不動産の査定を検討している人の中には「将来のために家の価格だけ知りたい」「家を売るかどうかは査定価格を聞いてから決めたい」と考えている人が多いでしょう。今すぐの売却を考えていない場合、不動産の査定だけを依頼することはできるのでしょうか。

この記事では、不動産会社に査定だけ依頼する方法や、注意点などを解説します。売却価格の目安だけを知りたい人や、査定に費用がかかるのかという疑問を抱えている人は、本記事の内容を参考にしてみてください。

不動産は査定だけ依頼できる

不動産の査定とは、物件を売り出す前に、不動産会社に売却価格を算出してもらうサービスのことです。ここでは、不動産会社に査定だけを申し込むことについて解説します。

売却せずに査定だけでも問題ない

結論、不動産価格を知るために査定だけを依頼することは可能です。実際に、次のような理由で査定のみの依頼で終わることがあります。

  • 査定価格が思ったより低かった

  • 複数の不動産会社を比較した結果、断った

  • 売却ができない状況になった

  • 買い替え先が見つからなかった

このような理由から、結果的に査定だけ依頼する形になることもあるため、かならずしも査定後に売却活動まで行う必要はありません。

査定だけでも費用はかからない

不動産査定の結果、売却しないことが確定しても、原則費用が発生することはありません。査定は営業活動の一環のため、やむなく査定だけで終わった場合でも費用を請求されることはないのです。

ただし、無料で査定を受けられるからといって、売却する気がまったくないにもかかわらず査定を受けることはおすすめしません。査定を受ける側にも、訪問査定のための日程調整や連絡を取る手間がかかる他、査定を受けた後は不動産会社から営業をかけられることもあるからです。

このように、査定は不動産売却につながるステップの1つで、査定だけの依頼でも問題ありませんが、依頼する側にも手間がかかることを理解しておきましょう。

不動産の査定だけを受ける3つの方法

不動産査定の方法には、大きく分けて3つの種類があります。

  • 机上査定

  • 訪問査定

  • AI査定

ここでは、各査定方法の特徴について解説します。

訪問なしで査定を受けたい場合は机上査定

不動産会社による訪問を避けたい場合や、すぐに査定結果を知りたい場合は「机上査定」を利用しましょう。机上査定とは、不動産会社の担当者が現地に訪れることなく不動産価格を算出する方法で、周辺相場などのデータをもとに査定を行います。

机上査定のメリットとして、1〜3日という短期間で査定結果を提示してもらえる点や、担当者の訪問がないため受け入れる準備をしなくても良い点が挙げられます。一方、机上査定は現場を確認せずに不動産価格を算出するため、不動産会社によって査定の精度にばらつきがある点に注意が必要です。また、担当者の訪問はなくとも電話やメールのやり取りは発生するため、それなりの手間がかかることも理解しておきましょう。

精度の高い査定は訪問査定

現場を確認してもらい、できるだけ正確に査定を行ってもらいたい場合は「訪問査定」を選びましょう。訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に物件を訪問・調査を行い、不動産価格を算出する方法です。詳細な部分まで調査するため、査定結果が出るまで5〜10日程度の期間がかかります。

訪問査定のメリットは、周辺相場などのデータに加えて現地の状況も確認するため、精度の高い査定結果が得られることです。しかし、訪問査定は担当者を家に招く必要があり、日程調整や受け入れの準備に手間がかかるというデメリットがあります。

訪問査定は、できるだけ精度の高い査定を受けたい人や、直接担当者に相談したいことがある人に向いている査定方法です。

匿名で査定を受けたいならAI査定

個人情報を提供したくない場合や、担当者と連絡を取りたくない場合は「AI査定」の利用がおすすめです。AI査定とは、過去の成約事例を参考にして、人工知能(AI)が不動産価格を算出する方法です。AI査定には、蓄積されたデータから不動産価格を導くため、即時に査定結果がわかるという特徴があります。

AI査定のメリットは、査定を依頼する不動産の基本情報をパソコンで入力するだけで査定結果がわかる点です。机上査定や訪問査定のように担当者と連絡を取る必要はないため、不動産会社から営業をかけられる心配はありません。

ただし、AI査定は過去の成約事例が少ないエリアには適しておらず、蓄積されたデータが少ない地域では精度が下がってしまうため、依頼するサイトによっては査定額が大幅に変わる可能性があります。AI査定は、机上査定や訪問査定と比べると手軽に査定を受けられるため、おおまかな不動産価格だけでも知りたい方に向いている査定方法と言えます。

不動産査定だけ依頼する際の注意点

不動産会社に査定だけを依頼する際の注意点として、次の4つが挙げられます。

  • 不動産会社に「査定だけ」という意思を見せすぎない

  • 不動産売却の際は改めて査定が必要となる

  • 査定価格と成約価格は異なる場合がある

  • 売却するように営業される可能性がある

ここで紹介するポイントに注意して、査定を依頼しましょう。

不動産会社に「査定だけ」という意思を見せすぎない

1つ目の注意点として、不動産会社へ査定を依頼する際に、いきなり「査定だけ」という意思を見せすぎないようにすることが挙げられます。

不動産会社は査定で不動産価格を算出し、それをもとに不動産が売れることで初めて対価を得られます。そのため、最初から「査定だけ」という意思を見せてしまうと、不動産会社からすればボランティアで査定を行うことになるので、査定を断られる可能性があるでしょう。

不動産会社に査定を行ってもらうためにも、初めから査定だけだと決めつけず、査定結果によって今後の動きを考えるという意識を持つことが重要です。

不動産売却の際は改めて査定が必要となる

査定によって現在の不動産価格がわかったとしても、将来的に売却する際には、改めて査定を受け直す必要があります。不動産価格は、築件数の経過や市場の変動により年々変化するため、実際に売却するタイミングで査定を受けなければいけないのです。

たとえば、5年前に一度査定を受けた一戸建てをこれから売却する場合、築年数の経過により価格が下がっているおそれがある一方、新駅の設置や再開発の影響で価格が上昇している可能性もあります。そのため、改めて査定を依頼して現時点での価格を算出する必要があるでしょう。

このように、査定は売却を行うタイミングで依頼しなければいけないため、査定だけを行う場合は、将来的に二度手間になる可能性が高いことを理解しておきましょう。

査定価格と成約価格は異なる場合がある

査定だけを依頼する際の3つ目の注意点は、「査定価格=成約価格」ではないことです。この点を理解しておけば、「実際に売れた金額が思ったより安かった」という事態を避けられるでしょう。

査定価格は、プロの目により周辺相場や現地の状況などを参考に算出された金額ですが、そのままの金額で売れる保証はどこにもありません。成約価格はあくまで「買主と売主が合意した金額」であり、募集期間中の価格変更や値下げ交渉などにより変動するケースが多いのです。

そのため、査定で思ったより高い金額が提示されたからといって、それを鵜呑みにしないようにしましょう。

売却するよう営業される可能性がある

不動産会社に査定を依頼すると、その後に不動産会社から売却の営業を受ける可能性があります。先述の通り、不動産会社は査定だけではなく、売買契約が成約して初めて報酬を受け取れるためです。

不動産会社からの営業には、電話やメール、自宅への訪問などが考えられます。もし査定の結果、売却をしないことが確定した場合は、しつこい営業を避けるためにも早めに報告するようにしましょう。

不動産売却を視野に入れるのであれば不動産一括査定がおすすめ

不動産を査定だけではなく、売却まで検討するのであれば不動産一括査定がおすすめです。不動産一括査定の特徴や、おすすめの理由を解説します。

不動産一括査定とは

不動産一括査定とは、所定のフォームから1度申込むだけで、複数の不動産会社に査定依頼を行えるサービスです。不動産一括査定は、無料で利用できることや、不動産会社へ個別に連絡する手間が省ける点が大きな特徴です。

また、不動産一括査定を利用したからといって、かならず売却まで進まなければならないというわけではありません。査定結果や不動産会社の対応などを考慮して、売却を検討することができます。できるだけ多くの不動産会社から話を聞きたい人におすすめのサービスです。

不動産一括査定の特徴

不動産一括査定には次のような特徴があります。

  • 複数の査定結果を簡単に比較でき、高値で売却できる可能性が高くなる

  • 査定依頼にかかる手間と時間を削減できる

  • 担当者の対応を比較できる

それぞれの特徴を詳しく解説します。

複数の査定結果を簡単に比較でき、高値で売却できる可能性が高くなる

不動産一括査定査定を利用することで、複数の不動産会社から査定結果が得られるため、高値で売却できる可能性が高まります。1社だけの査定を鵜呑みにしてしまうと視野が狭くなってしまうおそれがあり、本来売れたであろう金額に届かないケースがあるのです。

一例として、以下のケースが考えられます。

  • 1社だけに不動産の査定を依頼した場合

A社:3,000万円

  • 不動産一括査定を利用した場合

A社:3,000万円

B社:2,500万円

C社:2,200万円

D社:3,500万円

この場合、A社だけに査定依頼を行うと3,000万円以上で売れる可能性はないと考えてしまいますが、不動産一括査定を利用すれば、それ以上の金額で売却できる可能性があることを知れます。上記では、D社に依頼すれば3,000万円以上で売却できるかもしれません。ただし、「査定価格=成約価格」ではないため、高い査定結果が出た場合は、その根拠をしっかりと聞き出す必要があるでしょう。

このように、1社だけの査定と比較して、高値で売却できる可能性が高い点が、不動産一括査定の特徴です。

査定依頼にかかる手間と時間を削減できる

不動産一括査定の特徴2つ目は、一度に複数の不動産会社にコンタクトが取れるので、査定依頼にかかる手間や時間を削減できることです。不動産一括査定を利用せずに、1社ずつ調べて連絡を取ると膨大な時間と手間がかかるでしょう。

不動産一括査定はインターネット上から査定依頼を行うため、24時間いつでも申し込むことができます。また、不動産の内容や個人情報、連絡の希望時間などを1度入力するだけで、同じ内容が複数の不動産会社に送信されるので、同じ説明を何度もする必要がありません。

仕事や家事などでなかなか時間が取れない人には、売却活動を効率化できる不動産一括査定がおすすめです。

担当者の対応を比較できる

不動産一括査定を利用することで、担当者の対応や実績を比較検討できる点も特徴の1つです。1社だけの査定では、「この担当者の対応は他と比べてどうなのか」「本当に任せて大丈夫なのか」などの疑問が出てくるでしょう。

その点、不動産一括査定を利用すれば、複数の担当者の対応を見極めることができるため、自分に合った担当者を選べます。購入希望者と直接商談するのは担当者のことが多いため、スムーズに売却活動を進める上で、担当者の比較検討は重要なステップです。

不動産一括査定を利用して家の価格を知る流れ

不動産一括査定サービスを利用して家の価格を知る流れは、次の8ステップに分かれます。

  1. 資金計画や書類準備などの事前準備を行う

  2. 不動産一括査定を依頼する

  3. 不動産会社を選定する

  4. 不動産会社と媒介契約を締結する

  5. 売出価格を決め家の販売活動を行う

  6. 買主と売買契約を締結する

  7. 決済を行い家を引き渡す

  8. 確定申告を行う

不動産売却において特に重要なポイントは「不動産会社を選定する」場面です。不動産会社には得意・不得意分野があるため、不動産一括査定を利用して最適な不動産会社を見極める必要があります。

また、不動産会社によっては、査定価格に数百万円以上の差が出ることもあります。家をできるだけ高値で売却するためにも、手軽に査定結果の比較検討ができる不動産一括査定がおすすめです。特に、家の売却を初めて経験する人は、不動産一括査定をうまく利用して、複数の担当者からさまざま意見を聞いてみると良いでしょう。

まとめ

この記事では、不動産会社へ査定だけを依頼する方法や注意点などを解説しました。不動産会社に査定だけを依頼して、不動産価格を知ることは可能です。ただし、査定後に営業をかけられる可能性がある点や、将来的に売却する際には改めて査定を行う必要がある点に注意が必要です。

不動産価格を手間と時間をかけずに知るためには、不動産一括査定がおすすめです。手軽に複数の査定結果を比較検討できるため、できるだけ手間をかけずに高値で売却したい人は、不動産一括査定の利用を検討してみましょう。