「住宅ローンを残したまま離婚できるのかな」「名義人を変えられて急に借金を背負わされないか不安」と悩んでいませんか。
住宅ローンを残したまま離婚は可能ですが、深く考えず感情だけで意思決定すると数百万円から数千万円損するかもしれません。
「自分は住まないから関係ない」と思っている方も、連帯保証人に入っていたら思わぬ形で債務を負うことになってしまいます。
住宅ローンで離婚後の人生を無駄にしないためにも、ポイントを押さえて合理的な判断が必要です。
そこでこの記事では、住宅ローンを残したまま離婚する際に確認したいポイントを紹介します。
また夫が住む場合・妻が住む場合など、ケース別の確認事項もまとめました。
記事を参考に、離婚で損しないような知識を身につけてください。
この記事の目次
住宅ローンを残したまま離婚するときに確認したいポイント
住宅ローンを残したまま離婚を考えている場合は、感情に任せず慎重な手続きが必要です。
名義人や残債などを確認せずに離婚するとトラブルになりかねないので、下記のポイントをチェックしましょう。
住宅の名義人は誰か
住宅ローンを残したまま離婚するときは、住宅の名義人は誰か確認する必要があります。
法務局のオンライン手続きで不動産の登記簿謄本を取得できるため、下記の手順を参考にしましょう。
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上記の手順で登記簿謄本を取得すると、抵当権の状況なども確認できます。
名義人のチェックは個人で行えるので、気になる方は実際に手続きしてみてください。
住宅の価格はいくらか
次に住宅の価格がいくらなのかのチェックも重要です。
購入時の価格と現在の価格の差分によって、今後の対応が変わってきます。
住宅の価格を調べる際は、不動産一括査定サイトを活用して高値で取引できる会社を見つけるのがおすすめです。
売却しない場合は誰が住むのか明確にする必要があるので、いち早く査定をもらってください。
関連記事:不動産一括査定26サイトを紹介|あなたに合ったサイトが見つかる!
残債はいくら残っているか
離婚の手続きをはじめる前に、残債はいくらあるか確かめましょう。
査定価格を出すときに残債を知っておくと、今後の対応が明確になります。
たとえば査定価格よりも残債が少ない場合は「アンダーローン」となり、売却した際の財産分与を考える必要が出てくるでしょう。
一方査定価格よりも残債が多いと「オーバーローン」となり、誰がどのように支払うのか話し合わなければなりません。
このように残債と住宅の価格によってとるべき対応が変わるため、必ず確認してください。
住宅ローンの契約内容はどのようなものか
住宅ローンを残したまま離婚を考えている際は、住宅ローンの契約内容を確認しましょう。
誰が返済する責任を負っているのか、連帯債務者は誰になっているのか確認する必要があります。
住宅ローンを組んでからしばらく時間が経過すると、契約まわりに無頓着になってしまうことも少なくありません。
取引している金融機関のマイページにログインし、契約内容を確認してみてください。
離婚後住宅ローンが残った状態で住み続ける場合の確認事項
「査定に出したけれども譲渡益は出ないから住み続けようと思う」「引っ越す手間を考えるとここに住み続けたい」などと考えている方もいらっしゃるでしょう。
そこで以下では、住宅ローンが残った状態で住み続ける場合の確認事項を解説します。
オーバーローンの場合
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オーバーローンで住宅に住み続ける場合は、誰が住むのか明確にしましょう。
債務者が住むのか、債務者でない方が住むのかによって、とるべき対応が異なります。
たとえば債務者が夫でそのまま住み続ける場合、ローンは夫が支払うことになるでしょう。
妻は離婚の際に取り交わす決めごとに従い、毎月夫にお金を支払います。
また子どもを養っている場合、養育費と住宅ローンの割合を決めなければなりません。
妻が親権を持つ場合は養育費と住宅ローンを相殺するケースも考えられるので、双方で協議しながら割合を決めてみてください。
アンダーローンの場合
家の売却額からローン残債を差し引いた金額がプラスになる場合は、財産分与の割合を確認しましょう。
実際には売却していないため、想定される利益の半分を家に住まない方に支払うような流れとなります。
個人間でやりとりするとトラブルになるケースもあるので、弁護士や不動産会社を頼りながら割合や支払い方法を決めてください。
離婚後住宅を売却する場合の確認事項
「離婚して今の家に住み続けるのはいやだ」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし郊外に住宅を購入した方など、場合によっては査定価格よりも住宅ローンの残債が多くなり、返済方法について相談が必要になるケースも少なくありません。
そこで以下では、離婚後住宅を売却する際の確認事項をオーバーローン・アンダーローンの2パターンで解説します。
オーバーローンの場合
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離婚後住宅を売却する場合、売却額がローン残債を下回っていたら借金を背負うことになります。
ローンの残債を背負いながら新たな住居の賃料も支払わなければならなくなるため、追加の資金をどのように工面するか確認しましょう。
万が一支払いが困難な場合は、マイカーを手放したり保険を解約したりして固定費を削減する必要が出てくるかもしれません。
上記のような対策をしてもお金を工面できないなら、任意売却を検討しましょう。
任意売却とは金融機関から許可を得て、住宅ローンが残ってしまう住宅を売却する方法です。
信用情報機関に任意売却をした履歴が残ってしまうため、最終手段の位置付けで検討してみてください。
アンダーローンの場合
住宅ローンの譲渡益が残債を上回る場合、手元にお金が残ります。
まずは譲渡益で住宅ローンを完済し、余った金額を2名で分割しましょう。
1円でも高く取引してくれる不動産会社を見つけるためにも、不動産会社一括査定サイトの活用がおすすめです。
複数者から相見積もりをとって、高値で取引してくれる会社を見つけてください。
関連記事:【弁護士監修】離婚時に持ち家は売却すべき?財産分与の方法を解説
夫が住宅に住み続ける場合にすべきこと
離婚後夫が今の住宅に残る場合の注意点を解説します。
数カ月経ってからトラブルに発展しないよう、下記のポイントを確認してみてください。
妻もローンを負担していた場合は金融機関に交渉する
ペアローンなどで妻も債務を負担していた場合は、金融機関に名義変更できないか相談しましょう。
基本的に名義変更には対応できないため、交渉に失敗すればペアローンを解消して借り換え先を見つける必要があります。
借り換えをする際は、手続きに手間がかかったり贈与税が発生したりします。
脱税せずに正しく手続きをするためにも、税理士への相談がおすすめです。
不動産会社や一括査定サイトでは税理士と提携している会社もあるので、税理士のコネクションがない場合は活用してみましょう。
不動産の価値がローン残高よりも多いか確認する
夫が住宅に住み続ける場合は、不動産の価値がローン残高よりも多いか確認しましょう。
現在の価値がローン残高よりも多いと、アンダーローンとなり財産分与の対象となる可能性があります。
たとえば住宅ローンの残債が2,000万円で住宅の価値が3,000万円なら、1,000万円が財産分与の対象となります。
夫が妻へ500万円渡して清算する必要があるため、現在の家に住み続ける場合も査定に出してみましょう。
妻が住宅に住み続ける場合にすべきこと
離婚後妻が住宅に住み続ける場合は、住宅ローンの名義確認や借り換えなどの必要性が出てきます。
妻に安定した収入が必要な可能性もあるので、下記のチェックポイントを確認してみてください。
誰が住宅ローンを支払うのか確認する
妻が住宅に住み続ける場合は、誰が住宅ローンを支払うのか確認しましょう。
一般的に夫が債務者になっているケースが多いので、状況によっては借り換えをしなければなりません。
夫が住宅ローンを払って妻が住む場合は、夫がローンを返済できずに売却するリスクや滞納時の返済リスクと完済まで付き合い続けることになります。
妻に夫相応の安定した収入があるなら、今後のトラブルを避けるためにも借り換えも検討するとよいでしょう。
収入状況や取れるリスクにあわせて、誰が住宅ローンを支払うのか明確にしてください。
金融機関に状況を説明する
妻が住宅に住み続ける場合は、金融機関に「離婚をすること」「債務者は誰で誰が住むのか」を伝えましょう。
住宅ローンの条件には契約者が住むことを条件としているケースも多く、無断で契約者以外の方が住んでいると一括返済を求められる可能性があるからです。
契約条件に入っているにもかかわらず無断で条件を変えてしまうと、契約違反になりかねません。
一括請求をされると払えずに住み続けられなくなる可能性もあるので、必ず金融機関に相談してください。
住宅ローンを残したまま離婚する際の注意点
住宅ローンを残したまま離婚する際は、冷静になって注意事項を確認する必要があります。
「離婚するし家も売却してやる」と感情的に手続きをはじめてしまうと、金銭的に大損する可能性も少なくありません。
以下で紹介する3つの注意点を参考に、滞りなく手続きをすすめてください。
住宅の売却は共有名義人の承諾が必要
住宅をふたりの名義で所有している場合、住宅を売却する際は共有名義人の承諾が必要です。
夫が独断で売却するなど、どちらか片方の意思では売却できないのであらかじめ理解しておきましょう。
夫婦双方の同意を得たら、住宅ローンを組んでいる金融機関に相談します。
共有名義から単独名義に変えられるかどうかは、債務者の収入や金融機関のさじ加減にかかっています。
必ずしも名義変更できるとは限らないと知っておきましょう。
連帯保証人が妻または夫の場合は別の保証人が必要
連帯保証人が妻または夫の場合は、別の保証人を立てる必要があります。
万が一債務者がローンを返済できないと、妻または夫に返済義務が生じてしまうからです。
たとえば債務を背負う方の親族が保証人になるケースが考えられます。
ただし、保証人になる方にも審査がなので、必ずしも変更が認められるとは限りません。
債務者の親族に収入がある方がいれば、保証人を変更できないか金融機関に相談してみてください。
解決しない場合は専門家に相談
離婚前に住宅ローンの話し合いをしている中で「お互いに意見が対立していてらちが開かない」というケースも考えられるでしょう。
このような状況の場合は、税理士や不動産会社に相談してみてください。
離婚や不動産の手続きに詳しい専門家が間に入れば、これまで解決しなかったこともスムーズにすすむかもしれません。
とくに離婚や住宅ローンの契約関係は、法律も関連する重要な問題です。
個人間で解決せず、専門家に頼ってみてください。
住宅ローンを抱えたまま離婚する際によくある質問
住宅ローンを抱えたまま離婚する際によくある質問をまとめました。
このような状況がはじめての方も、先人が抱えていた疑問点を確認して情報収集してみてください。
家のローンを支払っている夫婦が離婚したらどうなる?
基本的にローンの支払い義務は、住宅ローンの名義人にあります。
そのため、住宅ローンを支払っている方がそのまま住み続ける場合は、複雑な手続きは必要ありません。
しかし共同名義だったりローン名義人以外の方が住んだりする場合は、金融機関に相談しながら対応できるか確認する必要があります。
住宅ローンが残ったまま離婚したらどうなる?
住宅ローンの名義人に支払い義務が残ります。
仮に住宅を売却する際も、残債が残る場合は支払い義務が残ると理解しておきましょう。
売却した譲渡益で返済できる場合は、住宅ローンを完済して余った金額を双方で分割します。
住宅ローンの残債など、マイナスの財産は財産分与の対象とはなりません。
夫と妻で残債を分割にはならないので、ローンの名義人は支払い義務を負うと知っておいてください。
まとめ
この記事では、住宅ローンを抱えたまま離婚する際に確認したいポイントや注意点を解説しました。
また夫が住む場合・妻が住む場合など、ケース別の確認事項も紹介しています。
離婚の話し合いをしながら住宅ローンについて考えると、意見がまとまらなくなり感情的になってしまうこともあるでしょう。
しかし心の赴くままに判断すると、数百万円から数千万円損するかもしれません。
記事内で紹介したことを参考に、夫婦間で話し合ってみてください。
ふたりの間で解決しない問題は、税理士や不動産会社などの専門家に相談してみましょう。