「不動産の個人売買のメリットやデメリットを知りたい」
「不動産の個人売買が上手くいくのか、自信を持てない」
不動産の個人売買において、このような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、不動産の個人売買におけるメリットやデメリット、注意点を詳しく解説します。
本記事を読めば、不動産の個人売買を成功させるために必要なポイントを網羅できるはずです。
不動産の個人売買における不安を解消し、物件を売却させたい方は、ぜひ最後までご一読ください。
この記事の目次
不動産の個人売買はおこなうべきなのか
結論、不動産の個人売買は全面的におすすめできるものではありません。
なぜなら、不動産の売却は、不動産や法律などに関する知識や経験がなければ、買い手と何らかのトラブルが起こる可能性があるためです。
不動産購入は金額が大きいものであり、買い手にとっても人生において大きな買い物といえます。
購入金額の認識の相違や物件の欠陥といったトラブルの渦中に陥った場合、感情論が入り混じった口論になるケースも多いのです。
しかし、不動産の個人売買には仲介手数料がかからない点や販売価格を自分で決められるなどのメリットも存在します。
不動産に関する専門知識を有する方であれば、不動産の個人売買を進めても良いかもしれません。
不動産の個人売買における4つのメリット
まずは、不動産の個人売買におけるメリットを解説します。具体的には4つのメリットが存在します。
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仲介手数料がかからない
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自分の裁量で売却を進められる
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売買のスケジュール調整がしやすい
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知人への売却ならスピーディーに進めやすい
具体的に生じるメリットを理解したうえで、不動産の個人売買を進めるべきなのかを検討しましょう。
仲介手数料がかからない
不動産の個人売買は、不動産会社を通さないため、仲介手数料がかかりません。
不動産業者へ物件売買を依頼した場合、売買代金の2~3%程度ほどの仲介手数料がかかるといわれています。
たとえば、業者を経由して3,000万円の物件を売却する場合、90万円~120万円程度の仲介手数料が必要です。
個人売買であれば、仲介手数料をかけることなく、物件の売値がそのままあなたの懐へ入ってくるのです。
自分の裁量で売却を進められる
個人売買であれば、物件の販売方法や価格設定、契約条件などを自分で自由に決められます。
不動産業者経由で物件を売却する際は、業者の意見にある程度合わせなければなりません。
中には、契約のイニシアティブを握ろうとする業者も存在するのです。
業者からの要望などに左右されることなく、自分の希望に沿った条件で物件を売り出したい場合は、個人売買の方が合っているといえるでしょう。
売買のスケジュール調整がしやすい
不動産の個人売買においては、あなたが買主と直接やり取りをするため、売買のスケジュールを調整しやすいというメリットがあります。
不動産会社を通す場合、担当者のスケジュールに合わせる必要がありますし、日程が合わなかったり日時変更が急遽起こったりする恐れもあります。
その点でいうと、個人売買においては、売り手側へ直接連絡してスケジュールを調整できるため、契約から取引完了までがスムーズに進みやすい傾向です。
知人への売却ならスピーディーに進めやすい
知人へ物件を売る場合は、価格交渉や契約内容などの話し合いがスムーズに進んでいく可能性があります。
お互いが顔見知りであり、さらにお互いの事情などを理解しているため、面倒なトラブルにもなりにくいでしょう。
ただし、契約書に何らかの不備が見つかった場合や、物件の販売価格に対する認識に齟齬があった場合は、感情論込みの口論やトラブルにつながる恐れがあります。
万が一のトラブルを防ぐためにも、「友人だから大丈夫」という甘えや過信は捨て、れっきとしたビジネスの一環として取引を進めるべきです。
不動産の個人売買における4つのデメリット
続いて、不動産の個人売買における4つのデメリットを解説します。具体的には以下のとおりです。
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買い手を見つけづらい
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価格の設定が簡単ではない
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金融機関のローン審査に通らない
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買主とのトラブルに発展しやすい
個人売買においても、不動産の取引は大きな金額が動くものだからこそ、生じるデメリットも十分に考慮すべきです。一つひとつみていきましょう。
買い手を見つけづらい
個人売買の場合、物件の買い手を自分自身で見つけなければなりません。
個人売買について何の知識や経験がない場合、買い手を見つけるまでに時間がかかったり、買い手が見つからない可能性もゼロではありません。
買い手を見つける際は、不動産情報サイトやSNSなどでの告知や、友人・知人の中で不動産の購入を考えている方を探す方法などがおすすめです。
なお、不動産会社に依頼する方法もありですが、仲介手数料が発生する可能性があるため注意が必要です。
価格の設定が簡単ではない
物件の売却価格を設定するのは、不動産に関する知識や経験がない方にとって簡単ではありません。
個人売買をおこなう際は、不動産市場の動向や類似物件の価格などを自分で調査する必要があります。
物件の販売価格を設定する際は、以下3つの方法を取り入れるのがおすすめです。
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不動産鑑定士に査定を依頼する
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複数の不動産会社に査定を依頼して、相場価格を把握する
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不動産情報サイトなどで、類似物件の販売価格を参考にする
なお、不動産鑑定士へ依頼する場合は、個人売買の場合でも料金がかかる点を頭に入れておいてください。
金融機関のローン審査に通らない
買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関のローン審査に通らなければなりません。
個人売買においては、売り手側で買い手に対してローンの斡旋をおこなえないため、買主が審査に通らなければ、物件の売買が中止になってしまうのです。
このような事態を防ぐためには、ローンに対応してくれる不動産会社に協力を依頼するか、買い手にローンの仮審査を事前に受けてもらうなどの対策をおすすめします。
買主とのトラブルに発展しやすい
個人売買では、売買契約書の作成や重要事項説明などを自分で進めていく必要があります。
法的な知識を持たずに契約書を作成した場合、書面に何らかの漏れや不備が生まれる可能性があるため、買い手とのトラブルに発展する恐れがあります。
不動産売買における契約書は、買い手と売り手の取引を正式に締結するために極めて重要な書類です。
契約後のトラブルを防ぐためにも、契約書の作成は弁護士や司法書士などの専門家へ依頼する方法が賢明です。
不動産を個人売買する際の具体的な6ステップ
続いて、不動産を個人売買する場合に踏むべき6つのステップについて解説します。
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【ステップ1】物件の相場を調べる
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【ステップ2】必要書類を準備する
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【ステップ3】売却価格を設定する
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【ステップ4】買い手と価格交渉する
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【ステップ5】売買契約書を作成する
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【ステップ6】物件を買主へ引き渡す
これらの手順に沿って動いていけば、不動産の売買はスムーズかつ滞りなく進むでしょう。順を追って解説します。
【ステップ1】物件の相場を調べる
まずは、売却したい物件の相場を調べるステップが第一スタートです。
近隣で類似条件の物件がいくらで売買されたのかを参考に、適正な売却価格を設定しましょう。
【ステップ2】必要書類を準備する
続いて、不動産売買で必要となる以下の書類を準備しましょう。
なお、不動産を個人売買する際に必要となる書類は以下のとおりです。
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売買契約書
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登記事項証明書
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権利証
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公図
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住民票
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固定資産税評価額証明証
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顔写真付きの身分証明書
個人売買をする方針が決まったら、なるべく早めにこれらの書類を準備しておくと安心です。
【ステップ3】売却価格を設定する
売買に出す物件の売値を決める際は、相場に基づいた価格を設定しましょう。
物件が高額すぎる場合、買い手が見つかりませんし、逆に価格が安すぎれば、あなたが損をしてしまいます。
価格を設定する際は、物件の周辺エリアで打ち出されている価格相場を調べる方法がオーソドックスです。
【ステップ4】買い手と価格交渉する
無事に物件の買い手が見つかったら、買い手との価格交渉を進めましょう。
価格交渉においては、買い手と売り手のどちらかにのみ有利な状態は避けるべきです。
双方が納得できる価格で合意できるように、冷静に交渉を進めていく工夫が重要となります。
【ステップ5】売買契約書を作成する
次に、売却価格や引き渡し条件などを記載した売買契約書を作成する必要があります。
なお、必要に応じて弁護士や司法書士に相談しながら作成する方法がおすすめです。
不動産や法律のプロのアドバイスに則って契約書を作成すれば、後々のトラブルを防げます。
【ステップ6】物件を買主へ引き渡す
買主と契約書を締結後、物件を買い手へ引き渡しましょう。
なお、物件の引き渡しと同時に、名義変更などの手続きも進めていく必要があります。
不動産の個人売買における4つの注意点
続いて、不動産の個人売買において注意しておくべき4つのポイントを解説します。
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専門性が必要となる
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知人相手の場合は交渉しにくい
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買主とのトラブルが起きやすい
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契約不適合責任のリスクが上がる
これらの注意点を十分に押さえておけば、物件売買におけるトラブルを回避できるため、十分に理解を深めましょう。
専門性が必要となる
個人で不動産売買を進める際は、法律や税金に関する知識、契約書の作成、交渉などを自力で進めなければなりません。
これらの知識や経験が素人のままで個人売買を進めると、トラブルに発展してしまう可能性があります。
個人売買にまつわる書籍や情報サイトで勉強するのも大切ですが、弁護士や司法書士、不動産仲介業者などに相談するのもひとつの手です。
早く物件売買を進めたい方は、法律や不動産のプロから力を借りる方がスピーディーに進められるでしょう。
知人相手の場合は交渉しにくい
人によっては、契約相手が友人・知人の場合、相手に遠慮してしまい、契約内容の希望などを伝えづらい場合があります。
たとえば、本来は高く売れる物件であっても、相手の懐事情や関係性を気にするあまり、交渉を切り出せず、結果的に売り手が損をしてしまうケースもあるのです。
このような事態を防ぐためにも、売却する物件の価格相場は事前に固めておきましょう。
契約書においても、弁護士や司法書士に相談して雛形を作成しておけば、双方にとって不利益が被らない内容で契約を進められます。
買主とのトラブルが起きやすい
個人売買では、売買価格や契約条件などをめぐって、買い手と揉めてしまうケースがあります。
特に、契約書を締結した後で何らかの不備や認識違いが発生した場合、お互いの主張が平行線になりやすく、契約の進みが停滞してしまう恐れもあります。
買い手とのトラブルを防ぐためにも、無事に物件の売買が完了するまでは、電話やLINE、メールなどで密にコミュニケーションを取るべきです。
また、双方で契約を交わす際は、契約書に穴が空くくらい、内容にしっかりと目を通す意識づけが必要です。
契約不適合責任のリスクが上がる
個人売買では、売主に「契約不適合責任」が負わされるリスクがあります。
契約不適合責任とは、売買した物件に何らかの瑕疵(結果)があった場合、売り手が買い手に対して背負う責任です。
このようなリスクを防ぐためにも、物件を不動産鑑定士などに査定してもらう対策をおすすめします。
それと同時に、弁護士や司法書士にも相談したうえで、契約書へ瑕疵担保責任に関する条項を明確に記載しておきましょう。
不動産の個人売買を賢く進めるためのポイント
最後に、不動産の個人売買を賢く進めていくためのポイントを解説します。具体的には4つ存在します。
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売却前に必ず相場を把握する
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家族への売却時は贈与税に注意する
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司法書士に依頼してサポートを受ける
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個人売買専門の不動産会社へ依頼する
これらのポイントをしっかりと押さえれば、満足のいくかたちで物件を売り出せるはずです。詳しくみていきましょう。
売却前に必ず相場を把握する
不動産売却における最も重要なポイントは、物件相場の正しい把握です。
物件相場を何も知らずに売却してしまったら、あなた自身が損をしてしまう可能性があります。
不動産の相場を把握する際は、以下のツールを利用する方法がおすすめです。
上記のツールを利用すれば、類似物件の取引価格を調べられるため、物件相場を確実に把握できます。
家族への売却時は贈与税に注意する
身内に対して不動産を売却する場合、贈与税がかかる可能性があります。
贈与税は、人から財産を受け取った場合にかかる税金であり、財産の受け取り側に支払い義務が発生します。
なお、贈与税が生じるラインは、受け取った財産の総額が年間110万円以上である場合です。
また、贈与税は、一度に多くの財産を手渡すと相手に高額な税金が発生するため、注意が必要です。
複数回に分けて贈与する方法や住宅取得等資金贈与制度を利用すれば、贈与税の節税につながります。
司法書士に依頼してサポートを受ける
個人売買の場合、契約書の作成や登記手続きなどのさまざまな手続きを自分で進める必要があります。
これらの手続きは専門知識が必要であるため、できれば司法書士へサポートを依頼するとよいでしょう。
なお、司法書士は、法的なアドバイス以外にも書類作成なども代行してくれるため、安心して手続きを進められます。
個人売買専門の不動産会社へ依頼する
個人売買にどうしても不安がある方は、個人売買専門の不動産会社へ依頼する方法もおすすめです。
個人売買専門の不動産会社は、個人売買に関する知識や経験が豊富であり、契約書の作成や買い手探し、登記手続きなどを幅広くサポートしてくれます。
なお、業者を選定する際は、自分と相性のよい担当者かどうかを判断基準のひとつに置くのがポイントです。
どの会社へ依頼するかは、複数の業者と打ち合わせの機会を設け、担当者の人柄や経験・知識、フィーリングなどを考慮しましょう。
不動産の個人売買における重要ポイントを網羅し、納得のいくかたちで取引を進めよう
本記事では、不動産の個人売買におけるメリットやデメリット、注意点について詳しく解説しました。
最後に本記事のおさらいもふまえて、不動産を個人売買で進める場合のメリット・デメリットをまとめます。
不動産を個人売買するメリット
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仲介手数料がかからない
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自由に物件の売却活動ができる
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知人との取引はスムーズに進めやすい
不動産を個人売買するメリット
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売却価格の設定が難しい
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買い手とのトラブルに発展しやすい
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金融機関のローン審査を斡旋できない
これらのメリット・デメリットを十分に比較・検討したうえで、不動産の個人売買を進めるべきかを考えてみてください。