マイホームを所有している人の中には「自分の家はいくらで売れるのか」「将来どれくらい価値が下落してしまうのだろうか」と疑問に思っている人が少なくないでしょう。
一戸建てやマンションは築年数が経過するにつれ価格が下がってしまいますが、具体的な減少率を知ることができれば、より具体的な売却計画が立てられます。
この記事では、2,000万円で購入した家がいくらで売却できるのかや、高く売るためのコツについて解説します。マイホームの市場価値や売却する最適なタイミングを知りたい人は、ぜひこの記事を参考にしてください。
この記事の目次
2,000万円で買った家はいくらで売れるのか?
家の価格は築年数が経過するにつれて低くなります。次の表は一戸建てとマンションの市場価格が、築年数の経過でどれだけ下がるのかを示したものです。
一戸建てとマンションの価格が、築年数とともにどれほど下がるのかを詳しくみてみましょう。
一戸建ての価格減少の目安
一戸建ての市場価格は築5年で約30%、築10年で約55%も減少することが上記のグラフでわかります。その後、築20年頃まで急激に下落していきます。これは、木造一戸建ての耐用年数が20〜22年とされているため、耐用年数を超えると価値がないと判断されてしまうからです。
ただし、築年数が経過して価値がないと判断されるのは建物のみで、土地の価格がなくなることはありません。たとえば、建物価格2,000万円、土地価格2,000万円の計4,000万円の一戸建ての場合、築年数が経過して建物価格が0になってしまっても、土地価格2,000万円で売却できることがあります。売却時に土地価格が上昇していれば、さらに高額で売却することも可能でしょう。
マンションの価格減少の目安
マンションの価格減少は一戸建てに比べると緩やかです。新築から1年が経過すると約10%程度下落しますが、その後は築24年で約50%、築35年で約70%の減少です。
マンションの価格減少が緩やかな理由として、構造が鉄筋コンクリート造だということが挙げられます。木造より鉄筋コンクリート造のほうが耐用年数が長いためです。
【耐用年数】
-
木造の住宅用建物:22年
-
鉄筋コンクリート造の住宅用建物:47年
しかし、マンションは建物の価格が大部分を締めているため、40年以上の長い目で見ると一戸建てのほうが土地の価格分高く売れる可能性があります。マイホームの種類と築年数を考慮し、売却のタイミングを見計らうことが重要です。
2,000万円で買った家がいくらで売れるのかを調べる方法4選
マイホームが具体的にいくらで売れるのかを調べる方法には、以下の4つがあります。
-
不動産情報ライブラリ
-
レインズ・マーケット・インフォメーション
-
ポータルサイトや不動産会社のホームページ
-
不動産一括査定
それぞれの調べ方を詳しく解説します。
不動産情報ライブラリ
不動産情報ライブラリは、不動産価格や防災、医療機関や役所など住まいに関する情報を閲覧できるサイトです。不動産情報ライブラリは国土交通省が提供しており、実際に不動産を売買した人へのアンケートをもとにした価格が反映されています。
引用:不動産情報ライブラリ「東京都新宿区2023年第1四半期から2023年第4四半期までの中古マンション価格情報」
不動産情報ライブラリで閲覧できる主な不動産情報は以下のとおりです。
-
所在地
-
最寄駅名と距離
-
取引総額
-
間取り
-
面積
-
築年数
-
構造など
不動産情報ライブラリは、比較したい物件に近い条件を絞り込んで検索することができます。過去の成約事例を参考に家の相場を算出してみてください。
レインズ・マーケット・インフォメーション
レインズ・マーケット・インフォメーションとは、不動産流通機構が運営している不動産情報サイトです。先述した不動産情報ライブラリとは違う情報も掲載されているため、併用すればより多くの成約事例を参考にできるでしょう。
レインズ・マーケット・インフォメーションでは、主に以下の情報を確認できます。
-
最寄駅と距離
-
所在
-
価格
-
専有面積
-
間取り
-
築年数
-
構造
-
成約時期など
トップページからマンションか戸建てのエリアを選択し、条件を絞れば成約事例が表示されます。築年数や建物面積、構造などの順で並び替えることができるため、売却したい物件と類似する成約事例が見つけやすくなっています。
ポータルサイトや不動産会社のホームページ
不動産情報ポータルサイトには、提携している不動産会社の物件情報が掲載されています。また、各不動産会社のホームページにも物件情報が掲載されているため、売却したい物件に近い条件を検索すれば、おおよその相場を調べることができます。
注意点は、物件が売り出されていない場合、相場を調べられないことです。その場合は、各不動産会社のホームページで成約事例が掲載されているケースがあるため、それを参考に相場を調べてみましょう。
不動産一括査定
不動産一括査定とは、戸建やマンションなどの不動産を複数の不動産会社へ同時に査定依頼できるサービスです。各不動産会社に一社ずつ声をかけなくても、不動産一括査定を利用すれば同時にコンタクトが取れるため、査定結果を比較するのに最適と言えます。
不動産一括査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。それぞれの特徴をみてみましょう。
机上査定
机上査定とは、不動産会社の担当者が現地を確認せずに、周辺相場や成約事例、図面などを参考に価格を算出する査定方法です。
机上査定のメリットは、担当者がデータを調べ該当物件の図面を取り揃えれば査定が完了するため、1〜3日で査定結果が出ることです。また、担当者が現地を訪問することがないので、担当者とスケジュールを合わせたり室内を掃除したりする必要がありません。
ただし、机上査定は現地を確認せずに査定を行うため、査定の精度にばらつきが出る可能性があります。査定の精度よりスピードを重視する人に向いている査定方法です。
訪問査定
訪問査定とは、不動産会社の担当者が現地を訪問し、調査をした後に査定結果を算出する方法です。現地に行かなければわからない状況を調べるのに加え、登記簿謄本や周辺相場などのデータを用いて価格を算出する必要があるため、査定結果が出るまでに1週間程度かかることもあります。
訪問査定のメリットは、机上査定ではわからない現地情報を汲み取れるので成約価格に近い査定結果が得られることです。また、訪問査定は担当者と直接話せる機会があるため、売却方法や税金の相談などもできます。
しかし、机上査定に比べ査定結果が出るまでに時間がかかることがデメリットです。訪問査定は、査定結果が出るまでに時間がかかっても、より正確な査定結果が知りたい人に向いている査定方法です。
2,000万円で買った家を高く売る5つの方法
マイホームを高く売却するためには、いくつかのコツを押さえる必要があります。
-
複数の不動産業者に査定依頼をする
-
物件が持つ強みをアピールする
-
売却のタイミングを見極める
-
ゆとりのある売却スケジュールを組む
-
築年数が浅い段階で売却する
ここではそれぞれの方法について詳しく解説します。
複数の不動産業者に査定依頼をする
不動産の査定額は不動産会社によって大きく異なることがあります。そのため、不動産一括査定などを利用して複数の査定結果を参考にすると良いでしょう。
たとえば、不動産一括査定により次のような査定結果が出たとします。
-
A社:2,000万円
-
B社:4,000万円
-
C社:2,500万円
周辺相場が3,000万円の場合、A社かC社に依頼すると早く売れる可能性はありますが、相場より価格が低いため損をしてしまいます。一方、B社に依頼すれば時間がかかっても高く売却できる可能性があるでしょう。
このように、複数の不動産会社に査定依頼をすれば査定価格を比較検討することができ、高い売り出し価格が設定できるでしょう。ただし、周辺相場とかけ離れた売り出し価格に設定してしまうと、売れ残ってしまう可能性があります。あくまで、好条件で売却できる適切な売り出し金額を設定することが重要です。
物件が持つ強みをアピールする
売却する物件の強みを理解し、アピールすることで売却活動に有利に働きます。周辺環境や物件の状態は依頼する不動産会社が調べて宣伝しますが、住み心地や周辺施設の口コミなどは住んでいる人にしかわかりません。
-
駅からの帰り道は夜でも人通りが多くて安心
-
近くの病院の評判が良い
-
子育て世代にとって導線が良い間取り
このように、些細な点でも強みをアピールすることで高く売れる可能性が広がります。
物件の強みは査定時に担当者へ伝えましょう。そうすれば強みを考慮した査定額が提示され、販売活動時にも購入希望者にアピールしてくれます。
売却のタイミングを見極める
マイホームを高く売るための3つ目のコツは、高く売却できるタイミングを見極めることです。市場相場が下落し続けているタイミングで売却をしても損をしてしまう可能性があります。
以下のグラフは、国土交通省が公表している不動産価格の推移を表したものです。
画像引用:国土交通省「不動産価格指数(令和6年2月・第4四半期分)」
この表から、日本の不動産価格が2010年頃から上昇傾向にあることがわかります。とくにマンション価格は2010年の約2倍にまで上昇し、一戸建ても堅調に上昇しています。
しかし、いつまでも日本の不動産価格が上昇し続けるとは限りません。不動産を高く売却できる売り手市場を逃さずに、適切なタイミングで売り出すことがマイホームを高く売るコツだと言えます。
ゆとりのある売却スケジュールを組む
高い金額で売却するためには、余裕を持った売却スケジュールを組むことも重要です。住み替えまで時間に余裕のないスケジュールを組んだ場合、購入希望者に足元をみられて大幅に値下げせざるを得ないケースがあるのです。
一般的に、家の売却には3〜6ヶ月ほどの時間がかかると言われています。そのため「1ヶ月以内に売却しないといけない」などの期限を設けてしまうと、金額を下げてでも売却しなくてはならない状況になります。
ゆとりのある売却スケジュールを組むためには、売却したい時期から逆算することを心がけましょう。たとえば、10月までに売却を済ませたいのであれば、その年の4月までに売却を依頼する不動産会社を選定するなど、準備期間も含めて検討することが重要です。
築年数が浅い段階で売却する
高く売却する5つ目のコツは、できるだけ築年数が浅いうちに売却することです。先述したとおり、家は築年数が経過するほど売却価格が下がっていきます。冒頭のグラフを参考にすると、2,000万円(建物価格1,000万円、土地価格1,000万円)で購入した一戸建ての価格は、以下のように減少していきます。
築年数 |
価格減少率 |
価格 |
1年 |
5% |
1,950万円 |
3年 |
18% |
1,820万円 |
5年 |
30% |
1,700万円 |
7年 |
40% |
1,600万円 |
10年 |
55% |
1,450万円 |
15年 |
75% |
1,250万円 |
20年 |
85% |
1,150万円 |
このように、一戸建ての場合は築20年が経過すると建物の価格がほとんどなくなってしまいます。上記のケースで1,000万円以上の売却を目指すためには、築20年までに売却することをおすすめします。
また、築年数が浅いと設備や内装の痛みが少ないため、購入希望者の印象が良くなります。築年数は売却スピードにも関わってくるので、マイホームの売却を検討し出したのであれば、できるだけ早い行動を取るようにしましょう。
まとめ
この記事では、2,000万円で購入した家がいくらで売れるのかや、高く売却するためのコツを紹介しました。一戸建ての場合、建物の価値は築10年で約50%、築22年でほとんどなくなってしまいます。マンションの価格減少は緩やかですが、価格に含まれている土地の割合が少ないため、築40年以上が経過すると一戸建てのほうが高く売却できることがあります。
購入したマイホームを少しでも高く売却するためには、不動産一括査定を利用して複数の不動産会社に査定依頼をしたり、物件の強みをアピールしたりすることが重要です。また、築年数が浅いうちに売却すれば、建物の価値が残り高く売却できるでしょう。
ここで紹介した内容を参考に将来の家の価値を把握し、より快適な家に住み替えできるような計画を立ててみましょう。