「新築マンションを購入したが、子供の成長に合わせて住み替えを検討している」
「売却したいけれど損をしないか不安」
「新築マンションを売却するベストなタイミングはあるの?」
新築マンションを購入した人のなかには、上記のような悩みや疑問を抱えている人もいるのではないでしょうか。
なかには「新築マンションを購入したが手放さなければならなくなった」などのやむを得ない事情で売却しなければならない人もいるでしょう。
そこで今回は新築マンションの売却を検討している人に向けて、売却するベストなタイミングと注意すべき点を解説します。高値売却のコツも併せて紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
この記事の目次
新築マンションを売却するベストタイミングはいつ?
新築マンションを購入した人のなかには売却などの出口戦略を想定している人も多いかと思います。せっかく売るのであれば高値で売却したいと考えているはずです。そこで売却する最適なタイミングについて統計データを用いながら解説します。
それでは詳しくみてみましょう。
築年数はできるだけ浅いうちがよい
新築マンションを売却する際は、できるだけ築年数が浅いうちに行うのが高値で売却できます。下記のグラフは首都圏の中古マンションにおける築年数別平均㎡単価を表したものです。
引用元:公益財団法人東日本不動産流通機構|築年数から見た 首都圏の不動産流通市場(2023年)
表から読み取れるとおり、築年数とともにマンションの価格はどんどん下がっていきます。もちろん首都圏とそれ以外のエリアでは㎡単価や下落幅は異なりますが、傾向は似ています。
以上のことから高値で売却するのであれば、築年数が浅い方がよいと言えるでしょう。
とくに築5年以内であれば、部屋や設備がまだ新しく、買主から新築に近いイメージを持たれやすいため、高値での売却が期待できます。
マンション価格が上昇傾向にある時期
マンション価格が上昇傾向にある時期は、高値での売却が期待できるタイミングです。ここで国土交通省の不動産価格指数のデータをみてみましょう。
住宅における不動産価格指数(2010年平均の不動産価格指数を100とする)
引用元:国土交通省|不動産価格指数(住宅)のデータをもとに筆者作成
表から読み取れるとおり、2013年以降はマンションの価格は上昇傾向が続いているため、売却時期としてはおすすめの時期です。この傾向がいつまで続くかを予測するのは難しいため、売却を検討しているならば早めに動くべきでしょう。価格の上昇が続いている時期に売却することで、利益を最大化できる可能性があります。
新生活の時期
中古マンションを売却する際は、季節によって売れ行きが変わります。季節ごとの売れ行きの違いや、その背景は下表の通りです。
時期 |
月 |
売れ行きの傾向 |
背景 |
春 |
2月〜4月 |
よい |
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夏 |
7月〜8月 |
悪い |
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秋 |
9月〜11月 |
良い |
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冬 |
12月〜1月 |
悪い |
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不動産の売れ行きと季節の関係性
引用元:総務省統計局|サービス産業動向調査における不動産取引業の特徴についてをもとに筆者作成
表の通り、年度末の2月から3月にかけては、4月からの新生活や進学・転勤に備えてマンションを探す買主が多数います。不動産業界の繁忙期でもあり、売買件数が大きく増加するため、好条件での売却が期待できます。一方、12月から1月は買主の多くが検討段階であるため、売却には向いていません。ただし、2月や3月に売り出しを開始してしまうと売れ行きが良いタイミングに乗り遅れる恐れがあります。そのため早めに売り出しを行い、売れ行きが良い季節に備えるようにタイミングを調整するとよいでしょう。
新築マンションを売却する際の注意点
新築マンションを売却する際には、下記点について注意が必要です。
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諸経費がかかる
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オーバーローンになる恐れがある
これらの注意点を理解しないまま売却活動を進めてしまうと、予期せぬ損失を被る恐れがあります。ぜひこれから解説する内容を理解して売却活動を進めてください。
諸経費がかかる
マンションに限らず住宅の売却には諸経費がかかります。主な費用としては、不動産会社に支払う仲介手数料や、新居への引越費用、住宅ローン残債の完済などがあります。仲介手数料は売買価格の3〜5%程度で、事前に不動産会社と交渉が可能です。引越費用は単身なら5〜8万円程度、家族で10〜12万円前後が目安となります。不用品の回収があれば引越し費用に加算されます。また、ローン残債がある場合は、売却資金から完済しなければなりません。
さらに、マンション売却による譲渡所得に対する税金である譲渡所得税や、火災保険料の清算金、修繕積立金の清算金、買主側が負担する費用の一時立替金などもかかります。これらの費用は売却価格の数%から数十万円に及ぶため、事前に概算費用を把握し、売却資金に余裕を持たせることが重要です。とくに仲介手数料と譲渡所得税は高額になる可能性があるので注意が必要です。
オーバーローンになる恐れがある
新築マンションを売却する際は、オーバーローンになる恐れがあります。オーバーローンとは、住宅ローンの残債が売却代金を上回ってしまう状態のことです。新築マンションは購入直後に売却すると、諸費用の回収が難しく損失が発生しがちです。また、変動金利の住宅ローンを組んでいる場合、金利上昇時にはローン残債が増える可能性があります。
さらに、売却時の不動産市況が悪化していれば、想定外の値下がりが避けられません。このように、タイミングや売却環境次第でオーバーローンになるリスクが高くなります。売却を検討する際は、このリスクを十分に認識し、慎重に判断する必要があります。
新築マンション売却に関係する税金や特例
新築マンションを売却する際には、税金や特例についての知識が必要不可欠です。
税金や特例の内容を理解していないと、場合によっては損をしてしまう可能性もあります。
損をしないためにも、これから解説する点について理解しておきましょう。
売却時には譲渡所得税が発生する
築浅のマンションを売却する際、譲渡所得税が発生する可能性があります。譲渡所得税は、売却価格が購入価格を上回る場合に課税される税です。譲渡所得は、売却価格から購入価格と諸費用を差し引いて計算します。
なおマンションの所有期間に基づいて譲渡所得税の税率は下記の通り変動します。
所有期間 |
税率(所得税) |
税率(住民税) |
合計税率 |
5年以下(短期譲渡所得) |
30% |
9% |
39% |
5年超(長期譲渡所得) |
15% |
5% |
20% |
所有期間と譲渡所得の税率の関係性
引用元:国税庁|長期譲渡所得の税額の計算、短期譲渡所得の税額の計算をもとに筆者作成
この表のとおり、築5年以下の築浅マンションは必然的に所有期間が短いため、高い税率が適用されることが多いです。またそれぞれ確定申告の際には復興特別所得税として所得税額の2.1%が加算されます。
譲渡所得税を検討する際には、マンションの所有期間を考慮して売却計画を立てるとよいでしょう。
譲渡所得は居住用財産の3,000万円特別控除が利用できる
譲渡所得税は、居住用財産の3,000万円特別控除が利用できます。この特例を利用するとこの特例を適用すると、譲渡価格から取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得から、最大3,000万円を控除できます。3,000万円特別控除を適用すれば、多くのケースで譲渡所得税がほとんどかからなくなるでしょう。
特例を受けるためには下記条件を満たす必要があります。
条件項目 |
詳細説明 |
居住用家屋の売却 |
自己が居住している、または居住していた家屋とその敷地等を売却すること。単身赴任の場合は、配偶者が居住している家屋も対象となる。 |
売却時期 |
住まなくなってから3年後の年の12月31日までに売却すること。 |
特別な関係にないこと |
売却先が親子や夫婦などの特別な関係にないこと。 |
過去の利用 |
売却年の前年および前々年に同じ特例を利用していないこと。 |
目的 |
控除を受けるためだけの目的で取得したマイホームではないこと。 |
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例に関する要件
引用元:国税庁|マイホームを売ったときの特例をもとに筆者作成
ここで注意したいのが特例を利用するためには自ら居住していることが条件である点です。新築未入居のマンションは自ら居住していないため利用できません。
また転売目的と疑われるような短期間での売却も「この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋」として適用除外に該当すると判定される可能性も考えられるので注意しましょう。
3,000万円特別控除は住宅ローン控除との併用はできない
注意したいのが、3,000万円特別控除と住宅ローン控除は併用できないという点です。3,000万円特別控除を受けた年とその前後2年間は、住宅ローン控除を受けられせん。
どちらの控除を選ぶべきかは、売却益の大小によって判断します。売却益が大きい場合は、3,000万円特別控除の方が節税効果が高くなる可能性があります。ただし、個別のケースによって得策は変わるため、売却時期や新居購入時期、売却益額等を総合的に判断するとよいでしょう。
新築マンションを少しでも高値で売却するためのコツや手段
新築マンションを少しでも高値で売却するためには、いくつかのコツや手段があります。
具体的には以下の点を意識すると、高値での売却に成功しやすくなります。
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複数の不動産会社に査定を依頼する
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マンション売却に強い不動産会社を選ぶ
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売り出し価格を高めに設定する
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内覧時は丁寧な対応と準備を心がける
それぞれの詳細について解説していきます。
複数の不動産会社に査定依頼をする
新築マンションを高値で売却するためには、まず複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。不動産会社によって査定額が異なるため、複数社に依頼することで査定額の幅を把握できます。査定額の幅が分かれば、適正な売却価格を見極めやすくなるでしょう。
また、複数社に査定を依頼すれば、各社が高い査定額を提示しようと競合します。その結果、より高い査定額を引き出し、高値で売却が可能です。さらに、査定額だけでなく、各社の営業スタイルや売買実績や手数料率なども比較できるため、自分に最適な不動産会社を選べます。
マンション売却に強い不動産会社を選ぶ
新築マンションを高値で売却するには、マンション売却に強い不動産会社を選ぶことも大切です。マンション売却の経験が豊富な不動産会社は、適正な査定に必要な項目を熟知しているため、適正な査定額を提示してくれます。
また、マンション購入希望者を効率的に集められるため、高値での売却が期待できるでしょう。さらに、マンション売買の専門家が対応してくれるため、マンション売買特有の課題に対する適切なアドバイスが受けられ、売主にとって安心できるサポート体制が整っています。
なお売却実績は以下の方法で確認できます。
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不動産会社の公式ウェブサイト
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ポータルサイトの掲載物件
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インターネット上やSNSの口コミ
マンション売買に実績と専門性のある不動産会社を選ぶことで、総合的に高水準の仲介が期待できます。
希望している成約価格よりも高めの設定で売り出す
新築マンションを高値で売却するためのもう一つの手段は、希望している成約価格よりも高めの設定で売り出すことです。売り出し価格を高めに設定することで、物件に対する希少性や価値の高さを印象づけられ、買主の購入意欲を引き出せます。また、価格交渉の余地ができるため、結果的に売主の希望額近くで成約できる可能性が高まります。
ここでひとつの統計データをみてみましょう。下記グラフは中古マンションにおける1㎡あたりの単価を新規登録物件、成約物件ごとにまとめたものです。
引用元:公益財団法人東日本不動産流通機構|首都圏不動産流通市場の動向(2023年)
新規登録価格は成約物件の価格よりも1〜2割程度単価が高いことが、表から読み取れます。
希望している成約価格より高めの設定で売り出すことの重要性は、データからも裏付けられています。
内覧時は丁寧な対応と準備を心がける
内覧時の対応と準備も、新築マンションを高値で売却するために重要です。内覧は購入検討者が実際に物件を見て、その価値を判断する大切な機会です。事前に内覧の準備を行い、物件の良さを存分にアピールすることで、購入意欲を高められます。
また、購入検討者の質問に適切に答えられれば、物件への信頼感が高まり、高値での成約につながります。清潔な状態を保ち、好印象を与えることも大切です。内覧希望者の回転率を上げるためにも、適切な準備と対応を行うことが不可欠なのです。
まとめ
新築マンションの売却を検討する際は、築年数が浅いうちで、マンション価格が上昇傾向にある春の新生活シーズンがベストタイミングです。ただし、諸経費がかかることや、オーバーローンのリスクに注意が必要です。
売却時には譲渡所得税が発生しますが、多くのケースが居住用財産の3,000万円特別控除の利用でカバーできます。高値売却のコツは複数の不動産会社に査定依頼を行い、マンション売却に強い不動産会社を見つけ出すことです。その上で希望価格よりも高値で売り出し、内見時も丁寧な対応を心がけることで、高値での売却に成功しやすくなります。
いえぽーと編集部では不動産会社への査定を、一括査定サイトで依頼するのをおすすめしています。
理由は複数の不動産会社に一括で手軽に査定依頼できることと、各一括査定サイトで厳選された不動産会社に査定依頼ができるためです。
以下の図は、いえぽーと編集部がおすすめする各一括査定サイトを特徴別に分類したものです。その下の表には各サイトの概要をまとめてあります。
それぞれ特徴が少しずつ異なるため、自身の希望にあうサイトをいくつかピックアップして依頼するのがおすすめです。
ぜひ参考にして一括査定サイトで査定依頼を行いましょう。