不動産売買するとなった場合、どの不動産会社に依頼するかは非常に大切です。依頼する会社や担当者によって不動産の購入あるいは売却の成否は決まるといってもよいくらいです。

ただ、大手から中小までさまざまな不動産会社があるなかで、一般の方が信頼できる不動産会社を選ぶことは簡単ではありません。

この記事では、信託銀行系の不動産会社の1つである三井住友トラスト不動産について解説します。銀行のネットワークを活用しながら都市部を中心に店舗展開する三井住友としての評判・口コミから利用できるサービスまで紹介しますので是非参考にしてください。

この記事に記載の情報は2024年05月27日時点のものです

三井住友トラスト不動産の特徴・仲介実績

三井住友トラスト不動産は、2012年にすみしん不動産と中央三井信不動産が統合して誕生した、三井住友信託銀行グループの不動産会社です。メガバンクの信託銀行系の不動産会社には、他に三菱UFJ不動産販売、みずほ不動産販売があります。

三井住友トラスト不動産の特徴

三井住友トラスト不動産は、居住用から投資用、事業用の不動産売買に関わるサービスを、三井住友信託銀行グループのネットワークを活用しながら幅広く提供しています。

 三井住友トラスト不動産の基本情報

三井住友トラスト不動産の基本情報は以下の通りです(2024年4月1日時点)。

商号

三井住友トラスト不動産株主総会

本社所在地

東京都千代田区神田錦町三丁目番地11 NMF竹橋ビル

設立年月

1986年1月

資本金

3億円(授権資本4億円)

社員数

1,228名

事業内容

不動産売買・交換の仲介およびこれに関連するコンサルティング業務

主要株主

三井住友信託銀行株式会社、三井住友トラスト・カード株式会社、三井住友トラスト・システム&サービス株式会社

営業所

72拠点(首都圏・近畿圏・名古屋地区・福岡地区・広島地区・岡山地区)

 営業エリアは都市部が中心

広いエリアでサービスを提供する三井住友トラスト不動産ですが、店舗は都市部を中心に展開しています。全72店舗のうち約半数は首都圏にあり、地方においても愛知県、福岡県、広島県と大都市が中心となっています(下表参照)。



 

首都圏

東京都

20店舗

神奈川県

9店舗

埼玉県

3店舗

千葉県

3店舗

中部圏

愛知県

7店舗



 

近畿圏

大阪府

12店舗

兵庫県

4店舗

京都府

3店舗

奈良県

1店舗

 

中国地方

広島県

2店舗

岡山県

1店舗

 

九州地方

福岡県

6店舗

熊本県

1店舗

 

 宅地建物取引士の有資格者が多い

不動産売買において、売買契約締結前の重要事項説明を行うために必要な資格が宅地建物取引士です。不動産の購入、売却を依頼する際に担当者の評価の1つになるものですが、三井住友トラスト不動産では営業職の99%が宅地建物取引士の資格を有しています(2023年11月末時点)。

担当者の知識やスキルに影響を受けやすい不動産売買では、ほぼすべての担当者が宅地建物取引士を取得している三井住友トラスト不動産の信頼性は高いといえるでしょう。

参照元:三井住友トラスト不動産|よくある質問

仲介実績~不動産流通事業者の取扱高では第5位~

下表は、不動産流通事業者の上位10社の仲介実績を取扱高ベースで一覧にしたものです。

 

会社名

取扱高(百万円)

1

三井不動産リアルティグループ

1,918,415

2

東急リバブル

1,821,310

3

住友不動産販売

1,396,127

4

野村不動産ソリューションズ

1,060,313

5

三井住友トラスト不動産

566,112

6

三菱UFJ不動産販売

499,669

7

みずほ不動産販売

451,618

8

オープンハウス

363,324

9

積水ハウス不動産不グループ

262,605

10

東宝ハウスグループ

251,720

 

三井住友トラスト不動産は、取扱高ベースで不動産会社のなかで第5位となっており、他の信託系不動産会社(三菱UFJ、みずほ)と比べても豊富な仲介実績といえます。このデータは2023年のものですが、2022年、2021年とも取扱高ベースで5位と安定した仲介実績をあげ続けています。

なお、仲介件数ベースで三井住友トラスト不動産は、8,128件と不動産会社中第6位の実績です。

参照元:公益社団法人不動産流通センター|2023不動産業統計集(9月期改訂)

三井住友トラスト不動産の評判・口コミ

仲介実績も豊富な三井トラスト不動産ですが、その評判は口コミはどうなのでしょうか。

三井住友トラスト不動産の良い評判・口コミ

まず良い評判・口コミから紹介します。

迅速、丁寧な対応で無事売却できました

売却は初めての事でわからない事や理解が追いつかない事もありましたが、その都度お電話した際は、丁寧にお答え頂き安心して売却を進める事が出来ました。契約時と決済時の書類等で多少のトラブルもありましたが、迅速にご対応頂き事なきを得まして、対応の早さや確認につきまして安心する事が出来ました。この度は無事に売却出来ました事大変ありがとうございました。

課題が多いなか無事取引を完了することができました

複数見積りをとったうち、担当者さんの第一印象で即決しました。課題が多く、引き渡しまでがなかなかスムーズにいかない不安もありましたが、気持ちに寄り添い、ご尽力頂いたおかげで無事に取引を完了する事が出来ました。お任せして本当に良かったです。ありがとうございました。

売却後の確定申告まで親身に対応してもらえました

初めての相続した土地家屋の売却で色々と手続についてや売却見込み、家屋解体費用等都度丁寧に説明してもらい進めてもらえました。また売却後の確定申告の手続きの相談まで親身に対応してもらい助かりました。

引用:三井住友トラスト不動産|お客様の声

三井住友トラスト不動産の悪い評判・口コミ

一方で悪い口コミにはどのようなものがあるでしょうか。

もう少し高く売れたのではないか

もう少し高く売却出来たのではないかという心残りがある。三井住友トラスト不動産しか依頼していなかったので、そのような気持ちがどうしてもぬぐいきれない。

 

説明資料に間違いがあった

物件の説明資料のなかに2箇所ほど間違いがあった(ガスと災害ハザードマップ上の扱い)。ネット上で調べれば分かることなので、ちゃんとチェックすればすぐ分かったと思います。

日程調整などの希望を事前に確認して欲しい

契約時の日程調整など細かく希望を事前に確認して欲しい

説明不足があり不安になった

物件の細かい点の説明不足があり、不安になった。少し対応が雑と感じた。物件の設備など理解していない点。

引用:オリコン顧客満足度ランキング

引用:おうちの語り部

三井住友トラスト不動産のサービス

ここでは三井住友トラスト不動産が不動産売買の仲介業務とあわせて行うサービスについて紹介します。それぞれのサービスの詳しい利用条件については、三井住友トラスト不動産のホームページなどで確認ください。

建物状況調査サービス

三井住友トラスト不動産では、売主、買主向けに建物状況調査サービス、瑕疵保証サービスを提供しています。建物状況調査は、建築士などの専門家が、中古住宅の劣化、不具合箇所を目視を中心とした非破壊検査で調査することです。

建物状況調査を実施することにより建物の現況を踏まえた取引が可能となり、売主あるいは買主にそれぞれにとってメリットがあります。

また、建物状況調査の結果によって、引渡し後も建物の構造耐力上主要な部分や雨漏れなどの箇所について1年間建物の瑕疵について保証をつけることができます。

住宅設備修理サポート

住宅設備修理サポートは、給湯器やガスコンロなど一定の住宅設備の故障を無償で修理できるサービスです。このサービスを利用することで、売主は住宅設備の保証がついている物件として差別化できる一方、買主は中古住宅で生じうる設備関連の不具合について安心して購入しやすくなります。

サポートを利用するための条件はありますが、修理限度額は1物件あたり500万円、修理対象期間は引渡しから6ヶ月、保証料は三井住友トラスト不動産が負担します。

土地測量調査サービス

土地測量調査サービスは、土地の現況を確認して売却活動に必要な仮測量図を作成するサービスです。三井住友トラスト不動産が調査費用を負担します。

土地の現況や越境状況などがあれば事前に問題点を把握したうえで取引できるため安心して手続きを進めることができます。

空き家トータルサポート

空き家トータルサポートは、空き家を所有する方の悩みや相談に応えるサービスです。空き家を「所有していると処分方法や維持管理についてさまざまな悩みを抱えることがあります。

  • 相続した家を売却すべきか賃貸すべきか迷っている?

  • 遠方にある空き家の管理をどうすればいい?

  • 相続した空き家を相続税の支払いまでに売却したい

  • 長期間住んでいなかった家をリフォームしたい

  • 相続人が多すぎて権利関係が複雑でどうすべき分からない など

こういった悩みや希望に対して、提携する弁護士や税理士へ相談しながら、空き家の活用、処分、管理方法について相談することができます。

売却サポート(選択制)

売却サポートは、担当スタッフが売却活動に効果的と判断した場合に次の4つのサービスから1つを選択して提供するサービスです。

  • 水回りクリーニング

  • リペア(補修)サービス

  • 空室マンションクリーニング

  • VRステージング(CGで家具などを配置しモデルルームのように演出するサービス)

物件の状況に応じたサービスを受けられることで、早期、高値での売却がしやすくなります。

参考:三井住友トラスト不動産|三井住友トラスト不動産の売却活動・サポートサービス

三井住友トラスト不動産の仲介手数料

三井住友トラスト不動産の仲介手数料は、一般的な不動産会社と同様に法律で定められた正規手数料となっています。仲介手数料(上限)は以下のように定められています。

売買金額

仲介手数料(上限)

400万円超え

売買価格×3%+6万円+税

200万円超え400万円以下

売買価格×4%+2万円+税

200万円以下

売買価格×5%+税

上記は仲介手数料の上限金額であり、不動産事業者によっては割引している場合もあります。

なお、三井住友信託銀行の利用者が三井住友トラスト不動産の売買仲介を利用した場合、不動産契約時点のステージに応じて仲介手数料の割引を受けられる場合があります。

三井住友信託銀行では、預貯金など取引口座の残高と住宅ローンなどの借入額に応じて、「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」3つのステージを設けています。このうち、「ゴールドステージ」「プラチナステージ」では仲介手数料の割引制度があります。

三井住友信託銀行のステージ

ゴールドステージ

プラチナステージ

お取引残高

1,000万円以上3,000万円未満

3,000万円以上

割引率

10%

20%

引用:三井住友信託銀行|不動産仲介手数料割引

三井住友トラスト不動産がおすすめできる人

三井住友トラスト不動産会社は、居住用から投資・事業物件まで取扱いがあり、マンション、戸建て関係なく大手ブランドのもと安心して取引をすすめたい人にはおすすめです。

三井住友信託銀行グループのネットワークを活用して、住宅ローンから相続や贈与などにまつわる不動産の相談にも柔軟に対応できる点は強みといえます。年間8,000件以上の仲介実績を誇り、ほぼ全営業員が宅地建物取引士資格を有している点も安心材料です。

仲介手数料の割引などはあまり期待できない反面、建物状況調査など売買仲介に不随するさまざまなサービスを活用することで、高値売却を目指すことも可能でしょう。

ただし、三井住友トラスト不動産の店舗は都市部が中心となっているため、不動産が所在する地域がサポートをしっかりと受けられる地域であるかを慎重に判断することが大切です。

不動産売買においては地域の状況に精通していることも大切ですし、担当者の動きによって不動産売買の成否は大きく左右されるからです。

売却における不動産会社選びのポイント

最後に、売却における不動産会社選びのポイントについて解説します。

査定価格の根拠を確認する

不動産会社を決めるにあたって一括査定サイトを利用する人は多くいますが、その際、査定金額だけで判断するのではなく、査定価格の根拠をしっかり確認することがポイントです。

複数の不動産会社が提示する査定価格の根拠を比較することで、適正な相場を知り、納得できる売り出し価格を決めることができます。高すぎる査定価格から設定した売り出し価格では、売り出し当初の販売機会を失い、結果的に販売期間が長期化し価格変更を繰り返すことになるリスクもあることを踏まえておきましょう。

不動産会社の実績・販売方法などを比較する

査定価格の根拠とあわせて、不動産会社の販売実績や販売方法を比較することも大切です。特に、販売地域での取扱い実績や経験がどの程度あるか、担当者の実績や経験も含めて判断することが必要になります。

その地域の生活や環境に精通している会社や担当者ほど、不動産の広告で訴求すべき内容は的確になりますし、内覧からの成約率も上がりやすいでしょう。

まとめ

三井住友トラスト不動産は、販売実績や売買仲介時のサポートに加え、三井住友信託銀行グループのネットワークを活用できる点でも信頼できる不動産会社といえます。店舗展開するエリアで不動産売買するのであれば、依頼先として積極的に検討してよいでしょう。

ただ、良い口コミも多い反面、担当者などによって悪い口コミも見受けられます。不動産売却では、不動産会社の信頼性や提供するサービスも大切ですが、担当者の経験や信頼も欠かせません。

そのため、不動産売却においては複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格や販売方法に加え、担当者の経験や実績、相性を比較して判断するようにしましょう。