「机上査定を受けたいけど仕組みがわからない……」
「机上査定と訪問査定はどっちがいいの?」
不動産会社がおこなう査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類がありますが、それぞれの意味を理解せずに査定依頼してしまう人も少なくありません。
査定方法には意味があり、それぞれで特徴や魅力も異なります。自分に合った査定方法を依頼すれば、スムーズに売却活動を進められるだけでなく、高額売却も実現できるでしょう。
この記事では、査定方法で悩んでいる方に向けて机上査定の意味や仕組み、訪問査定との違いなどを詳しく解説します。
この記事を読めば、机上査定の意味を理解できるだけでなく、自分に合った査定方法までわかるようになります。マイホームの査定を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
机上査定とは物件条件のみで査定する方法
机上査定とは、物件の所在地や築年数などの条件のみで査定する方法です。査定依頼から査定結果の通知まですべてインターネット上で完結できるため、手軽に査定できる特徴があります。
ここでは、机上査定の詳しい仕組みや査定額に影響するポイントなどを解説します。
机上査定の仕組み
机上査定は、依頼主から提示された物件条件を参考に査定する方法です。担当者と実際に会ったり連絡したりする必要がないため、簡易査定とも呼ばれています。
もう一つの査定方法である訪問査定よりも手軽に査定依頼できるため、「おおよその価格を知りたい」「本格的な売却は考えていない」という方におすすめです。
机上査定において査定額に影響する主なポイント
机上査定において査定額に影響するポイントを解説します。物件のどこを見られているのか確認しておきましょう。
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物件の所在地
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築年数
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間取り
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方角・階数
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近隣物件の成約価格
物件の所在地
物件の所在地は査定額に大きく影響するポイントです。建物が古かったとしても人気エリアや将来性のある場所に建てられていれば買主需要があるため、高額査定される可能性があります。
また、以下のようなケースに該当する場合も評価される可能性が高いです。
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最寄駅から徒歩5分圏内
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近くにスーパーや商業施設がある
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近くに病院や役所がある
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周辺の治安がよい
利便性がよければ生活もしやすくなるため、買主からの需要も高くなりやすいです。反対に、築浅物件や高額で購入した物件だとしても利便性が低かったり治安が悪かったりすればマイナスな評価をされるでしょう。
築年数
建物の築年数も査定額に影響する重要なポイントです。基本的に建物は築年数が浅いほど査定額が高くなりやすく、高額売却に期待できます。
特に戸建ての場合はマンションよりも資産価値の低下が早く、築22年で建物としての価値がなくなってしまいます。
(参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」)
築22年以降は土地の価値のみで評価されるため、築年数が経過するほど評価されにくくなるでしょう。このような理由から、建物の築年数は査定額に大きく関わる重要なポイントといえます。
間取り
物件の間取りは、基本的に広いほど評価される傾向にあります。しかし、地域の特性に合っていない場合はあまり評価されないケースがあります。
例えば、ファミリー層が多く住んでいる地域でワンルームや1Kのマンションを売り出しても需要が少ないため、査定時に評価されない可能性があります。反対にサラリーマンや一人暮らしの多い地域で3LDKや4LDKなどのファミリー向け物件を売り出しても同様に評価されない可能性が高いです。
このように、物件の間取りは広さだけでなく「その地域に合っているかどうか」まで見られることを理解しておきましょう。
方角・階数
方角や階数も査定額に影響しやすいポイントです。南向きの物件であれば日差しが室内に入りやすく、買主からの需要もあるので評価されやすいです。
階数に関しては階数が高くなるほど価値も上昇していきます。
(参考:公益財団法人 不動産流通推進センター 「価格査定マニュアル」)
特にタワーマンションの場合は高階層のため、同じ間取りや方角でも階数が違うだけで大きく査定額が異なるでしょう。
近隣物件の成約価格
近隣物件の成約価格も査定時に見られるポイントです。不動産会社によっては依頼された建物だけでなく、実際に成約された周辺物件の取引価格も参考にするケースがあります。
近隣物件の成約価格をいくつか見ることでその地域の売却相場を把握できるため、査定額を決める際の大きなヒントになります。仮に近隣物件の成約価格からかけ離れた査定額にしてしまえば、相場に見合わない価格を設定することになるため、買い手が現れなくなる恐れもあるでしょう。
このように、近隣物件の成約価格は売却相場を把握するうえで非常に参考になるため、査定時に見られる可能性があります。
机上査定と訪問査定との違い
不動産会社の査定には、机上査定と訪問査定の2種類があります。ここではそれぞれの違いを解説します。どちらの査定方法で依頼するか悩んでいる方は参考にしてみてください。
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担当者の訪問の有無
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査定結果が届くまでの期間
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査定結果の信頼性
担当者の訪問の有無
最も大きな違いは、不動産会社の担当者が訪問するかどうかです。机上査定の場合は不動産会社のホームページ上で査定依頼から結果の通知までをしてくれます。
一方で訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に物件を訪問して査定します。担当者が家の外観や設備状況、室内の劣化状況などを実際に目で見てチェックするため、より具体的な査定をしてくれるのが特徴です。また、担当者とその場でコミュニケーションも取れるため、担当者の態度や言動、不動産知識の有無なども確認できます。
このように、机上査定と訪問査定では、担当者が実際に訪問して査定するかどうかの違いがあります。
査定結果が届くまでの期間
査定結果が届くまでの期間は以下のように異なります。
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机上査定:1日~3日程度
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訪問査定:1週間前後
机上査定は物件条件のみを参考に算出するので短期間で査定額がわかります。一方で訪問査定は、訪問した担当者が査定結果を持ち帰って具体的に査定するため、1週間前後かかるのが一般的です。
このような理由から、「おおよその価格を知りたい」「まだ本格的に売ろうとしていない」という方は机上査定がおすすめで、「正確な査定額を知りたい」「本気で売ろうと思っている」という方は訪問査定が向いています。
査定結果の信頼性
机上査定と訪問査定では査定結果の信頼性も異なります。机上査定は短期間で査定してくれる代わりに査定額の精度が低い傾向にあります。一方で訪問査定は査定額がわかるまでに時間がかかりますが、より具体的な査定をしてくれます。
信頼性だけでみれば訪問査定の方が高いですが査定スピードに差があるため、目的や状況に合わせて査定方法を選ぶのがよいでしょう。
机上査定のメリット
机上査定を受けるメリットを4つ解説します。机上査定ならではの魅力を理解したうえで依頼するかどうかを判断しましょう。
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家にいながら簡単に査定できる
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数日で査定額がわかる
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担当者と会わずに査定できる
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近隣住民に査定していることがバレない
家にいながら簡単に査定できる
机上査定最大のメリットは、家にいながら簡単に査定できる点です。不動産会社のホームページにアクセスし、机上査定に必要な物件条件や個人情報を入力するだけで簡単に査定してくれます。
また、査定依頼だけなら担当者と話す必要もないため、手軽に査定したい方には特におすすめです。訪問査定の場合だと実際に営業担当者と話すため、営業トークされたり契約を押し売りされたりなどのリスクがあります。その点、机上査定なら自宅から査定依頼できるため、気軽に査定依頼できるでしょう。
数日で査定額がわかる
机上査定は査定依頼から1日〜3日程度で結果がわかります。「すぐに査定額を知りたい」「ある程度の価格を知りたい」と思う方には特に向いています。
訪問査定の場合は1週間前後かかるケースが多いため、すぐに査定額を知りたい方には向いていません。このように、机上査定は手軽に査定依頼できるだけでなく、短期間で査定額がわかるのも魅力といえるでしょう。
担当者と会わずに査定できる
机上査定は担当者と会わずに査定できます。物件条件のみで査定されるので担当者と会う必要がなく、査定後もメールや電話でのやり取りとなります。
「実際に会うと契約しなくちゃいけない空気になりそう」「断るのが気まずい」と思う方には特におすすめです。このように、机上査定は担当者と会わずに査定できるため、担当者と会うのが億劫な方は利用してみましょう。
近隣住民に査定していることがバレない
机上査定は、インターネット上で査定が完了するので近隣住民に査定していることがバレないメリットもあります。
訪問査定の場合、スーツを来た担当者が実際に家を訪問するため、査定していることを近隣住民に勘づかれる可能性があります。万が一バレてしまうと周辺で悪い噂として広まる恐れがあり、近所付き合いに支障をきたす可能性があります。
その点、机上査定なら家にいながら査定できるので近隣住民にバレる心配もいりません。「コッソリ査定したい」「近所にバレずに査定したい」と思う方は利用してみましょう。
机上査定のデメリット
机上査定のデメリット3点を解説します。メリットと併せて確認しておきましょう。
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訪問査定より査定の精度が低い
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物件の細かな特徴までは考慮されない
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周辺環境の良し悪しが考慮されない
訪問査定より査定の精度が低い
机上査定は、訪問査定よりも査定精度が低いデメリットがあります。前述のとおり、机上査定は所在地や築年数などの物件条件のみを参考に査定されますが、以下のような具体的な情報までは加味されません。
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家の外観
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設備状況
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室内の劣化状況
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周辺の利便性・治安
上記要素は考慮せず、あくまでも表面上の情報のみで査定されます。その点、訪問査定であれば上記の要素まで加味した査定額が提示されるため、より精度の高い査定額に期待できるでしょう。
このような理由から、机上査定は訪問査定と比べて査定精度で劣るといえます。
物件の細かな特徴までは考慮されない
机上査定では、物件の細かな特徴までは考慮されません。
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水回りを最新設備にリフォームした
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床暖房を取り入れた
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内装にこだわってリフォームした
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間取りを変更した
このような細かい特徴や変化は机上査定では考慮されない可能性が高いです。不動産会社によっては加味される可能性がありますが、一般的な机上査定では築年数や間取り、階数などの表面的な情報のみで査定されるケースが多いです。
特に戸建ての場合は、自分なりにリフォームしたり特殊な間取りになっていたりしますが、査定額に影響しにくいため、自分の想定していた価格と査定額に乖離が生じるかもしれません。戸建ての机上査定を受けようとしている方は、このようなデメリットがあることを理解しておきましょう。
周辺環境の良し悪しが考慮されない
机上査定では周辺環境の良し悪しまでは考慮されません。物件条件のみで査定されるため、駅からの距離や利便性、治安などまでは細かく考慮せずに査定されます。
そのため、周辺の利便性や治安がよかったとしても評価されにくく、建物や立地条件のみを考慮した査定額を提示されます。
もし、利便性のよいエリアや将来性のあるエリアに住んでいる場合は、机上査定より訪問査定の方がより評価してくれるかもしれません。
机上査定に向いている人
ここまで机上査定のメリットとデメリットを解説しましたが、まだ机上査定と訪問査定で決めかねている方も多いでしょう。そんな方に向けて、机上査定に向いている人をご紹介します。以下の特徴に当てはまる人は机上査定で依頼してみましょう。
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おおよその査定額を知りたい人
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まだ本格的に売却を検討していない人
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査定したい物件が自宅から遠方にある人
おおよその査定額を知りたい人
おおよその査定額を知りたい人は机上査定が向いています。訪問査定と比べて査定の精度で劣りますが、おおよその価格を短期間で提示してくれるのが机上査定の魅力です。
また、机上査定でも不動産会社によっては精度の高い査定をしてくれる場合もあるため、複数社へ依頼して比較するのもおすすめです。「まずは大体の価格を把握したい」「おおよその売却相場を知りたい」と思う方は机上査定で依頼してみましょう。
まだ本格的に売却を検討していない人
まだ本格的に売却を検討していない人にも向いています。机上査定は前述のとおり、家にいながら査定できる「手軽さ」が魅力のひとつです。そのため、本格的に売却を考えていない人や「まずは価格を知りたい」と思う方にピッタリといえます。
また、訪問査定を受けると営業担当者と実際に会うので契約を急かされる可能性もあり、売却検討度が低い段階ではおすすめできません。
このような理由から、売却を本格的に検討していない人は机上査定が向いているといえます。
査定したい物件が自宅から遠方にある人
査定したい物件が自宅から遠方にある人も机上査定が向いています。机上査定であれば、物件条件のみを提示するだけで査定してくれるので物件の場所を問わず依頼できます。
一方で訪問査定の場合だと実際に担当者が物件を訪れる必要があります。そのため、査定対象の家に居なければならず、自宅から遠方の物件の場合は移動の手間や時間がかかり、交通費まで負担しなければなりません。
このような理由から、自宅から遠方にある物件を査定する場合は机上査定の方がよいでしょう。
机上査定に関するよくある質問
机上査定に関するよくある質問をご紹介します。机上査定の依頼を検討している方は参考にしてみてください。
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机上査定と訪問査定では査定額にどれくらいの差が生じるの?
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机上査定の査定額は信用できるの?
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机上査定って意味ないの?
Q:机上査定と訪問査定では査定額にどれくらいの差が生じるの?
A:どちらの査定方法も不動産会社によっては精度が異なるため、一概にどれくらい差が生じるかは断言できません。
それでも、この記事で解説してきたとおり、訪問査定の方が物件の詳細な部分まで査定するので精度が高いです。正確な査定額を知りたい方は訪問査定で依頼するのがよいでしょう。
Q:机上査定の査定額は信用できるの?
A:信用できるとは言い切れません。
机上査定で提示された価格は不動産会社によって異なるため、必ず信用できるとは言い切れません。また、訪問査定よりも精度で劣る特徴もあるため、正確な査定額ではない可能性もあります。
あくまでも参考程度に捉え、複数の査定額を比較しながら売却相場を見極めるのが大切です。
Q:机上査定って意味ないの?
A:机上査定でも意味はあります。
机上査定は訪問査定よりも精度が低いため、「査定しても意味がない」と思う方もいるでしょう。しかし、物件の詳細な部分を考慮していないだけで、所在地や築年数などの条件は考慮されているため、「売却相場を把握する」という目的なら十分に活用できます。
机上査定と訪問査定を使い分けることで、より正確な売却相場を把握できるでしょう。
まとめ
机上査定の仕組みや見られるポイント、訪問査定との違いについて解説しました。
机上査定は、物件の所在地や築年数、間取りなどの条件を不動産会社へ伝えるだけで査定してもらえる簡易的な査定です。家にながら査定依頼から結果の通知まで受け取れるため、手軽に査定できるのが特徴です。
また、訪問査定と違って営業担当者と実際に会う必要もないため、より気軽に査定したい人に向いています。
ただし、物件の細かな特徴や周辺環境までは考慮されないため、訪問査定より査定精度で劣るのがデメリットです。
「まずはおおよその価格を知りたい」「近隣住民に知られずに査定したい」と思う方に向ているので、自分の状況や目的に合わせて選んでみましょう。机上査定と訪問査定で悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考に査定方法を選んでみてください。