「家計が自転車操業で住宅ローンを滞納しそう」「誰にも相談できないし滞納したときの全体像がわからなくて不安」と悩んでいるのではないでしょうか。
住宅ローンを滞納すると信用情報が傷つき、最悪の場合家が競売にかけられてしまいます。
その後も残債が残っていた場合、家を失って借金だけ背負う形になってしまい、生活が破綻しかねません。
本記事では、住宅ローンを滞納したときの流れや対処法を紹介します。
今の家に住み続けたい方は、記事を参考に対策を講じてみてください。
この記事の目次
住宅ローンを滞納すると遅延損害金が発生して返済を求められる
住宅ローンを滞納すると、遅延損害金が発生してこれまで以上の金額の返済を求められます。
遅延損害金の一般的な相場は、遅延している元金に対して14.0%程度です。
1年を365日として日割り計算で算出されるため、1日でも早く滞納している分の金額を払わなければなりません。
「どうしても翌月の給料が入るまで返済できない」という方は、30日分の遅延損害金を加算して支払うことになります。
2カ月・3カ月と滞納すると信用情報が傷ついたり催告書が届いたりするので、一刻も早く遅れている住宅ローンを返済してください。
住宅ローンを滞納してから競売にかけられるまでの流れ
「住宅ローンを滞納してしまった」「早く返済したいけれども給料日まで元手がないから不安」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
そこで以下では、住宅ローンを滞納してから競売にかけられるまでの流れを解説します。
万が一返済できないときも焦らずに対応できるよう、全体像を掴んでみてください。
1カ月〜2カ月:請求書が届きブラックリストに載る
住宅ローンを滞納してから1カ月から2カ月ごろは、延滞している分の請求書が届きます。
加えて住宅ローンを滞納していると信用情報機関に履歴が残り、いわゆるブラックリストに入ると理解しておきましょう。
信用情報機関のJICCによると、延滞・滞納などの事故情報は契約継続中または契約終了後5年以内は保管されるといわれています。
一度住宅ローンを滞納すると、マイカーローンやスマホのローンなどの審査に悪影響を及ぼすと理解してください。
参照元:JICC|JICCに登録されている信用情報は、どのくらいの期間登録されるのですか?
3カ月〜4カ月:催告書が届き期限の利益が喪失する
住宅ローンを滞納してから3カ月から4カ月程度で催告書が届き、期限の利益が喪失します。
期限の利益とは、借入に期限が設けられることで生じる利益のことです。
私たちが数千万円のローンを分割で返済できているのは、民法によって期限の利益が守られているからです。
住宅ローンの返済が滞ると期限の利益が喪失し、債権者が残債の一括返済を求められるようになります。
期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。
引用元:民法|第百三十六条
仮に一括返済できる経済状況ではなかったとしても、債権者は法令に基づいて返済を求めているのだと理解してください。
5カ月〜6カ月:住宅ローン残高の一括返済を求められる
期限の利益が喪失すると、住宅ローン残高の一括返済を求められます。
保証会社が代理で返済していない場合は、金融機関に一括で返済しなければなりません。
この状況で一括返済をできるケースはほとんどないでしょう。
今後は任意売却をするか競売にかけて、所有していた不動産を監禁する流れとなります。
7カ月〜8カ月:返済相手が銀行から保証会社に変わる
保証会社を介して契約していた場合、一括返済できずに滞納から7カ月・8カ月程度経過すると、返済相手が銀行から保証会社に変わります。
住宅ローンの残債を保証会社が代理で返済しているためです。
保証会社が残債を金融機関に返済すると、保証会社から債務者宛に代位弁済通知が届きます。
この通知が届いたあとは、保証会社へローン残債を返済すると理解しておきましょう。
9カ月以降:物件が競売にかけられる
ここまでのタイミングで返済できないと、物件が差し押さえられて競売にかけられます。
競売が決まると「競売決定通知」が届き、裁判官が物件の現況を調査します。
物件の権利関係や占有情報を調査し、入札価格を決めて物件が売りに出されると知っておきましょう。
なお、この時点でローンの借主にはは物件に関する権利がないため、競売を阻止したくてもいかようにもできません。
金融機関の承認を得ない限り物件の売却はできず、債権者によって制限されてしまうと理解してください。
物件の買い手が見つかると、売主から買主へ所有権が移転され、抵当権抹消の登記手続きを行います。
ここまでの手順をもって、住宅ローンを滞納してから競売にかけて売却するまでの手順は完了です。
住宅ローン滞納を防ぐためにやるべきこと
住宅ローンを滞納しそうなくらい家計が自転車操業の方は、1日でも早く家計を改善しなければなりません。
以下で紹介することを参考に、1万円でも手元に残るお金を増やしてみてください。
車・保険・通信などの固定費を見直す
住宅ローンの滞納を防ぐために、車・保険・通信などの固定費を見直してみましょう。
固定費は毎月一定額出ていくお金なので、見直せば年間数万円以上の効果が見込めるからです。
たとえば保険に毎月3万円かけているとしましょう。
この金額を1万円まで削減できれば、月2万円、年間24万円の固定費削減となります。
ほかにも車や通信費などを見直せば、月5万円以上の節約も夢ではありません。
削った固定費を住宅ローンの返済に充てて、滞納しないように対策してください。
娯楽費・食費・交際費などの変動費を見直す
住宅ローン滞納を防ぐために、固定費の次は娯楽費・食費・交際費などの変動費も見直しましょう。
とくに多趣味の方や付き合いが多い方は、変動費を見直すだけで家計改善を見込めるかもしれません。
たとえばゴルフや外食に毎週3万円使っているなら、回数を1回減らすだけで月3万円の家計改善が見込めます。
これだけでも年間36万円の節約で、住宅ローン返済の大きな元手となるでしょう。
入ってきた分だけお金を使ってしまう方は、娯楽費・食費・交際費などの変動費を見直してみてください。
住宅ローンを借り換える
ローンの金利が高く負担に感じている方は、住宅ローンの借り換えを検討しましょう。
金利が低くなったり返済総額が少なくなったりする可能性があるため、住宅ローン滞納を防げるかもしれません。
ただし住宅ローンの借り換えは、定額または定率で手数料がかかるケースが一般的です。
手数料分の預貯金がないと借り換えられないので、今現在の手持ちと照らし合わせながら利用可否を決めてください。
金融機関に相談する
「住宅ローンを払えないかも」と気付いたタイミングで金融機関に相談しましょう。
支払い猶予や返済計画の見直しを受け入れてもらえる可能性があるからです。
金融機関に相談する際は、各金融機関の専用サイトや窓口から行えます。
無断で滞納すると、借入先からの心象も悪くしかねません。
事情があってどうしても滞納しそうな場合は、危機感を覚えたタイミングですぐ相談してください。
任意売却で競売を避ける
住宅ローンを支払えない場合は、任意売却も選択肢のひとつとなります。
任意売却とは住宅ローンの借入金を返済できない場合に、金融機関の合意を得て返済する方法です。
金融機関から任意売却が許可されれば、住宅ローン完済前に抵当権を抹消できます。
一般的に任意売却しても、借入金が残ってしまうケースがほとんどです。
任意売却を活用したあとに残債がある場合は、売却後の返済計画を立てながら分割で返済すると理解しておきましょう。
住宅ローン滞納は何回まで大丈夫なの?
住宅ローン滞納は1度でもやってはいけません。
1度や2度では表面的な影響はないかもしれませんが、信用情報は確実に傷ついています。
しかし「1カ月分だけ滞納しそう」「1度の滞納で物件を差し押さえられてしまわないか不安」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
「今の住宅に住み続けられるか」という観点でいうなら、住宅ローン滞納の限度は3カ月が大きな基準となります。
催告書が届いて期限の利益が喪失すると、一括返済を求められて今の住宅には住み続けられなくなるでしょう。
住宅ローンの滞納でよくある質問
住宅ローンを滞納しそうな方によくある質問をまとめました。
誰にも相談できずに悩んでいる方は、下記を参考に疑問を解消してみてください。
住宅ローンは何カ月で差し押さえられますか?
住宅が差し押さえられるまでにかかる期間は6カ月程度です。
裁判所から競売開始決定通知書が届き、不動産を差し押さえたとの通知が入ります。
なお期間についてはあくまでも目安として参考にしてみてください。
住宅ローンの滞納は何回までなら大丈夫でしょうか?
1度も滞納してはいけません。
住宅ローンを滞納すると、信用情報機関に滞納している履歴が載ります。
物件の差し押さえ以外にもローンを組めないなどのデメリットもあるので、毎月期日までに支払ってください。
住宅ローンを3カ月滞納したらどうなりますか?
住宅ローンを3カ月滞納すると、催告書が届いて期限の利益が消失します。
その後一括返済を求められて、応じられないようであれば競売にかけるための手続きが始まります。
住宅ローンを差し押さえられた後はどうなりますか?
住宅ローンを差し押さえられたあとは、競売にかけられます。
競売にかけて売り手が決まったら、そこで得た資金を債権者に返済します。
差し押さえられた家はいつまで住めますか?
最短2カ月ほどで退去させられる可能性があります。
手続きの進捗によって誤差があるため、ひとつの目安として参考にしてください。
まとめ
この記事では、住宅ローンを滞納したときの流れや対処法を解説しました。
住宅ローンを滞納すると、返済を求められて最終的には競売にかけられます。
3カ月程度滞納すると一括返済を求められる可能性もあるので、1度たりとも滞納しないように気をつけてください。
「家計が自転車操業で滞納しそう」と悩んでいるなら固定費・変動費の見直しや借り換えなどを検討してみましょう。
信用情報を傷つけないよう、先回りでの対策をおすすめします。