「雨漏りした家は売れない?」「雨漏りした家をうまく売却する方法は?」といった疑問を持っている人は多いのではないでしょうか。
本記事では、雨漏りが家の売却に与える影響や売却時の告知義務について解説するとともに、雨漏りがある家をスムーズに売却する方法や注意点をわかりやすくまとめています。
雨漏りした家の売却を検討している方は参考にしてください。
この記事の目次
雨漏りが家の売却に与える影響
家の雨漏りは、売却において主に2つの部分で影響が出ます。
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売却価格が安くなる
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買い手が見つかりにくくなる
売却価格が安くなる
雨漏りしている家は雨漏りしていない家と比べると売却価格が安くなる傾向にあります。
雨漏りが発生している状態は、住宅の屋根や壁が欠損している事実を示しており、建物に何らかの欠陥があることを意味するからです。
直接的な雨漏りはもちろん、雨漏りを原因とするシロアリやカビの発生など、二次被害の可能性を考慮すると、売却価格が安くなるのは致し方ないといえるでしょう。
また、雨漏りの原因は特定に時間がかかる場合もあり、特定できたとしても簡単に修理できないことがあるため、原因究明の手間や時間、修理費用を考慮して正常な家より安く価格設定される場合があります。
買い手が見つかりにくくなる
雨漏りしている家は買い手が見つかりにくくなる可能性があります。
雨漏りに限らず、何らかの欠陥がある家よりも正常な家のほうを購入したいと多くの人は考えるものだからです。
特に雨漏りの場合は、水に関連する問題であるため、カビや腐食など将来的なリスクを考えて敬遠する買い手は少なくありません。
ただし、雨漏りしていても程度や価格次第では購入を検討する層も一定数存在するため、ターゲット選定や売却プランを模索しながら最善策を検討することが大切です。
家の雨漏りは売却時に告知義務がある
「雨漏りしているが、黙って売ることはできないか?」と考える人もいるでしょう。
しかし、家の雨漏りには告知義務があり、売却時に買主へ伝えなければいけません。
以下で告知義務の詳細や黙って売却するリスクを解説するので、チェックしておきましょう。
雨漏りは物理的瑕疵に該当する
不動産は宅地建物取引業法に則って売買が行われますが、その中では売主に対し、瑕疵(かし)について買主に報告しなければならないという告知義務が課せられています。
雨漏りは、シロアリ、床下浸水、土壌汚染などと並び、建物自体が抱える直接的な欠陥を意味する物理的瑕疵に該当しますが、雨漏りを修理していたとしても告知義務はなくなりません。
つまり、雨漏りを直して売りに出したとしても「過去に雨漏りがあった」と買主に告知する義務があるのです。
雨漏りの二次被害も告知義務の対象
雨漏りがある家を売却する際に注意すべきなのが、雨漏りの二次災害も買主に告知しなければならない点です。
雨漏りが発生した場所は水が入り込むだけでなく湿度が高くなりやすいため、シロアリやカビの発生といった二次被害を招くことがあります。
こうした二次被害も家の売却時には告知する義務がありますが、シロアリやカビなどの被害は一見するとわからないケースも多いため、雨漏りが起きた事実がある場合は専門家に調査を依頼しましょう。
雨漏りを告知せずに家を売却するリスク
雨漏りがある事実を告知せずに家を売却した場合、契約不適合責任を問われるリスクがあります。
契約不適合責任とは、契約に基づいて引き渡された目的物について、契約内容との間に相違があった場合に売主が買主に対して負担する法的責任のことです。
引用元:東京都 不動産取引特別相談室|契約不適合責任に係るトラブルについて
不動産取引においては、上記のような事案が契約不適合責任に該当する可能性があり、以下のような事態に発展するリスクがあるため注意しましょう。
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不具合の修繕・設備の取り替えなど、目的物の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡し
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代金減額請求
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債務不履行による損害賠償請求
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契約不適合の内容が軽微でない場合、契約解除
不測の事態を防ぐためには、二次被害も含めて事前に告知し、納得してもらったうえで売却することが大切です。
雨漏りがある家をスムーズに売却する4つの方法
雨漏りがある家を賢く売却する4つの方法を紹介します。
①ホームインスペクションしてから売却
ホームインスペクションとは、住宅に精通した住宅診断士(ホームインスペクター)に専門家の視点から住宅の劣化状況、欠陥の有無、修繕すべき箇所やおおよその費用などについてアドバイスしてもらうサービスです。
雨漏りの程度や原因、二次被害の有無などは専門知識がない限り、正確に把握するのは至難の業です。
ホームインスペクションを受ければプロ目線で問題の有無や詳細を把握できるため、売主の不安は軽くなるでしょう。
また、雨漏りのある家を売却するうえで重要な物理的瑕疵の告知についても、ホームインスペクションで二次被害まで含めて把握しておけば、「知らなかった」ことによるトラブルに巻き込まれるリスクを軽減できます。
②修繕/リフォーム後に売却
雨漏りがある場合は問題がある箇所を修繕して売却するのも手です。
直した場合でも告知義務はなくならないものの、雨漏りの原因を改善した方が高く売却できる可能性は高まります。
また、修繕と合わせて気になる部分もリノベーションすれば、より魅力的な物件に生まれ変わり、希望の価格で売却しやすくなるでしょう。
ただし、修繕やリノベーションが高額になると売却しても利益が少なくなる、またはマイナスになってしまう可能性も考えられるため、専門家に相談しながら検討しましょう。
③不動産買取を利用する
雨漏りしている家を売却する場合は、不動産仲介で一般の買い手を探すのではなく、不動産会社に直接買い取ってもらう方法も選択肢のひとつです。
不動産買取のメリット・デメリットを以下にまとめましたのでチェックしてみましょう。
メリット |
デメリット |
・買い手を探す必要がないため、スピーディに売却しやすい ・仲介手数料が発生しない ・契約不適合責任を免除するケースが多い |
・不動産会社は買取ごとに修繕やリフォームしたうえで再販売するため、仲介に比べると価格が安くなる ・必ず買い取ってくれるとは限らない |
仲介より価格が安くなる点は一見すると大きなデメリットに感じるかもしれませんが、雨漏りしている家は買い手が見つかりにくいため、仲介では成約まで長期間を要するケースもあります。
雨漏りしていない家より価格が安くなることを考えても、仲介で高く売却するのは簡単ではないため、不動産買取を検討する価値は十分にあるといえるでしょう。
④更地にして売却する
建物の状態や周辺エリアのニーズ次第では、更地にして売却することも検討するとよいでしょう。
築年数が古い物件や建物が傷んでいる場合は、雨漏りを改善したとしても思うように売れないケースは珍しくありません。
また、新築の土地を探している人が多いエリアの場合、建物付きの物件より更地のほうが多くのニーズを見込める場合があります。
建物の解体、整地などには費用がかかるため不動産会社と相談しながら検討するとよいでしょう。
雨漏りした家を売却する際の注意点
雨漏りした家の売却で失敗しないために押さえておくべき2つのポイントを紹介します。
修繕する前に専門家へ相談する
雨漏りを修繕したうえで売りに出せば購入希望者の印象は良くなります。
ただし、家の購入を判断するポイントは雨漏りの有無以外にも数多く存在するため、修繕したからといって必ず売却できるとは限りません。
何より、修繕やリフォームには費用がかかるため、売却価格とのバランスを考えて慎重な判断が求められます。
修繕の可否や修繕方法を見極めるには専門的な知識が求められますし、並行して修繕後の売却査定額を知っておくことも大切です。
ホームインスペクターや不動産会社など、専門家の助けを得ながら最善の方法を模索しましょう。
物理的瑕疵に該当する箇所は事前に把握しておく
雨漏りがある家を売却する際、特に気を付けるべきなのが物理的瑕疵の告知義務です。
「若干の雨漏りだから大丈夫」「修理済みだから伝えなくてもよい」といった判断で告知せずに売却してしまうと、後から契約不適合責任を問われて痛手を被りかねません。
また、「知らなかった」で済む問題でもないため、専門家に依頼して物理的瑕疵の有無や該当箇所は事前に把握しておきましょう。
まとめ
雨漏りした家を売却する場合は、二次被害も含めて売却時に買主へ告知する義務があります。
雨漏り自体はプラスには働かないものの、ホームインスペクションや修繕、不動産買取など、賢く売却する選択肢が複数用意されているのも事実です。
雨漏りを含めた物理的瑕疵の確認、ベストな売り方などを見極めるためには専門的な知識が求められるため、売却に際しては専門家と相談しながら検討を進めましょう。