ペットを飼っているマンションの売却を考えている人の中には、「ペットを飼っていると売却額が安くなる?」「売却価格を下げない方法はある?」などの疑問を感じる人もいるでしょう。

そこで本記事では、ペット飼育がマンションの売却査定額を下げる理由を紹介するとともに、売却額を下げないための対策、ペット以外でマンション売却査定時に見られるポイントなどを紹介します。

ペットを飼っていたマンションの売却を成功させる秘訣についても解説していますので、参考にしてください。

ペットを飼っているとマンション売却査定額は下がる?

ペットを飼っているというだけでマンションの売却査定額が下がることはありません。

ただし、ペットの飼育とマンションの査定額が無関係というわけではなく、ペットを飼っていたことによる部屋の傷みやニオイがマイナスとなり、査定額が下がってしまうケースはあります。

ポイントとなるのはペットを飼っていたかどうかではなく、部屋にどのような影響が出ているかです。

ペットの影響により、部屋が劣化している状態で査定すれば減額ポイントとなりやすいですし、逆に掃除や修繕で劣化を治すことができれば減額を回避できる場合もあります。

ペット飼育がマンションの売却査定額を下げる4つの理由

ペットの飼育がマンションの売却査定額に影響を及ぼすポイントは主に以下の4つです。

  • ペットのニオイ

  • ペットによる傷

  • アレルギーのリスク

  • 害虫

ペットのニオイ

ペットを飼っている部屋では、以下のような理由により特有のニオイが発生します。

  • 排泄物:室内にトイレを設置ししている場合の排泄物のニオイ。特に猫の尿は強烈なアンモニア臭を発する。

  • エサ:ドッグフード、キャットフードなどは特有の素材を使用しているため、独特なにおいを放つ。

  • 被毛:ペットの種類によって異なるが、動物の被毛独特の獣臭を発することがあり、放し飼いにしている場合は部屋全体に漂っている。

こうしたペット特有のニオイは飼い主にとっては慣れているため気づきにくいですが、外部から来た人にとっては「臭い、気になる」と感じることもあります。

ペットによる傷

ペットを飼っている部屋では、人間が普通に生活しているサイトは異なる傷ができます。

ペットとして人気の高い犬と猫を例に、どのような傷ができやすいのかを見てみましょう。

  • 犬:床を歩く際に爪が当たり、フローリングや畳に細かな傷がつく。ストレス解消に固いものを噛む修正を持つため、室内の柱、壁、ドアなどを噛んでしまうことがある。

  • 猫:爪とぎをする習性があるため、壁や柱が削れてしまう。長年同じ場所で爪とぎしている場合は、素人が簡単に補修できないほど傷んでしまうこともある。

こうしたペット特有の傷はしつけや買い方次第である程度軽減できるものの、完全にゼロにするのは難しいでしょう。

傷の程度次第では、修繕が必要と判断されて、売却査定額が下がる一因となります。

アレルギーのリスク

ペットを飼っているマンションの売却時に見落としがちなのがアレルギーのリスクです。

動物の毛、糞尿、ダニなどは、人によってアレルギー反応を引き起こす可能性があります。

普段からこまめに掃除をしていても、ペットが室内にいる限り、アレルギーの原因を完全に除去するのは不可能です。

売却時に、購入希望者およびその家族にアレルギー発生の可能性がある場合はリスキーだとみなされ、購入を見送る可能性も考えられるでしょう。

アレルギーはときに生命を脅かす重篤な症状に発展するケースもあるため、売却時にはペットを飼っていたことを明確に伝えるとともに、必要に応じて専門業者へハウスクリーニングを依頼しましょう。

害虫

完全室内飼いでない限り、ペットは害虫発生のリスクを抱えています。

  • 散歩中にペットの体や毛に紛れて室内に入ってくる

  • ベランダや庭で遊んだ際に虫を拾ってきてしまう

上記のように室外でペットが過ごす時間を設けている場合には、ダニやノミをはじめとした人間にとっても害虫となる虫を室内に運び込んでしまう可能性があります。

もちろん「害虫=ペットが原因」とは限りませんが、ペットを飼っている家にはダニやノミがいるというイメージを抱いている購入希望者も中にはいるでしょう。

ペットを飼っていたマンションの売却額を下げないための対策

ペットを飼っていたマンションであったとしても、事前に対策しておけば売却額を下げないことも可能です。

売却額を下げないために押さえておくべき3つのポイントを解説するので、参考にしてください。

お金がかかり過ぎない範囲で修繕する

ペットによる部屋の損傷は売却査定額を下げる要因のひとつですが、事前に修繕しておけば印象を大きく変えられる可能性があります。

逆にペットが付けた傷を放置したまま売りに出してしまうと、「手入れされていない部屋だ」という印象を与え、不利に働きやすくなるでしょう。

ただし、修繕のために高額な費用をかけると最終的に損してしまうことになりかねないため、ホームセンターで売っている補修グッズなどを使って適度に修繕するのがおすすめです。

大切なのは内見の際に「部屋をきれいに使っている」という印象を持ってもらうことであるため、目立つ傷や汚れは補修しておきましょう。

ニオイ対策/ニオイ除去を徹底する

ペットのニオイが染み付いているマンションは、売却価格が大きく下がることも珍しくありません。

特にペットを飼わない購入希望者の場合、ペットのニオイに対して敏感な傾向が強いため、減額交渉や購入見送りの可能性が高くなります。

マンション売却時に少しでも不利な状況に陥らないためには、以下のポイントに沿ってニオイ対策を徹底しましょう。

  • 日ごろから小まめな掃除や消臭を心がける

  • 売却前にクロスやフローリングの張替えを検討する

  • 専門業者にハウスクリーニングを依頼する

  • ペットを飼っていない第三者にニオイをチェックしてもらう

また、ニオイだけでなくアレルギーの観点からも専門業者のハウスクリーニングは効果的であるため、売却前に実施を検討しましょう。

内覧時の対策を立てておく

ペットを飼っていたマンションをなるべく高く売却するためには、内覧時の対応が非常に重要です。

細かな傷、ニオイなどは事前情報だけでは把握できないことが多く、内覧時に初めて認識するケースが多いからです。

内覧をスムーズに進めるとともに、少しでもよい印象を抱いてもらうために重要な2つのポイントを紹介します。

内覧時にはペットを不在にする

内覧者の目的は、物件の詳細を自分の目で確認することです。

しかし室内にペットがいると、内覧者が物件の確認に集中できないばかりか、ニオイや鳴き声などによってマイナスの印象を与える可能性すら考えられます。

ペットを飼っていること自体は伝えておくべきですが、内覧時にはペットを知人に預ける、家族の誰かに散歩に連れていってもらうなどして、一時的に不在の状態を取るようにしましょう。

ペットの飼いやすさをアピールする

ペットを飼っていたことがマンション売却時に必ずしもマイナスに働くとは限りません。

特に購入希望者がペットを飼っている、もしくは将来的に飼いたいと考えている場合は、「ペットを飼いやすい物件であるか」が重要なポイントとなります。

購入希望者がペットを飼う可能性がある場合は、以下のようなポイントをアピールするとよいでしょう。

  • 近隣住民がペットに対して理解がある

  • ペットを散歩しやすい環境

  • 大きな公園やペットと遊べる施設が近隣にある

  • おすすめの動物病院やペットショップが近隣にある

ペット以外でマンション売却査定時に見られるポイント

マンション売却査定時に見られるのはペット関連に部分だけではありません。

そもそもマンションの売却価格は立地、築年数、エリアの需要、階数など複数の要素が絡み合って決定されるものです。

仮にペットを飼っていたことによるマイナスがあったとしても、他の要素が評価されて購入を希望する人が出るケースも珍しくありません。

以下に、ペット以外でマンション売却査定時に見られるポイントを紹介するので、チェックしてみましょう。

立地

立地はマンションに限らず、あらゆる不動産の売却額に大きな影響を与えます。

例えば都会の場合は電車通勤がメインとなるため、最寄り駅からの距離が重要な指標となります。

駅から近いほど資産価値は高くなりますし、特急や快速が止まる、複数の路線に乗り換えができる、といった主要駅の場合はさらに評価が高まります。

一方、最寄り駅だけが立地の良し悪しを決めるポイントとはいえません。

  • 最寄りのスーパーやコンビニ

  • 子供が遊べる公園

  • 学校や病院などの公共施設

  • 閑静な住宅街

こうした利便性や暮らしやすさも立地を評価するうえで外せないポイントです。

マンション売却時には立地を客観的に改めて見直し、買い手にアピールできるポイントを整理しておくことが、スムーズな売却を実現させる秘訣です。

築年数

マンションは築年数が新しいほど資産価値は高くなります。

以下に築年数に関するチェックポイントをまとめますので、参考にしてください。

チェックポイント

具体的な内容

築年数が47年以内か

マンションの法定耐用年数は47年と定められており、築12年を超えると35年ローンを組めなくなる可能性がある

新耐震基準で建てられているか

1981年以降の新耐震基準で建築されていないマンションは住宅ローンが利用できない可能性がある

ただし、築年数が古いマンションが売れないとは限りません。

引用元:レインズ |築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)

築31年を超えるマンションであっても売却できるケースはあり、売却の成否はあくまで複合的な要素にもとづいて判断されるものであることを覚えておきましょう。

間取り/部屋向き

部屋の間取りや部屋向けもマンションの売却価格に影響を及ぼします。

例えば角部屋や南向けの部屋は日当たりが良好であるため、他の部屋より高い価格で売却できる可能性があります。

一方、部屋の間取りは広い方が査定は高くなるものの、売却時に大切なのは間取りごとに異なるニーズをしっかり把握することです。

  • 1LDK:単身者に人気

  • 2LDK:二人暮らしに人気

  • 3LDK以上:ファミリー層に人気

上記はあくまで傾向ですが、間取りによってターゲットは異なるため、ターゲットを絞り込んだ上で立地や利便性などの面でアピールすべきポイントを整理するとよいでしょう。

階数

売却時の評価において、戸建てとマンションの大きく異なる点が階数です。

一般的には、上層階になるほど日当たりや景観、防犯の観点から資産価値は高くなります。

一方、低層階にも以下のようなメリットはあります。

  • 大きな荷物の出し入れが便利

  • エレベーターを使う必要がない

  • 災害時にスピーディに避難できる

低層階のマンションを売却したい場合には、上記のような低層階ならではのメリットを打ち出すとよいでしょう。

設備

マンションの設備は充実しているほど資産価値は高くなります。

一般的な設備としては駐車場や駐輪場、宅配ボックス、24時間ゴミステーションなどが該当しますが、中には以下のような設備が用意されているマンションもあります。

  • 専用ジム

  • キッズルーム

  • コンビニエンスストア

  • コンシェルジュ

  • 敷地内公園

購入希望者にとっては共用設備もマンションの魅力のひとつとなる可能性があるため、売却時には改めて整理しておきましょう。

マンションの管理体制

マンションの管理体制も資産価値を左右する要素のひとつです。

以下のようなポイントは、売却時にアピールできるメリットだといえるでしょう。

  • 管理人が常駐しており、防犯面で安心

  • 小まめに清掃されている

  • トラブル発生時の専用窓口が用意されている

  • 定期的なメンテナンスがおこなわれている

  • 計画に基づいた修繕工事が実施されている

ペットを飼っていたマンションの売却を成功させる秘訣

マンションの売却にはさまざまな要素が複雑に絡み合っているため、スムーズに売却するには専門的なノウハウが欠かせません。

ペットを飼っていたマンションの売却を成功に導く2つの秘訣を紹介するので、最後にチェックしてみましょう。

とくに重要なのは不動産会社選び

ペットを飼っていたマンションを売却するうえで、不動産会社選びは特に重要です。

マンションの売却査定額は不動産会社によって異なりますし、売却査定額が高いからといって必ずしもその価格で売れるとは限りません。

希望する価格で売却するには、競合調査を実施し、適切な時期に適切なターゲットに向けてアプローチすることが求められます。

こうした複雑な条件をクリアするためにはプロの力が不可欠であり、相性のよい不動産会社を見つけられるかどうかが成功のカギを握っているといえるでしょう。

不動産会社選びで大切なのは、売主の悩みや要望を踏まえて柔軟に対応してくれる会社を選ぶことです。

ペットを飼っていたマンションであれば、「ペットを飼わないターゲットにも売れるように安くしましょう」と安易に提案してくる会社より、「ペット飼育希望者にターゲットを絞り込んで、飼いやすさを強みにしてPRしましょう」と提案してくれる会社のほうが高く売れる可能性はあります。

上記はあくまで一例ですが、売り手に寄り添って提案してくれる不動産会社を見つけることが、好条件でマンションを売却するためには不可欠だと覚えておきましょう。

一括査定サイトを活用する

マンション売却で不動産会社選びが重要だとはわかっていても、世の中に存在する膨大な会社の中から相性のよい依頼先を絞り込むのは簡単ではありません。

そこでおすすめなのが、不動産一括査定サイトの活用です。

不動産一括査定サイトなら一度に複数の不動産会社へ査定してもらえるため、「査定額の高い不動産会社を見つかる」「査定の根拠を根拠を比較できる」といったメリットがあります。

もちろん査定額で必ずしも売却できるとは限りませんが、条件にマッチした不動産会社を抽出できるだけでなく、複数の条件で比較しながら相性のよい不動産会社を効率よく探せます。

一括査定サイトによって提携している不動産会社が異なるため、ひとつのサービスだけでは比較対象が少ないと感じる場合は、複数の一括査定サイトを利用するとよいでしょう。

まとめ

ペット飼育がマンションの売却査定額を下げる要因は複数あるものの、事前に対策しておけば希望する価格で売却できる可能性を高められます。

ただし、マンションの売却価格を左右するポイントは、ペット以外にも、立地、築年数、間取りなど複数存在しているため、事前にチェックしたうえで不動産会社に相談することが大切です。

マンション売却を成功へ導くうえでは、不動産会社選びがとくに重要であるため、手軽に複数の不動産会社を比較できる一括査定サイトを利用してみましょう。