マンション売却を検討している人には「少しでも高く売るためにはリフォームが必要なの?」「築年数が古いからリフォームをして売り出したほうがいいの?」という疑問を持っている人もいるでしょう。

マンション売却では、買い手への印象を良くすることが重要であり、リフォームはその手段の1つです。ただし、マンション売却にはリフォームをすべきでないケースも多いため、そのこと十分にを理解する必要があります。

この記事では、マンションの売却時にリフォームが必要なのかについて解説します。また、リフォーム以外で高く売却する方法も紹介しているので、売却前のリフォームに悩んでいる人や、売却活動中でなかなか成約まで至らない人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

マンション売却でリフォームは基本的に不要

マンションを売却する際、基本的にリフォームは不要のケースが多いです。売却前にリフォームを行うと、募集時の写真写りが良くなったり、内覧時にイメージがアップしたりする効果はありますが、それ以上に費用と手間がかかる可能性が高いでしょう。

また、リフォームが買い手の好みに合わないケースもあり、工事が無駄に終わってしまうことが多いのも理由の1つです。このように、リフォームの優先度は高くないため、無理にリフォームをしようとせず、まずは物件の状況を冷静に見極めることが重要です。

マンション売却においてリフォームが不要な理由

マンション売却時にリフォームが不要な理由は、次の4つが挙げられます。

  • リフォーム費用を物件価格に上乗せできないことが多いから

  • 買い手の好みに合わない可能性があるから

  • 築年数を気にして物件を探しているケースが多いから

  • 競合物件と比較する必要があるから

ここで、それぞれの理由をしっかりと理解するようにしましょう。

リフォーム費用を物件価格に上乗せできないことが多い

リフォームが不要な1つ目の理由として、リフォーム費用を上乗せした価格での売却の難しさが挙げられます。売出価格は周辺相場や成約事例を参考に設定されますが、成約価格はあくまで買い手との同意で決められるため、必ずしもリフォーム代を上乗せした価格で売れるわけではないからです。

たとえば、相場では3,000万円で売却できるマンションを、300万円かけてリフォームしたとしましょう。この場合、3,300万円で売却したいところですが、必ずしもその金額で売却できる保証はありません。確かに、同じマンションのリフォームしていない部屋よりは売却に有利に働きますが、数百万円も高く売れることは多くありません。

リフォーム費用を絶対に取り戻せないということではありませんが、上乗せできるケースは少ないため、損をするリスクを冒してまで無理にリフォームを行う必要はないと言えるでしょう。

買い手の好みに合わない可能性がある

リフォーム内容が買い手の好みに合わない可能性があることも、リフォームが不要だと言われる理由です。近年は、リフォーム内容や好みが多様化しており、買い手の理想に合わないリフォームを行うと、逆に売れなくなってしまいます。

マンションの購入希望者の中には「自分好みのこだわったリフォームがしたい」と考える人が多くいます。ただ室内をきれいにするだけではなく、自分の理想の部屋にしたいのです。仮に、買い手の理想に近づけるためにグレードの高い商品でリフォームを行ったとしても、リフォーム費用を物件価格に上乗せできない可能性があるため、結果的に損をしてしまうおそれがあります。

買い手にとっては、売主に好みの合わないリフォームをされるより、リフォーム前の状態で売りに出してもらったほうがありがたく感じるため、無理をしてリフォームを行う必要性は低いと考えられます。

築年数を気にして物件を探しているケースが多い

マンションの購入を検討する人は、リフォーム状況ではなく築年数を気にするケースが多いことも理由の1つです。リフォームをしても築年数は変わらないため、売却活動に影響が出ないケースが多いのです。

築浅マンションを検討する人は「設備が新しい」「新築マンションに比べて価格が安い」などの理由でマンションを探します。一方、築古マンションを探す人は「中古マンションの中でも価格が安い」「自分好みにリフォームができる」などの理由でマンションを検討しています。

これらの基準でマンションの購入を検討する人にとって、リフォームを行っているかどうかは大きな問題ではありません。高額な費用をかけてリフォームを行ったとしても、決定的な購入理由となる可能性は低いでしょう。

競合物件と比較する必要がある

マンション売却の成功率や成約価格は、競合物件による影響で大きく左右されます。そのため、リフォームの有無は、競合物件の状況を見極める必要があります。

たとえば、同じマンションで似たような条件の物件が売り出されている場合、あなたが売り出す室内の状況や物件価格が他と見劣らないのであれば、リフォームは必要ないでしょう。しかし、価格が同じにもかかわらず室内の状況が劣っている場合、値下げやリフォームの検討が必要です。

このように、リフォームを前提にマンション売却を考えるのではなく、競合物件の状況や価格を比較しながら検討することが重要です。

マンション売却でリフォームが有効な4つのケース

マンション売却では、基本的にリフォームは不要だと説明しましたが、ケースによってはリフォームをしたほうが売却に有利に働くことがあります。

  • こだわる人が少ない部分を安くリフォームできる

  • 内覧数が多いのにもかかわらず成約にいたらない

  • 水まわりなどの設備に過度な劣化が出ている

  • 競合物件と比べて見劣りしている

ここからは、マンション売却にリフォームが有効なケースを詳しく解説します。

こだわる人が少ない部分を安くリフォームできる

マンション売却に有効なリフォームは、少しの費用で物件全体のイメージがアップするリフォームです。費用をかけすぎると物件価格への転嫁が難しいですが、少ない費用であればリスクを最小限に抑えられます。

少ない費用で物件のイメージがアップするリフォームには、主に以下が挙げられます。

  • 壁紙の張替え

  • 畳の新調

  • スイッチプレートの交換

  • フローリングの傷補修

上記の箇所はこだわりの強い人が少ないうえ、費用をかけずに物件イメージをアップさせることができます。費用に余裕があり、好条件で売却するための対策を行いたい人は、試してみる価値があるでしょう。

内覧数が多いのにもかかわらず成約にいたらない

マンションの販売活動において、内覧数が多いもののなかなか成約に至らない場合は、リフォームを検討してみましょう。内覧数が多いにもかかわらず成約につながらないケースでは、室内の状況に問題があることが考えられます。

たとえば、3,000万円で売り出しているマンションがなかなか売れない場合の対策方法を考えてみましょう。

  1. 3,000万円→2,900万円に値下げする

  2. 50万円で壁紙の張替えや畳の新調を行い3,000万円のままで販売を続ける

売出価格が周辺相場と合っておらず、内覧が少ない場合は1を選ぶほうが良いですが、内覧数が多い場合は2を選択して、室内のイメージをアップさせるほうが効果的です。手取り金額も2のほうが増えるため、リスクを最小限に抑えた対策と言えます。

このように、ただ値下げを行うよりもリフォームをしたほうが良いケースもあるので、状況を見極めて対策を練ってみましょう。

水まわりなどの設備に過度な劣化が出ている

キッチンや浴室、トイレなどの水回りが築年数以上に劣化しているケースでも、リフォームを検討することをおすすめします。水回りは買い手にとって目を引く部分であるため、リフォームすることで清潔感が増すのです。

ただし、水回りをフルリフォームすると高額な費用がかかってしまうため、一部だけ取り替えるなどできるだけ費用を抑えることが重要です。費用を抑えるためには、以下の工夫を行ってみましょう。

  • 「水回り4点セット」などを利用してまとめてリフォームする

  • 設備のメーカーにこだわらない

  • 浴室全体ではなくタイルの張り替えだけなど、一部のリフォームを検討する

  • 設備を自ら購入し、工事業者に施工だけを依頼する

ただし、リフォームを行うと不動産広告と現状に違いが出たり、工事中は内覧ができなかったりするため、リフォームを検討する場合は、かならず不動産会社へ相談するようにしましょう。

競合物件と比べて見劣りしている

条件の近い競合物件と比較して明らかに見劣りしている場合、リフォームを行うことで差別化を図れるケースがあります。マンション購入を検討している人は、希望条件に近い複数の物件をかならず比較するため、競合物件に競り勝たなければいけないのです。

注意点としては、リフォームよりも値下げのほうが喜ばれるケースがあることです。「AよりBのほうが安いから購入したい」と考える人も一定数いるため、値下げかリフォームかは慎重に検討する必要があります。地域や販売状況によって、どちらが良いのかは異なるため、競合物件との差別化を図りたい場合は、不動産会社へかならず相談しましょう。

マンション売却でリフォームなしでも高く売却するコツ4選

マンションをリフォームなしで高く売却するコツは次の4点です。

  • なるべく自分で補修や清掃することを心がける

  • ハウスクリーニングを依頼する

  • ホームステージングを検討する

  • ホームインスペクションを行う

それぞれのコツについて詳しく解説します。

なるべく自分で補修や清掃することを心がける

気になる部分の補修や室内の清掃を自分で行えば、リフォームなしでも高く売却できるかもしれません。リフォームに比べれば、自分で行う補修はコストがかからないため、リスクを抑えて売却を行えるのです。

たとえば、フローリングに目立つ傷がある場合、部屋全体のフローリングを張り替えると数十万円のコストがかかりますが、ホームセンターなどでリペアキットを購入し自分で補修すれば、数百円で傷が目立たなくなります。また、浴室の汚れやカビが目立ち、内覧時のイメージが悪い場合は、清掃を行うことで印象が良くなるでしょう。

近年では、補修効果の高いリペアキットや性能の良い洗剤が多く販売されているため、できる限り自分の力で室内のイメージアップができるよう励んでみましょう。

ハウスクリーニングを依頼する

リフォームを行うまではないが、自らの清掃に限界を感じた場合は、ハウスクリーニングの依頼を検討してみましょう。ハウスクリーニングを依頼すれば、手が届かないところや素人では落とせない汚れを落としてくれるため、買い手への印象が良くなります。

マンションの場合、室内全体のハウスクリーニングの相場は一般的に以下のとおりです。

  • 2LDK:5〜9万円

  • 3LDK:6〜10万円

  • 4LDK:7〜12万円

また、コストが気になる場合は、水回りのクリーニングもおすすめです。費用は水回り1か所あたり2〜3万円程度で済むので、気軽に申し込むことができます。ハウスクリーニングを行うことで清潔感が増すため、少しでも買い手へのイメージアップを図りたい人は利用を検討してみましょう。

ホームステージングを検討する

リフォームをせずに高く売却する3つ目のコツは、ホームステージングで室内の印象を良くする方法です。ホームステージングとは、販売中の物件に家具や小物、照明や観葉植物を配置し、モデルルームのように演出するサービスです。

ホームステージングを行うことで、生活のイメージが湧きやすくなる、広告の写真映えが良くなり内覧数が増加する、などの効果が得られます。また、部屋の特徴を活かしたホームステージングで、家具の配置を買い手に提案することも可能です。

ホームステージングを依頼するためには、売却を依頼している不動産会社へ相談するか、専門業者へ問い合わせてみると良いでしょう。中には、ホームステージングと合わせて荷物の撤去や写真撮影を行ってくれる業者もあります。

ホームインスペクションを行う

ホームインスペクションを行えば、リフォームをせずとも高値で売却できる可能性があります。ホームインスペクションとは、建築士などの資格を持つ調査員が建物の安全性や劣化状況を調査することです。

ホームインスペクションを行うことにより劣化している部分がわかるため、買い手からすると事前にリフォームするべき箇所が把握できる点がメリットです。また、売却前にホームインスペクションを行い、事前に調査結果を知らせておけば、引き渡し後に買い手から不具合についてのクレームが来るリスクを減らせます。

マンションの場合、ホームインスペクションにかかる費用は一般的に5〜8万円程度です。築年数が古く、マンションの劣化具合が気になる人は、リフォームよりもホームインスペクションを検討してみましょう。

まとめ

この記事では、マンションの売却時にリフォームは必要なのかというテーマで解説しました。基本的に売却時にリフォームをする優先度は低く、他の対策を講じることで費用をかけるリスクが抑えられます。リフォームが不要な理由として、リフォーム代を価格に上乗せできないことや、リフォーム内容が買い手の好みに合わなければ逆効果になってしまう点が挙げられます。ただし、競合物件と比較して明らかに見劣りしているケースや、内覧数が多いにもかかわらず成約まで至らないケースではリフォームの検討が必要です。

マンション売却では、必ずしもリフォームが必要だということはありません。リフォームを検討するよりも、売出価格が周辺相場と合っているか、不動産会社の選定は適切なのかに気を配ることが重要です。