マンションの売却を検討する中で「最近のマンション相場はどうなっているの?」「マンションの相場は不動産会社しか調べられないの?」という疑問を持つことがあるでしょう。

各エリアのマンション相場や市場の動向は、自分でも調べることができます。マンション相場がわかれば、複数の査定結果の中から適切な価格を選択でき、高い金額で売却できる可能性が高まるでしょう。

この記事では、近年のマンション市場の動向や主要都市の売却相場、自分で相場を調べる方法などを解説します。マンションをできるだけ高く売るために、自分でも相場を調べたいという方は本記事を参考にしてみてください。

上昇傾向が続いているマンション相場

主要エリアのマンション相場をみる前に、近年のマンション相場を確認しましょう。以下は、国土交通省が毎月公表している不動産価格指数を表したグラフです。

引用:国土交通省「不動産価格指数(住宅)(令和6年1月分・季節調整値)」

不動産価格指数とは、その名の通り不動産価格の推移を示す数値です。このグラフが示す通り、マンション相場は2013年頃から右肩上がりで上昇しているのがわかります。2010年平均を100とした場合、各種別の数値は以下のようになります。

不動産価格指数(令和6年1月)※2010年平均:100

  • マンション:197.9

  • 戸建住宅:118.2

  • 住宅地:115.2

2010年と比較すると、とくにマンション相場は2倍近くにまで価格が上昇しています。近年の市場を考慮すると、2024年5月現在はマンションの売りどきだと考えて良いでしょう。

主要都市のマンション売却相場

各主要都市のマンション売却相場は以下のとおりです。

【2024年1月マンションの成約状況】

都市

1平米当たりの単価

平均成約価格

東京都

100.31万円

6,018万円

神奈川県

58.28万円

3,973万円

埼玉県

43.42万円

2,981万円

千葉県

39.38万円

2,779万円

北海道

29.31万円

2,270万円

愛知県

35.25万円

2,651万円

大阪府

47.91万円

3,173万円

福岡県

39.67万円

2,598万円

参考:東日本不動産流通機構「2024(令和6)年1月度月例速報マーケットウォッチ[全国版] 」

主要都市別でマンション売却相場を見ると、東京都の成約価格が群を抜いて高く、その後に神奈川県、大阪府と続きます。マンションの売却を検討する際は、各都道府県の平均成約価格や1平米当たりの単価を把握しておくと、売出価格の設定に役立つでしょう。

マンションの売却相場を調べる方法3選

マンションを適切な価格で売り出すためには、査定を依頼する前に自身で相場を調べることが重要です。マンションの売却価格は、以下のサイトをチェックすれば自分で調べることができます。

  • 不動産情報ライブラリ

  • レインズ・マーケット・インフォメーション

  • ポータルサイトや不動産会社のホームページ

それぞれの方法を詳しく解説します。

不動産情報ライブラリ

不動産情報ライブラリとは国土交通省が提供している、不動産価格や防災、役所や医療機関など、不動産に関するあらゆる情報を閲覧できるサイトです。不動産情報ライブラリで閲覧できる主なマンション情報は以下のとおりです。

  • 所在地

  • 最寄駅名と距離

  • 取引総額

  • 間取り

  • 面積

  • 築年数

  • 構造など

引用:不動産情報ライブラリ「大手町駅(東京都)2023年第1四半期から2023年第4四半期までの価格情報」

不動産情報ライブラリでは、実際に不動産売買を行った人へのアンケート結果をもとにした情報を閲覧できます。間取りや専有面積、築年数などで絞り込み検索ができるため、売却を検討しているマンションに近い条件と見比べれば、適切な価格を調べられるでしょう。

レインズ・マーケット・インフォメーション

レインズ・マーケット・インフォメーションは、不動産流通機構が運営している不動産情報サイトです。レインズ・マーケット・インフォメーションでは、主に以下の情報が確認できます。

  • 最寄駅と距離

  • 所在

  • 価格

  • 専有面積

  • 間取り

  • 築年数

  • 構造

  • 成約時期など

引用:レインズ・マーケット・インフォメーション「神奈川県川崎市のマンション成約状況」

検索結果から各項目の並び替えができるため、参考にしたい情報が簡単に調べられます。さらに、成約価格と築年数の関係を表したグラフも確認できるため、売却したいマンションの築年数からおおよその価格帯を知ることができます。

引用:レインズ・マーケット・インフォメーション「神奈川県川崎市のマンション成約状況」

不動産情報ライブラリとは違う情報が掲載されていることもあるため、レインズ・マーケット・インフォメーションと不動産情報ライブラリを併用すれば、より多くの成約情報の中から売却相場を調べられるでしょう。

ポータルサイトや不動産会社のホームページ

各不動産会社が運営するホームページや不動産情報ポータルサイトには、マンションの販売情報が掲載されています。売却したいマンションに近いエリアや条件で絞り込めば、ある程度の相場がわかるでしょう。

ただし、調べたいエリアでマンションが売り出されていないことがあります。その場合は、先述したレインズ・マーケット・インフォメーションや不動産情報ライブラリを活用するか、各不動産会社が独自で提供している相場情報サービスをチェックしてみましょう。

マンションを高く売却する4つのポイント

マンション相場を自分で調べた上で、ここから紹介するポイントを参考にすればマンション売却の成功率が高まるでしょう。

  • スケジュールにゆとりを持つ

  • 内覧の準備を万全にする

  • 買い手が付きやすい時期を選ぶ

  • 不動産一括査定サイトを利用する

それぞれのポイントを詳しく解説します。

スケジュールにゆとりを持つ

マンションを高く売るための1つ目のポイントは、余裕を持ったスケジュールで販売活動を行うことです。余裕がないスケジュールで販売活動を行うと、売却に焦りが出てしまい相場より低い価格で成約せざるを得ない状況に陥ってしまいます。

東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」によると、2023年の中古マンションの登録から成約までの平均期間は約80日という結果でした。

引用:東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」

さらに売却の準備期間を含めると、成約まで半年以上かかるケースもあります。

「人気のマンションだから早く売れるだろう」などと過信せず、できれば引越し希望時期の1年前くらいから動き出すことをおすすめします。そうすることで、焦って値引きをする必要がなくなり気持ちに余裕を持った状態で販売活動に臨めるでしょう。

内覧の準備を万全にする

購入希望者の内覧に備えて万全の準備を行うことも、マンションを高く売却するためのポイントです。

たとえば、内覧の際に部屋にゴミが散らかっていたり、ホコリが溜まったりしていると、購入意欲が冷めてしまうおそれがあります。そのような事態を避けるためにも、内覧の前はできるだけ部屋をきれいにしておくことを意識しましょう。また、マンションの管理規約やパンフレットを見せられるようにしておくと、購入希望者に安心感を与えられます。

マンションの販売活動を不動産会社に任せきりにするのではなく、物件のイメージアップのために自分でもできる限りの対策を考えることが重要です。

買い手が付きやすい時期を選ぶ

マンション売却には買い手が付きやすい時期があるため、そのシーズンを狙えば高く売却できる可能性が上がるでしょう。

具体的には、3月や4月の春先が最も取引が盛んになり、成約率が高い傾向にあります。また、企業の人事異動の時期を控えた9月や10月も買い手が付きやすい時期です。一方、12月や8月は市場の閑散期と言われています。

最も成約率が高い3月にタイミングを合わせるためには、11月頃までに査定依頼を済ませることがおすすめです。成約までに3ヶ月以上かかるケースが多いため、需要の高い時期を狙って余裕のあるスケジュールで販売活動を行いましょう。

不動産一括査定サイトを利用する

マンションを高く売るためには、不動産一括査定サイトを利用して複数社に査定依頼をかけましょう。マンションは不動産会社によって査定金額にばらつきが出るため、できるだけ多くの査定結果を得ることが重要なのです。

場合によっては、査定額に300万円以上の差が出ることもあります。それは、不動産会社によって審査基準に違いがあるためです。それぞれが示す査定結果や根拠を比較して、適切な査定額で売り出すようにしましょう。さまざま不動産会社から話を聞くことで、思いもよらない価格でマンションが売却できるかもしれません。

マンション売却に適したタイミング

マンションを高く売却するためには、査定方法や価格以外にも重要なポイントがあります。それは以下のタイミングで売りに出すことです。

  • マンション市場が上昇している

  • 保有期間が5年以上である

  • 競合物件が高い金額で売り出している

  • 大規模修繕が行われた後である

マンション売却に適したタイミングについて詳しく解説します。

マンション市場が上昇している

マンション市場には、価格が上昇している時期と下降している時期があるため、市場が上昇している時期に合わせて販売活動を行えば、マンションを高く売却できるでしょう。

特に、近年は継続的にマンション市場が上昇しており、これまでにない高値で売却できる可能性があります。ただし、金利変動などの金融政策の変更で市場が一気に下降することも考えられ、いつまでもこのトレンドが続く保証はありません。

そのため、マンション売却を検討し始めた際は、できるだけ早く査定依頼を行うことが重要です。市場の変化を注視し、少しでも高い金額で売却できるタイミングを狙いましょう。

保有期間が5年以上である

マンションの保有期間が5年を超えたタイミングで売却すれば、手取り額が増える可能性があります。保有期間が5年を超えると、売却益に対して発生する所得税と住民税を低く抑えられるためです。

マンション売却でかかる税率は、保有期間によって以下のような違いがあります。

 

所得税

住民税

短期譲渡所得

(保有期間5年以下)

30.63%

9%

長期譲渡所得

(保有期間5年超)

15.315%

5%

たとえば、マンション売却によって300万円の利益が出た場合を考えてみましょう。

保有期間が5年以下の計算式は以下のとおりです。

300万円✕(30.63%+9%)=118.89万円

 

一方、保有期間5年を超える場合は以下の計算式になります。

300万円✕(15.315%+5%)=60.945万円

 

このように、保有期間の違いで50万円以上の差が生まれます。マンションは築年数が浅いほど高く売れる傾向にありますが、最終的な手取りを考えると急いで売却しないほうが良いケースもあります。負担する税金のことを考えた上でマンション売却を検討すれば、より多くの資金が手元に残るでしょう。

競合物件が高い金額で売り出している

同じマンション内の物件や、条件が近い物件が高い金額で売りに出されている場合に、売却を優位に進めることができます。競合物件が相場より低い価格で売り出されているタイミングだと、それに合わせて価格を下げなければいけないため、成約価格が低くなる可能性があるのです。

たとえば、競合物件が「5,000万円で売りに出ているタイミング」と「4,000万円で売りに出ているタイミング」を比較した場合、5,000万円で売りに出ているタイミングで販売を開始するほうが、高い金額を設定できるでしょう。

競合物件の価格は、不動産ポータルサイトや不動産会社独自のホームページでチェックできます。マンションを売却する際は築年数や過去の成約事例をチェックすることに加え、現在売りに出ている競合物件の動向に注目することも重要です。

大規模修繕が行われた後である

マンションの大規模修繕工事が行われた後も、高い金額で売却しやすいタイミングと言えます。大規模修繕工事が行われると外壁などの共用部分が整備され、購入希望者に良い印象を与えられます。

大規模修繕工事が行われる時期はマンションによって異なりますが、10〜15年周期が一般的です。大規模修繕工事では主に以下の工事が行われます。

  • 外壁工事

  • コンクリート補修

  • 防水工事

  • 配管工事

  • 鉄部分の塗装

  • バリアフリー構築

大規模修繕工事が終われば、しばらくは工事による制限がなくなる点も購入希望者にとってメリットとなります。大規模修繕の実施が決まっている場合は工事のスケジュールを把握し、購入希望者にとって一番良いタイミングで売りに出すことを意識しましょう。

まとめ

この記事では、近年のマンション市場の動向や主要都市の売却相場、高く売却するためのポイントについて解説しました。近年は継続的にマンション相場が上昇しており、中でも東京都のマンション相場が群を抜いて高い傾向にあります。また、自分でマンション相場を調べるためには、不動産情報ライブラリやレインズ・マーケット・インフォメーション、ポータルサイトなどをチェックすると良いでしょう。

マンションを高く売却するためには、不動産会社に販売活動を丸投げせず自分でできることを考えて実行することが重要です。本記事を参考に、マンション相場をしっかりと把握し納得のマンション売却を実現しましょう。