マンション売却を検討している人の中には「2LDKのマンションは売れない」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。実際、2LDKのマンション購入者の層は限られており、適切な対策を講じなければ売却がスムーズに進まない可能性があります。
この記事では、2LDKのマンションが売れないと言われている理由や、狙いを絞るべきターゲット層について解説します。また、売却時に気をつけるべきポイントも紹介しているので、この記事を参考に、2LDKのマンションが高値で売れる売却活動を目指しましょう。
この記事の目次
2LDKのマンションが売れない3つの理由
2LDKのマンションが売れない理由には、主に次の3つの理由が考えられます。
-
子供部屋の数が足りなくなることがある
-
単身者用としては広すぎる
-
人気が高い間取りは3LDKである
それぞれの理由について詳しく解説します。
子供部屋の数が足りなくなることがある
2LDKのマンションは、家族が増えると子供部屋の数が足りなくなることがあります。そのため、2LDKのマンションは子どもがたくさん欲しいと考えている人には不向きな間取りです。
たとえば、夫婦と子ども2人の4人家族の場合、子どもそれぞれに部屋を分け与えるためには3LDK以上の間取りが適しています。国立社会保障・人口問題研究所の「2021年社会保障・人口問題基本調査」によると、子どもの数の割合は、0〜1人が27.4%に対し、2〜4人以上は72.6%だと発表されています。
画像引用:国立社会保障・人口問題研究所「2021年社会保障・人口問題基本調査」
将来的に2人以上の子どもを望む場合、2LDKの間取りが候補から外されるケースが多いことから、2LDKのマンションは売れないと言われるのです。
単身者用としては広すぎる
2LDKのマンションが売れないと言われる2つ目の理由は、2LDKは単身者には広すぎるため、コストに見合った活用ができないことです。単身者には1LDKの間取りが人気で、2LDKに比べると価格が安いため選ばれやすい傾向にあります。
2LDKの間取りは4人以上の家族には手狭に感じられる一方、単身用としては広すぎる間取りとされています。単身者でも荷物が多かったり、趣味の部屋が欲しかったりする人は2LDK以上の間取りが好まれますが、一般的にその割合は多くないため、単身者は1K〜1LDKの間取りを選ぶことが多いのです。
人気が高い間取りは3LDKである
マンションの中で最も人気が高い間取りが3LDKのため、2LDKの優先順位が低くなってしまっていることが、売れにくいと言われる3つ目の理由です。子どもが2人以上の家族に適している点や、家族の数が少なくても趣味の部屋やゲストルームを作れるなどの多様な使い方ができる点が3LDKの人気の理由です。
東日本不動産流通機構の「中古マンションの間取り別成約件数[首都圏]」によると、2022年における中古マンションの3DK・3LDKの成約割合は44.6%、2DK・2LDKは27.6%という結果でした。上記の成約割合からもわかるように、売却しやすい間取りが3LDKだと点も、人気が高い理由の1つです。
このように、2LDKより3LDKの人気が高いことが、2LDKを売りにくくしている理由だと言えます。
2LDKのマンションのターゲットはどの層なのか
2LDKの間取りは、3LDKと比較して購入者層が限られるということがわかりました。ここからは、2LDKのマンションで狙いを絞るべきターゲットを紹介します。
DINKs(子供のいない共働き夫婦)世帯
2LDKのターゲットの1つとして「DINKs世帯」が挙げられます。DINKsは「Double Income No Kids」の頭文字を取った言葉で、DINKs世帯は子供のいない共働き夫婦を意味します。
DINKs世帯は2人だけの生活のため、2LDKの間取りを活用して寝室以外の部屋を趣味の部屋やオフィスにしたり、夫婦それぞれの寝室として利用したりします。このように、2LDKはDINKs世帯にとって魅力度の高い間取りなのです。
近年では、DINKs世帯の認知が日本でも広まってきており、その数も増えつつあります。2LDKのターゲットを、それほど広い部屋を必要としないDINKs世帯に絞ってみましょう。
高齢夫婦世帯
2LDKマンションのターゲットとして、高齢夫婦世帯も候補に挙げられます。多くの高齢夫婦世帯にとって、2LDKはちょうど良い広さの間取りです。
たとえば、子どもが独立して今の住まいの部屋を持て余している高齢夫婦世帯に、2LDKが適しています。とくにマンションは、戸建てと比較して立地が良い場所に建てられていることがほとんどのため、生活のしやすさから2LDKのマンションを選ぶことが多いとされています。
このように、2LDKのマンションを、老後の住まいとして検討する高齢夫婦世帯は少なくありません。高齢夫婦世帯に向けた広告戦略で、2LDKのマンションを売却する方法も検討しましょう。
2LDKでも売れるマンションの特徴5選
2LDKの間取りでも売れやすいマンションの特徴は、以下のとおりです。
-
最寄駅へのアクセスがよく利便性が高い
-
高い付加価値が備わっている
-
ゆとりのある広さがある
-
管理体制が整っている
-
機能的な設備が備わっている
それぞれの特徴を詳しく解説します。
最寄駅へのアクセスがよく利便性が高い
2LDKの間取りでも、最寄駅が近く利便性が高いマンションは売れやすい傾向にあります。立地を最も重視している人にとって、立地の良いマンションは2LDKであっても魅力的だと考えるからです。
立地に優れているポイントとして、次の要素が挙げられます。
-
コンビニやスーパーなどの商業施設が近い
-
病院や公園などの公共施設が充実している
-
幼稚園や学校が近くにある
また、一般的に3LDKより2LDKのほうが価格が安く設定されており、立地の良いマンションの3LDKは手が届かない人もいるでしょう。そのような層に2LDKをアプローチすることも有効な手段だと考えられます。
高い付加価値が備わっている
売れやすい2LDKマンションの2つ目の特徴として、高い付加価値が備わっていることが挙げられます。狭い間取りだとしても、それ以上にマンションの付加価値に魅力を感じる人がいるのです。
付加価値が高いマンションとして、以下のポイントが考えられます。
-
ペットの飼育が可能で設備が充実している
-
キッズルームやパーティールームが用意されている
-
プールやフィットネスジムなどの設備がある
-
駅や商業施設が直結している
-
コンシェルジュサービスが付帯されている
上記のように、他のマンションにはない高い付加価値や希少性がある2LDKマンションは、高値で売却できる可能性があるでしょう。
ゆとりのある広さがある
ゆとりを持った広さの2LDKマンションも、売れやすい特徴の1つです。部屋の面積が広いと、2LDKでも手狭感は感じにくくなるため、購入意欲が増すポイントとなります。
一般的な2LDKの広さは50〜60㎡ほどですが、60㎡以上の面積がある部屋であれば、家族が多くてもアピールできる可能性が広がるでしょう。たとえば、広い子供部屋を用意できるのであれば、リフォーム次第で子どもが2人で使えます。また、リビングが20帖以上あれば、一部を仕切って書斎として利用することも考えられます。
間取りだけに固執するのではなく、広さに余裕があれば、工夫次第で住みやすくなるという点をしっかりとアピールしましょう。
管理体制が整っている
2LDKでも売れるマンションの特徴として、管理体制が整っているという点が挙げられます。管理体制が整っているマンションは入居者は安心して暮らせるため、人気が高い傾向にあります。
管理体制が整っている具体例として、以下が考えられます。
-
共用部分の清掃が行き届いている
-
管理人が常駐している
-
オートロック・監視カメラが設置されている
-
駐輪場や駐車場が整理整頓されている
-
植栽の手入れが適切に行われている
マンションの購入を検討している人の中には、間取りよりも安心して暮らせるかどうかを重要視する人がいます。そのような人にマンションの管理体制をアピールすれば、2LDKの間取りでも高く売却することができるでしょう。
機能的な設備が備わっている
機能的な設備が整っていて快適性が高いマンションは、2LDKでも高値で売れやすいでしょう。機能的な設備として、主に以下が挙げられます。
-
家電にインターネットが接続されていて利便性の高いスマートホーム
-
太陽光発電システムが搭載されているZEH(ゼッチ)マンション
-
最新のサッシが備えられていて断熱性に優れているマンション
これらの機能が備えられたマンションはとくに若い世代に人気が高く、高値で売却できる可能性が高い傾向にあります。
2LDKのマンションが売れない場合に意識するポイント
2LDKのマンションが売れない場合は、次の3つのポイントを意識しましょう。
-
内覧の準備や対応を徹底する
-
複数社を比較し信頼できる不動産会社を選ぶ
-
不動産買取を検討する
2LDKマンションでもスムーズな売却を実現できるよう、ここで紹介するポイントをしっかり理解しておくことが重要です。
内覧の準備や対応を徹底する
2LDKのマンションが売れない場合、内覧時の対応や準備に問題がないのかを、改めて振り返ってみましょう。内覧時の印象は買い手にとって重要なポイントのため、内覧の準備を徹底することで売却が成功する可能性が高まります。
内覧の準備を徹底するポイントとして、以下が挙げられます。
-
室内の清掃を行い整理整頓を心がける
-
換気を行いニオイ対策を行う
-
ペットがいる場合は事前に他の人に預けておく
-
水回りを清潔に保つ
上記の対策を徹底しても成約に至らない場合は、ハウスクリーニングやリフォームを検討すると良いでしょう。買い手への印象を良くするためにも、できる限りの対策を試してみましょう。
複数社を比較し信頼できる不動産会社を選ぶ
長期間販売活動をしているにもかかわらず、成約までたどり着かないのは、不動産会社の広告や販売戦略に問題があるからかもしれません。マンション売却に強い不動産会社を見つけるためにも、複数社を比較して最適な不動産会社を選ぶ必要があります。
複数社を比較検討するには、不動産一括査定がおすすめです。不動産一括査定とは、所定のフォームから1度申し込むだけで、複数の不動産会社に査定を依頼できるサービスです。不動産会社には得意・不得意分野があるため、不動産一括査定を利用して多くの不動産会社を比較すれば、2LDKマンションの売却に強い会社が見つかるでしょう。
また、担当者の対応によって売却スピードが変わることもあります。担当者の対応スピードは早いか、言葉遣いは荒くないか、仕事は丁寧かなどをチェックして、安心して売却を任せられる担当者を選びましょう。
不動産買取を検討する
住み替えの関係で、2LDKマンションの売却期限が迫っている場合、不動産会社による買取も検討してみましょう。買取とは、不動産会社にマンションなどの不動産を直接買い取ってもらう方法です。
買取のメリットは、不動産会社が提示する金額に同意すると早ければ数週間ほどで現金化できることや、仲介手数料がかからない点です。一方、買取価格は周辺相場の6〜7割程度になってしまうため、手取り額が減ってしまうことがデメリットです。
2LDKのように購入者層が限られている間取りの場合、売却に困ることもあるでしょう。その際は、選択肢の1つとして不動産会社による買取も視野に入れることをおすすめします。
まとめ
この記事では、2LDKのマンションが売れにくい理由や、売却するために意識するポイントなどを解説しました。2LDKマンションが売れにくい理由として、ファミリー物件としては手狭になりやすい反面、単身者用としては広すぎる点が挙げられます。そのため、高齢者夫婦世帯や子供のいない共働き夫婦世帯にターゲットを絞って売却をすると良いでしょう。
「2LDKのマンションは売れにくい」という言葉が先走り、売却に不安を抱えてる人が多くいますが、マンション売却に強い不動産会社を選定し、適切な販売戦略を立てれば、高値で売却できる可能性は十分にあります。この記事を参考に、2LDKマンションの高値での売却に挑戦してみましょう。