「マンションを売りに出したがなかなか売れない」と、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。マンションを売るには3ヵ月程度かかりますが、それ以上の期間売れない場合は何かしらの理由があります。
長期間にわたって売れない場合、対策を講じて進めないとマンションが売れ残ってしまうかもしれません。
本記事では、マンションを売るのに必要な日数や売れないマンションの特徴を解説します。記事の後半では、早く高く売る方法も紹介しますので、最後までご覧ください。
この記事の目次
マンション売却にかかる平均日数は「3ヵ月」
マンションを売却する場合、おおよそ「3ヵ月」かかります。
3ヵ月の根拠としているのは、東日本不動産流通機構が公表している「首都圏の中古マンションがどの程度の日数で売却できたか」を根拠にしています。調査した年数ごとの成約までの平均日数は、次の表のとおりです。
年 |
成約平均日数 |
2013年 |
75.9日 |
2014年 |
70.3日 |
2015年 |
64.9日 |
2016年 |
71.6日 |
2017年 |
75.8日 |
2018年 |
79.4日 |
2019年 |
82.4日 |
2020年 |
87.0日 |
2021年 |
72.1日 |
2022年 |
73.0日 |
2023年 |
82.6日 |
引用:東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年度)」
首都圏でも、中古マンションの売却には64.9日〜87.0日かかっているのがわかります。地方になればなるほど成約までの平均日数は増えると考えられるため、中古マンションを売却するには「3ヵ月」は最低かかると考えたほうがいいでしょう。
マンション売却の流れと必要になる期間
マンションを売却するには多くの手続きがあり、それぞれの手続きにも時間がかかります。
具体的には、次の流れでマンションの売却を進めます。
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マンション売却の準備
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マンション売却での買い手探し
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マンション売却の契約と引渡し
ここからは、マンションの売却に必要な手続きと、手続きに必要な期間について解説します。
マンション売却の準備
マンションを売却するには、売却相場の確認や売却に必要な書類を用意しなければなりません。
売却相場の確認は、不動産会社の査定金額や査定根拠が正しいか判断するのに必要です。不動産会社は、自社のノウハウを利用し査定額を計算するため、査定する不動産会社によって査定額が異なります。まれに査定をきちんとおこなわず、売却の依頼をもらうためだけに高値査定をする不動産会社がいるため注意しなければなりません。
売却相場の確認は、国土交通省が運営するサイト「不動産情報ライブラリ」を活用するといいでしょう。不動産情報ライブラリには、不動産の成約データや、相場の参考になる「公示価格」の確認が可能です。売却する予定の不動産に似た特徴の成約データが見つかれば、おおよその相場がわかります。
また、不動産売却をする際には、一戸建て・土地・マンション共通で次の書類が必要になります。
書類名など |
内容 |
身分証明書 (運転免許証や有効期間内のパスポートなど) |
・本人確認に必要 |
実印 |
・名義人の実印 ・共有不動産の場合は共有者全員の実印が必要 |
印鑑証明書 |
・発行3ヵ月以内のもので共有者全員分が必要 |
住民票 |
・登記上の住所と売主の現住所が違うときに必要 |
登記済書(登記識別情報・権利証) |
・所有権移転登記時に必要 |
固定資産税納税通知書 |
・税額確認や所有権移転登記時に必要 |
上記の書類のほかにも、売却する不動産の種類によってはさらに別の書類が必要になります。必要になる書類は、準備する時期が売却よりも後になるものもあります。何をいつ用意したらいいかは、不動産会社に確認しておくといいでしょう。
なお、マンションの売却準備は人によって異なるものの、1ヵ月~3ヵ月程度かかります。人によっては親族から売却の許可を取得したり、相続登記をおこなったりしなければならないからです。マンションを売却したい時期が決まっている人は、スケージュール管理をおこないながら進めていきましょう。
マンション売却での買い手探し
マンション売却の準備をおこなって査定を受けたら、不動産会社と媒介契約を締結します。
不動産売買における媒介契約とは、不動産会社が売主と買主を引きあわせから不動産の売却まで手伝うという契約です。媒介契約を締結したら、不動産会社が買い手を探し始めます。
広告活動や顧客の掘り起こしなどをおこなって探しますが、買い手がすぐ見つかるケースは多くありません。前述したように、売りに出してから売買契約まで「約3ヵ月」かかると考えておきましょう。
なお、購入希望者を発見したら「内覧(内見)」をおこないます。内覧とは、買い手が不動産の内部や敷地を確認する作業です。買い手は内覧で不動産購入の決断をするケースが多く、非常に大切な事柄といえます。
マンション売却の契約と引渡し
買い手が内覧をおこなって購入申込書を提出してきたら、次に不動産売買の条件調整をおこないましょう。
購入の申込みを受ける際には、買い手から値引き交渉や条件の交渉をされるケースがあります。交渉を重ねて納得できる条件が調整できたら、ようやく不動産売買契約の締結に移れます。
不動産売買契約では、買主と売主は売買金額や引渡しの時期、取引条件など多くの項目を確認したうえで記名押印しなければなりません。交渉した内容や売却する条件が、話していた内容と契約の内容と相違ないか確認しましょう。
不動産売買契約の締結後、契約書に記載された引渡し期日までにマンションを買主へ所有権移転します。マンションの引渡しは不動産売買契約の締結からおおよそ1ヵ月~2ヵ月かかります。
不動産売却準備に「1ヵ月~3ヵ月程度」、売却活動に「3ヵ月」、契約から引渡しまでに「1ヵ月~2ヵ月」、合計「5ヵ月~8ヵ月」程度の時間は必要というわけです。
3ヵ月経過しても売れないマンションの特徴
3ヵ月経過しても売れない場合、売れない特徴をもっているマンションかもしれません。
長期間にわたって売れないマンションの特徴は、次のとおりです。
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相場より高く売り出している
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管理費・修繕積立金が高い
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室内や設備が古い
売れない特徴をもっているマンションは、なぜ売れないのかみていきましょう。
相場より高く売り出している
売れないマンションの多くは、相場より高く売り出しているのが原因です。
マンションには相場があり、販売価格が相場からかけ離れているとなかなか売れません。買い手は相場よりも高い買い物をしないよう、マンションの相場を調べてから物件探しを始めます。そのため、相場より高い販売価格をつけているマンションは、内覧どころか問い合わせすらない状況が続いてしまいます。
売主は、誰しも高くマンションを売りたいと考えるかもしれません。しかし、販売が長期間にわたると焦ってしまい、最終的には相場よりも低くなるような値段交渉を受けて売却してしまいます。長く販売して安く売るくらいなら、相場で売り出して早めに売却するほうがいいでしょう。
管理費・修繕積立金が高い
管理費・修繕積立金が高いマンションは、ランニングコストの負担が重く、買い手に敬遠されてしまいます。
買い手は住宅ローンを借りてマンションを購入するケースが多く、返済とともに管理費・修繕積立金を払わなければなりません。また、それに加えて固定資産税や都市計画税の納税も発生してしまいます。
適切な販売価格だったとしても、ランニングコストが負担で生活に影響を与えるような管理費・修繕積立金だと売却に時間がかかります。
売主は管理費・修繕積立金の金額を決定できないため、相場より少し安く売却する、もしくはあらかじめ長期間の販売スケジュールを立てるといいでしょう。管理費・修繕積立金の高さがどの程度、売却期間に影響しそうか知りたい場合、不動産会社に確認するのをおすすめします。
室内や設備が古い
室内や設備が古く、すぐに故障してしまうおそれがあるとマンションはなかなか売れません。
買い手はマンション購入に対して多額のお金を使うため、購入後に発生する費用面でのリスクを抑えようとします。とくに設備の故障についてはいつ発生するのかわからず、交換費用が不明確であり、買い手は古いものを嫌がります。
また、室内や設備が古いことでマンションの雰囲気が悪くなるのも売れない原因のひとつです。本来、雰囲気は査定に大きく反映される項目ではありません。しかし、買い手は不動産のプロではなく、マンションのもつ雰囲気を判断材料としてしまうケースが多くあります。
室内や設備が古いと売却の時期に大きく影響してしまうため、簡易的なリフォームをおこなっておく、内覧時には清掃や整理整頓して雰囲気をよくするなどの対策が必要です。
売れないマンションを早く高く売るための6つの方法
3ヵ月以上売れないマンションでも、次のように早く高く売る方法が5つあります。
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適正な価格で再度売りに出す
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室内を清掃してから内覧に対応する
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簡易的なリフォームをする
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不動産会社を変更する
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時期を改める
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不動産業者の買取りを利用する
マンションが売れないからといって安く売却してしまうのはもったいないため、少しでも早く高く売る方法を実践していきましょう。
1.適正な価格で再度売りに出す
売り出しているマンションが相場より高い場合、適正な価格に調整して販売しましょう。
相場よりも高いマンションは、買い手からの問い合わせも少なくなかなか売れません。しかし、買い手は物件情報をよく確認しているため、価格を調整したとわかると「購入のチャンスかもしれない」と問い合わせをしてくれる可能性が高まります。
なお、販売価格を調整する場合、できる限り不動産会社の査定をし直してもらうようにしましょう。販売開始から時間が経過していると、相場が変わっているおそれもあります。価格を調整したにもかかわらず、間違った値付けをしてしまうと、またマンションが売れなくなってしまうかもしれません。
2.室内を清掃してから内覧に対応する
内覧の希望が入ったときには、室内を清掃・整理整頓してから対応しましょう。
買い手は内覧する際、室内・設備の状態やマンションの雰囲気を確認しにきます。室内を清掃・整理整頓しておけばマンションの雰囲気がよくなり、買い手の購入意欲を高められます。
もし簡単な清掃では室内がキレイにならない場合、「ハウスクリーニング」の実施を検討しましょう。ハウスクリーニングをおこなえば、清掃用の薬剤を利用しプロが室内をキレイにしてくれます。
ただし、ハウスクリーニングには費用がかかるため、実行する前には相見積もりを取得するのがおすすめです。清掃会社によってハウスクリーニング費用は異なるため、同じ清掃内容で一番安い会社に依頼するといいでしょう。
3.簡易的なリフォームをする
ハウスクリーニングでも取れない汚れがある、設備が故障しているなどの場合、簡易的なリフォームの実施を検討しましょう。
リフォームは室内の雰囲気を大きく改善してくれるうえに、設備の故障リスクを低下させてくれます。雰囲気をよくすれば買い手の購入意欲が高まり、故障リスクが低下すれば安心してマンションを購入できます。
リフォームは大きな効果を生むものの、ハウスクリーニングに比べて高額な費用が必要な点には注意しなければなりません。壁紙の張り替えだけでも費用がかかるため、簡易的リフォームを実行する場合、不動産会社にどの程度のリフォームをすればいいのか確認してから実行しましょう。
4.不動産会社を変更する
適正な価格で販売しているマンションが売れない場合、不動産会社の変更も視野に入れましょう。
売れる条件が整っていたとしても、不動産会社の販売戦略が買い手のニーズにあっていないとなかなかマンションは売れません。たとえば、ファミリータイプのマンションの広告をオフィス街に実施しても効果は低くなります。このようなケースは極端な例ですが、販売戦略は買い手の発見速度に大きく影響を与えます。
不動産会社から送られてくる販売活動報告書の内容に疑問や不信感があるなら、不動産会社を変更してみるといいでしょう。媒介契約の期間を待ち、更新しないようにすれば変更は可能です。
5.売却の時期を改める
マンションがなかなか売れない場合、売却の時期を改めるのもひとつの方法です。
新年度を迎える時期に入居したい買い手は多く、3月~4月に引渡しできるマンションは売却しやすい傾向にあります。3月~4月に引渡しをおこなおうとする場合、2月くらいには売買契約を締結しなければならず、遅くとも10月~11月には売りに出してないと間に合いません。
なかなかマンションが売れない場合、10月~11月に売り出して「4月入居に間に合う」とアピールするといいでしょう。
ただし、新居の完成とともに引越しするような条件がある場合、売却時期を改めるのは困難です。売却時期を改められるのか、スケジュール管理をしっかりとおこなってから販売時期を変更しましょう。
6.不動産業者の買取りを利用する
早く現金化したいのにもかかわらずマンションが売れない場合、不動産業者の買取りの利用を検討しましょう。
買取りなら、室内や設備の状態が悪くても、管理費・修繕積立金が高くてもすぐに売却できます。不動産業者は買取ったマンションがいくらで売れるか計算しており、逆算した金額で買取りしてくれます。つまり、買取はリフォーム費用や不動産業者の利益が考慮されるぶん、仲介で売却するよりも買取金額は低くなると考えておきましょう。
買取り金額の計算は不動産業者によって異なるため、高い金額を提示してくれるところを探すのがポイントです。不動産業者から買取りの相見積もりを取得すれば簡単に比較できます。
まとめ
マンションは売るのに「3ヵ月」はかかると考え、売却のスケジュールを組みましょう。
たとえ1~2ヵ月でも物件が売れないとそれだけで心配になる人もいるかもしれませんが、ほとんどの人が3ヵ月程度かけてマンションを売却しています。
ただし、3ヵ月以上経過しても売却できない場合、早く高く売るための対策を講じる必要があります。成約の平均日数を超えてもマンションが売れないのには、必ず理由があるからです。
マンションを相場よりも安く売却してしまわないよう、余裕のあるスケジュールを立て、早く高く売るための対策まで理解して満足いく不動産売却を実現しましょう。