「ワンルームマンションを高く売るタイミングがわからない」「ワンルームマンション売却の注意点は?」といった悩みや疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

今回は、投資用/自宅用のワンルームマンション売却におすすめのタイミング、失敗しないための注意点、売却時の費用など、事前に押さえておきたい情報をまとめました。

また、気になるワンルームマンションの費用相場も紹介していますので、参考にしてください。

【投資用】ワンルームマンション売却におすすめのタイミング

ワンルームマンションに限らず、不動産は売却するタイミングによって価格が大きく変動します。

そこでまずは、投資用ワンルームマンションの売却に適した4つのタイミングを紹介します。

競合物件が高額で売りに出されている

ワンルームマンションは間取りや部屋の広さに大きな差が出にくいため、競合物件が高額で売りに出されている時期は、高く売るチャンスだといえます。

売却を検討している場合は、こまめに競合の売り出し価格をチェックし、自身が希望する価格以上で競合物件が売りに出されているタイミングを狙うとよいでしょう。

金利が低いタイミング

低金利のタイミングは、ワンルームマンション売却に適した時期だといえます。

理由はシンプルで、金利が低くなれば購入者側の住宅ローンに対するハードルが下がり、不動産のニーズが高まるからです。

結果的にニーズの高まりを受けて不動産の価格も上昇しやすいことから、物件を高く売却できる可能性に期待できるといえるのです。

収支がマイナスになったタイミング

月々の収支がマイナスになったタイミングも、ワンルームマンションの売り時です。

一般的に家賃は年月を追うごとに下がっていく一方で、設備投資や維持にかかる出費は増えていく傾向にあります。

家賃収入で得られる利益よりも物件維持にかかる費用が高くなってしまうと収益性が悪化するため、毎月の収支を正確に把握するとともに、収支がマイナスになったタイミングで売却を検討するのがおすすめです。

景気動向が上向きのタイミング

景気動向の上昇は、ワンルームマンションをより高く売るタイミングの目安です。

以下は、国土交通省の不動産価格指数(マンション)と日経平均株価(月次)の推移を表したグラフです。

引用元:日本経済新聞|マンション価格指数と日経平均株価の推移

ご覧のとおり、日経平均株価と不動産関係には相関関係があり、株価上昇にあわせてマンション価格指数は上昇しています。

不動産の売却においては、価格上昇のタイミングを敏感にキャッチしてスピーディに動くことが大切であるため、日ごろから株価をチェックしておきましょう。

自宅用のワンルームマンションは「売りたい」と感じた時がタイミング

自宅用のマンションは自身の生活と密接な関係にあるため、「売りたい」「引っ越したい」と感じたタイミングが売り時です。

もちろん投資用マンションのように高く売れるタイミングを待つことも選択肢としてはありますが、自宅用のマンションは生活拠点であるため仕事やプライベートの変化にあわせて売却するタイミングを決断するのがおすすめです。

特に転勤、結婚、出産など、生活スタイルをがらりと変える事案が出たタイミングは売り時だといえるでしょう。

ワンルームマンション売却で失敗しないための6つの注意点

ワンルームマンション売却で失敗しないためには、正しい知識を備えて準備を整えておくことが大切です。

ここでは、特に注意すべき以下6つの注意点を解説します。

  1. 築年数/保有年数に注意

  2. ローンの残債に注意

  3. ワンルームマンション売却時の費用に注意

  4. 不動産会社選びに注意

  5. 仲介/買取の違いに注意

  6. 売却前のリフォーム/リノベーションに注意

1.築年数/保有年数に注意

建物は築年数の経過に伴い劣化するため、年月が経つほどワンルームマンションの売却価格は下がります。

引用元:レインズ |築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)

上記は首都圏における中古マンションの築年帯別平均価格を表したグラフですが、築年数の経過にあわせて価格は右肩下がりを示し、築26年を超えると大幅に価格が下落することを表しています。

また、築年数だけでなく、物件の保有期間にも注意しましょう。

不動産を購入時よりも高く価格で売却できた場合、差額に対して譲渡所得税が課税されるのですが、不動産の所有期間によって以下のように税率が異なります。

 

保有期間

税率(所得税+住民税)

短期譲渡所得

5年以下

30.63%+9%

長期譲渡所得

5年超

15.315%+5%

引用元:東京主税局 |土地・ 建物等の譲渡に係る所得税( 国税)・ 住民税( 地方税)

ご覧のとおり、短期所有と長期所有では不動産売買時の譲渡所得税がおよそ2倍も異なるため、特別な事情がない限りは長期所有のタイミングで売却するのがおすすめです。

なお、譲渡所得を区分する際の保有期間は、売却した年の1月1日時点で当該不動産を何年所有していたかでカウントします。

例)2019年6月1日に物件を購入

  • 2024年8月1日に物件を売却:2024年1月1日時点では5年を超えていない短期譲渡所得となる

2.ローンの残債に注意

ワンルームマンション売却時には、ローンの残債を必ず確認しておきましょう。

投資用物件に限らず、不動産を手放す際にはローンを完済することが条件となっているため、売却時の選択肢は主に以下2つとなります。

  1. 住宅ローンを完済している物件を売却する

  2. 物件の売却時にローン残債を一括返済する

気を付けたいが後者のパターンで、ローン返済中に物件を売却する場合は、ローン残債と売却価格の差をチェックしておきましょう。

売却価格がローン残債を下回る場合は、完済に必要な差額を自己資金でまかなわなければならないため、要注意です。

3.ワンルームマンション売却時の費用に注意

ワンルームマンション売却時には、以下のような諸費用が発生します。

費用

概要

仲介手数料

仲介役の不動産会社に支払う手数料

印紙税

契約書作成時の印紙税

抵当権抹消費用

抵当権抹消登記にかかる費用

譲渡所得税

不動産売却時の利益に対して課される税金

物件によりけりですが、不動産売却時に発生する費用目安は物件価格の3%~10%であるため、事前に想定した上で売却を検討しましょう。

4.不動産会社選びに注意

ワンルームマンションの売却時にはパートナーとして不動産会社にサポートしてもらうのが一般的ですが、中には悪徳業者も存在するため注意です。

  • 自社で購入者が見つかるまで他社に物件を案内しない「囲い込み」

  • 不動産買取で高い手数料を要求

  • 無免許業者による不動産取引

上記は一例ですが、こうした悪質な不動産会社と契約してしまうと価格面で損するだけでなく、売却まで時間がかかってしまうケースに陥るリスクも高まります。

ワンルームマンション売却時には悪徳業者の存在を認識した上で、不動産会社選びを進めましょう。

5.仲介/買取の違いに注意

不動産の売却方法は、主に仲介と買取の2種類が存在し、以下のような点が異なります。

 

売却方法

メリット

デメリット

仲介

売主と買主の間に不動産会社が入る

・売主が価格を決められる

・希望する価格で売却できるとは限らない

・売却まで時間がかかることが多い

買取

不動産会社が直接買い取る

・買主を探す必要がないため、スピーディに売却できる

・市場価格より割安になる

どちらにもメリット・デメリットが存在するため、希望条件を踏まえて専門家に相談しながら検討するとよいでしょう。

6.売却前のリフォーム/リノベーションに注意

リフォーム/リノベーションした上でワンルームマンションを売却すれば、より高く売れると感じる人もいるでしょうが、実は落とし穴があります。

そもそも中古マンション購入者には、買った後に自分の好みにあわせてリフォーム/リノベーションしたいと考える層が多いため、事前に手を付けるのが逆効果となるリスクは高いと考えましょう。

自分たちでリフォームすることによって、かえって買い手の好みに合わなくなる場合や、リフォームの費用を売値に還元しきれない場合があるので注意してください。

ワンルームマンション売却時にかかる費用

ワンルームマンションの売却時には、諸費用や税金などを考慮して試算することが大切です。

具体的な費用を紹介しますので、参考にしてください。

売却に伴う諸費用

ワンルームマンション売却に伴う主な費用と、費用目安をまとめました。

税金関連については後ほど別に紹介します。

 

費用目安

仲介手数料

・取引物件価格400万円超:取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税

・取引物件価格200万円超~400万円以下: 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税

・取引物件価格200万円以下:取引物件価格(税抜)×5%+消費税

※宅地建物取引業法により定められた上限額

抵当権抹消費用

司法書士に依頼した場合、15,000円前後が目安※1

ローン一括返済手数料

住宅ローンを一括繰り上げ返済する際、金融機関に支払う手数料。金融機関によって手数料は異なるが、おおむね2万円~5万円が目安。

引っ越し費用

自宅用ワンルームマンションを売却する人は引っ越し費用が必要。

※1 参照元:日本司法書士連合会|報酬アンケート

売却後の税金

ワンルームマンション売却後には以下の税金が発生します。

 

概要

費用目安

印紙税

不動産の売買契約書に貼り付ける印紙代

契約書に記載されている取引価格によって200円~60万円の間で変動

譲渡所得税

不動産売却時に譲渡所得がプラスになった場合、金額に応じて所得税、住民税、復興特別所得税が課税される

・5年以下の短期譲渡所得:30.63%+9%(所得税+住民税)

・5年超の長期譲渡所得:15.315%+5%(所得税+住民税)

【投資用/自宅用】ワンルームマンション売却の流れ

ワンルームマンションを売却する際の一般的な流れを、7つのステップに分けて解説します。

ステップ1.事前の準備

まずは事前準備として、ローンの残債をチェックします。

基本的に残債がある場合、不動産売却時に得た資金で残債を一括返済してから引き渡しを行います。

一方、売却金額が残債額を下回る場合は自己資金から補填しなければいけません。

いずれの場合においてもまずは残債をしっかり確認した上で返済計画を立てておくことが大切です。

ステップ2.価格査定

対象の物件がいくらで売れるのかを調べるため、不動産会社に査定を依頼しましょう。

査定には以下2種類の方法があります。

  1. 訪問査定:担当者が現地を直接訪問/調査して査定

  2. 机上査定:物件に関するデータのみで査定

詳細な査定が可能なのは訪問査定であるため、本格的に売却を考えているタイミングでは訪問査定を利用しましょう。

不動産売却一括査定サイトなら、少ない手間で複数の会社から査定してもらうことが可能です。

ステップ3.媒介契約

査定してもらった不動産会社の中から、ワンルームマンション売却の仲介を依頼する会社と媒介契約を結びましょう。

媒介契約とは、不動産取引における売却活動の条件、報酬金額の取り決めなどを交わす契約書のことで、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類が存在しています。

各契約形態の違いを理解したうえで、自身に合うものを選びましょう。

ステップ4.売却活動

媒介契約締結後は、いよいよワンルームマンションの売却活動が始まります。

売主は主に、購入検討者が物件をチェックする内覧の準備、対応を行います。

ステップ5.売買契約

買主が見つかった場合、必要に応じて金額や引き渡し日などの交渉を行ったうえで、売買契約を結びます。

大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 不動産会社経由で購入申込書を受け取る

  2. 売買契約書の内容を確認

  3. 内容に問題がなければ署名/捺印を行う

ステップ6.決済/引渡し

売買契約完了後は、決済と引き渡しが行われます。

売主は売却成立後に以下のような費用を清算しましょう。

  • 固定資産税:売却した年の1月1日時点での所有者に支払い義務があるものの、慣習では引き渡し日より後の支払い分を日割り計算して買主に請求する。基本的には仲介役の不動産会社がサポートしてくれる。

  • 管理費/修繕積立金:年間で一括納入している場合、退去日以降の金額を返金してもらう。

  • ローン残債:ワンルームマンションの売却金額でローン残債を返済する。

また、上記の清算と並行して、物件の所有者が変わったことを照明する抵当権抹消登記、所有権移転登記を実施しましょう。

その後の引き渡しについては投資用と自宅用で手続きが異なる部分があるため、順番に紹介します。

【投資用物件の場合】賃貸人の地位承継通知

賃貸人の地位承継通知とは、わかりやすくいえばワンルームマンションの入居者に対してオーナーが変わったことを知らせる通知です。

具体的には以下のような内容を通知します。

  • オーナーが変更すること

  • オーナーが変更しても以前と同じく賃貸として借りられること

  • 管理会社が変更される場合は詳細と変更日

詳しい手続きについては基本的に仲介役の不動産会社がサポートしてくれるため、案内された内容に従って手続きを進めましょう。

【自宅用物件の場合】退去

ワンルームマンションを自宅として使っていた場合は、売買契約完了後に買主へ物件のカギを渡します。

もちろん並行して自身の引っ越しも済ませておく必要があるため、準備しておきましょう。

ステップ7.確定申告

ワンルームマンション売却後は翌年に確定申告を行います。

プラスの場合は利益の申告、マイナスの場合でも税額控除の申請を行うため、確定申告は忘れないようにしましょう。

築年数別のワンルームマンション売却相場

不動産の取引価格、地価公示などの価格情報をまとめた国土交通省のWebサイト「不動産情報ライブラリ」をもとに、2024年最新の東京都における不動産の取引価格、地価公示ワンルームマンション価格相場をまとめました。

築年数

価格相場

5年以内

4,892万円

6~10年

4,888万円

11~15年

3,710万円

16~20年

3,645万円

21~30年

2,762万円

31~40年

1,165万円

40年超

1,946万円

参照:不動産情報ライブラリ|不動産価格(取引価格・成約価格)情報

ワンルームマンションは築年数の経過に伴い、価格が下落しますが、直近の売却相場を見てみると以下のような傾向がわかります。

  • 築10年、築20年、築30年が価格変動の大きなライン

  • 築30年を過ぎると、急激に価格相場が下落する

  • 築5年以内と築30年超では価格に3倍以上の開きがある

もちろんこのデータはあくまで平均であるため、参考程度に考える必要はありますが、ワンルームマンションはなるべく早く売却した方が価格低下を抑えやすいといえるでしょう。

ワンルームマンションを高く売却するコツ

ワンルームマンションの価格は販売時期や販売戦略によって変動するため、より高く売却するには専門的な知識が求められます。

ここでは、ワンルームマンションを高く売却する2つのコツを紹介しますので、参考にしてください。

複数の不動産会社(業者)に査定依頼を出す

同じ物件であっても、不動産会社によって査定額は異なるため、ワンルームマンション売却時には複数の不動産会社に査定を出すのがおすすめです。

不動産一括査定サイトなら、一度の手続きで複数の会社に査定してもらえるため、うまく活用するとよいでしょう。

ただし、査定額で必ず売却できるとは限らないため、査定額だけでなく不動産会社の得意分野、実績、口コミなどを参考にして自分のニーズに合う会社を探しましょう。

信頼できる不動産会社を見つける

信頼できる不動産会社との出会いは、ワンルームマンション売却の成功に欠かせません。

以下によい不動産会社の特徴をまとめますので、チェックしてみましょう。

  • 査定額に根拠がある

  • 査定額に他社と大きな差がない

  • マンション売却の実績が豊富

  • 電話対応が丁寧、親切

  • 過度な広告、宣伝をしていない

  • 担当者の話が分かりやすく、レスポンスが早い

こうした特徴を見抜くにはやはり複数の不動産会社を比較するのが効果的であるため、まずは一括査定サイトの利用を検討しましょう。

まとめ

ワンルームマンションは売却のタイミングによって価格や売却スピードが変わるだけでなく、失敗しないためには正しい知識にもとづいた対応が必要です。

失敗のリスクを抑えるにはやはり信頼できる不動産会社との出会いが欠かせません。

一括査定サイトなどの効率的なサービスもうまく活用しながら、自分に合った不動産会社を探してみましょう。