不動産会社に相談しながら、どの方法で売却すべきか判断しましょう。