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譲渡損失(じょうとそんしつ)とは、土地や建物といった不動産や株式、ゴルフ会員権などの資産を売却することで損失(赤字)になってしまったことを指します。反対に売却することで所得(黒字)になった場合、譲渡所得と呼び所得税や住民税の課税の対象となります。
譲渡所得についてはこちら下記の記事を是非に御覧ください。
【関連記事】
▶不動産売却にかかる譲渡所得税の計算方法とその他の税金の知識
不動産を売却したのにもかかわらず逆に損失が発生してしまった場合、その損失分を他の土地や建物の譲渡所得(土地や建物、株式などを譲渡して得た所得のこと)から控除することができます。
万が一、控除してもなくならない損失があった場合、事業所得や給与所得などの他の所得と計算してマイナス分を差し引く行為(損益通算という)ができないので、通算しきれなかった金額を翌年以降に繰り越して計算する「繰越控除」という手続きを行う必要があります。
しかし、この繰越控除を行うためには「一定の要件」を満たすことと、「確定申告」をする必要がありますので、今回は不動産売却における譲渡損失で受けられる控除や特例の概要と、どのくらい還付されるのか、例をあげてご紹介させていただきます。
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この記事の目次
譲渡損失が出た場合に利用できる特例と利用条件
冒頭のとおり、譲渡損失とは資産を売却した際に売り主が赤字になってしまうことです。売却したにも関わらず損失とはどこか腑に落ちない気もしますが、確定申告によって損失があったことを申告すると、一定の条件を満たした上で特例を受けることができます。
この特例によって他の所得税を節税し、還付を受けることが出来るというメリットがありますので、まずはあなたが売却した不動産において特例が使えるかどうか確認しましょう。
なお、譲渡損失の際の特例は下記の2つがあります。
住宅ローンがまだ残っている場合の特例
住宅ローンの残高よりも、売却額のほうが低い場合に譲渡損失が発生した場合、同年の給与所得または事業所得から譲渡損失額を差し引くことができるという特例で、【特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例】と呼ばれています。
損失と所得(利益)を合わせることを損益通算と呼び、この損益通算をおこなった上で控除しきれなかった(損失が残ってしまう)場合、その翌年から3年間控除をおこなうことができます。
この年を跨いで控除することを繰越控除(くりこしこうじょ)といいます。
参考:国税庁 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
繰越控除の特例が適用できる条件
残念ながら、単純に住宅ローンが残っていればよいというわけではなく、この特例を使うには、下記の条件を満たさなくてはいけません。
- 自分が住んでいるマイホーム(譲渡資産)を譲渡すること
- 以前住んでいたマイホームの場合、住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡すること
- 譲渡所得の基因となる不動産等の貸付が含まれ、親族等への譲渡は除かれる
- 譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホーム(譲渡資産)で日本国内にあるものの譲渡であること
- 譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること
- マイホームの譲渡価額が上記6の住宅ローンの残高を下回っていること
(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件全てに当てはまることが必要。
A. 敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること |
B.その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること |
C.家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと |
参考:住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
はじめから土地しか持っていなかった場合はこの特例を受けることはできませんが、上記のようにその土地に建物を持っていたけれど取り壊した、という状況であれば特例を受けられるかもしれません。
特例を適用できない場合
上記の適用条件を満たしていても、特例を使えない場合があります。【特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例】には先にもご説明させていただきましたように、所得から損失を差し引く損益通算と3年間の繰越控除があります。
損益通算はできた上で繰越控除が受けられない条件と、そもそも損益通算もできない条件の2つをお伝えいたします。
繰越控除を受けられない事由
所得の合計額が3,000万円を越えている場合
損益通算も繰越控除も受けられない事由
- 売却したときの前年から3年前までの年で、他のマイホームの譲渡損失において損益通算の特例を受けている場合
- 売却年もしくは3年前までに【マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例】を受けている場合
- 売主と買主の関係が親子などの特別な関係である場合
- 売却年の前年、前々年に譲渡所得の3000万円の特例や長期譲渡所得の軽減税率などの譲渡所得に関する特例を受けている場合
- 参考:住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
マイホームを買い換えた場合の特例
こちらは売却後、新しく「居住用の建物」を購入したときの特例で、【マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例】と呼ばれています。建てたものが居住用でなければ、この特例を受けることはできませんので注意が必要です。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例と同じく、一定の基準を満たした上で、損益通算をおこなうことができ、控除しきれなかった部分については繰越控除をすることができます。
参考:マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
特例を受ける条件
- 自身のマイホーム(居住用建物)を譲渡する。現行ではなく「以前」住んでいた建物でもよく、その場合は住まなくなって3年目の12月31日までに売却した場合に限ります。
- 国内での譲渡で、売却した年の1月1日時点での所有期間が5年超のものであること
- 売却した年の前年1月1日~12月31日の間で国内の50㎡以上の居住用建物を取得すること
- 買い換えた不動産を取得年の翌年12月31日までの間に居住のために使うこと
- 買い換えた不動産の取得年12月31日時点で、その不動産の償還期間に10年以上のローンがあること
参考:マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
なお、更地の状態でも以下の条件をすべて満たしていればこの特例を受けられます。
- 建物を取り壊してから譲渡までの間に、他のことに利用していないこと
- 土地の所有期間が、建物を取り壊した年の1月1日時点において5年を超過していること
- 譲渡の契約が建物を取り壊してから1年以内に締結されていて、かつ住まなくなってから3年目の12月31日までに売却していなければならない
繰越控除の特例を受けられない場合
- 売却した土地面積が500㎡を越える場合に、500㎡までは適用され、超過する部分は適用されない
- 所得の合計金額が3,000万円を越える年には適用できない(越えている年と越えていない年があれば、越えている年だけ適用できない)
- 償還期間10年以上のローンが繰越控除の適用する年の時点でない場合
損益通算も繰越控除も受けられない事由
- 売却したときの前年から3年前までの年で、他のマイホームの譲渡損失において損益通算の特例を受けている場合
- 売却年もしくは3年前までに【マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例】を受けている場合
- 売主と買主の関係が親子などの特別な関係である場合
- 売却年の前年、前々年に譲渡所得の3000万円の特例や長期譲渡所得の軽減税率などの譲渡所得に関する特例を受けている場合
- 参考:マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
次に、それぞれの特例を受けるための手続きについて解説していきます。
住宅ローンがまだ残っている場合の手続き
この特例を受ける場合はどのような手続きになり、どのような書類が必要になるでしょうか。
損益通算をする場合に必要な書類
損益通算で必要な書類は下記のとおりです。
- 売却したマイホームに関する以下の書類
- 所有期間5年超を証明する登記事項証明書や売買契約書の写しなどの書類
- 売買契約日の前日におけるそのマイホームの住宅ローンの残高証明書
- 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)
- 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の対象となる金額の計算書
これらを確定申告書に添付する必要があります。確定申告書の様式にはAとBがありますが、ここではBを使用します。確定申告書で必要なもの下記のとおりです。
この確定申告書と先にあげた書類を一緒に提出することで損益通算の特例を受けることができます。なお、売買契約日の前日時点で、売却するマイホームと売主の住所が異なる場合において下記の書類が必要になります。
- 戸籍の附票の写し
- 削除された戸籍の附票の写し
特例を適用するために留意すべきこと
この特例の特徴はどのようなことでしょうか。下記を御覧ください。
- 平成29年6月現在において、平成27年12月31日までに売却されたものである
- 新しく居住用財産を買う必要がない
- 損益通算及び繰り越し控除できる限度額は住宅ローンの残高から売却価額を引いた額
- 住宅ローンが売却日の前日までに10年以上の償還期間がないといけない
注意したい点として、不動産の売却価額が不動産売却の前日までの住宅ローンの残高よりも低いとき、損益通算と繰越控除できる譲渡損失の額に上限が設けられます。
住宅ローンの残高>不動産の売却価額のときの譲渡損失の価額は下記のように算出します。
損益通算と繰越控除の譲渡損失の限度額=住宅ローンの残高-売却価額
限度額の計算例
8年前に5,000万円で不動産を購入しました。住宅ローンが3,500万円残っている状態で、この不動産を3,000万円で売却したとき、損益通算と繰越控除において受けることのできる譲渡損失の限度額はいくらか?
譲渡損失の限度額=住宅ローンの残高-売却価額なので
3,500万-3,000万=500万
譲渡損失の限度額は500万円
損益通算後に繰越控除をするときに必要なこと
- 損益通算のとき、期限内に必要書類をすべて提出できていること
- 繰越控除を受ける年度分、毎回確定申告書を出す
マイホームを買い換えた場合の特例の手続き
次に、マイホームを買換えた場合の特例手続きについて見ていきましょう。
損益通算で必要な書類
- 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書
- 居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
売却不動産に関する書類
売却不動産が下記のどれかに該当することがわかる書類
1 | 国内にある自身の住む建物 |
2 | 自身が過去に住んでいた(住まなくなってから3年目の12月31日まで売却している必要) |
3 | 1または2の建物もしくはその建物の敷地や借地権 |
4 | 1の建物が災害によって失われたとき、その建物を所有し続けていればその年の1月1日時点において所有期間が5年を超過しているはずの建物の敷地や借地権 |
- 所有期間が5年超であること、および面積がわかる、登記事項証明書や売買契約書の写しなどの書類
- 売却時に住民票に記載されている住所と売却不動産の所在地が異なっている場合は、上記の1~4に該当するものであることがわかる戸籍の附票の写しなど
新しく購入する不動産に関する書類
- 年末における住宅借入金などの残高証明書
- 確定申告書の提出日までに買い換え不動産に住んでいない場合、使用開始予定日を書いたもの
- 売買契約書の写しや登記事項証明書など、建物の床面積と購入日がわかるもの
特例を適用するために留意すべきこと
この買い換え特例にはどのような特徴があるでしょうか。
- 平成29年6月現在において、平成29年12月31日までに売却されたものであること
- 居住用財産へ買い換える必要がある。居住用以外はダメ
- 限度額は損失額
- 売却不動産のローンはなくていいが買い換えた不動産に10年以上の償還期間が必要
譲渡損失できる金額の計算は下記のとおり
譲渡損失の金額=売却した不動産の購入価額-(売却不動産を購入したときの諸経費+売却不動産の売却価額)
限度額の計算例
7年前に4,000万円で不動産を購入し、内諸経費が200万でした。3,000万円で売却した場合の譲渡損失はいくらでしょう?
譲渡損失の金額=売却した不動産の購入価額-(売却不動産を購入したときの諸経費+売却不動産の売却価額)なので
4,000万-(200万+3,000万)=800万
譲渡損失の額は800万円です。
どのくらい還付できるのか?
譲渡損失があった場合にどのくらい還付できるのでしょうか?マイホームを買い換えたときを例として、確認しましょう。平成27にある人がマイホームを買い換えたときに、譲渡損失をだしてしまったとします。
売主の給与毎年の所得が1,000万円で住民税が40万円、源泉所得税額が40万円のとき、どのくらいの還付を受けられるのでしょうか?
譲渡損失の額を算出する
まずは譲渡損失の額を知りたいので売却価額-{(取得費-減価償却費)+譲渡費用}でもとめます。売却価額が3,000万円、取得費が6,000万円、減価償却費が1,000万円で譲渡費用が200万円としたとき・・・
3,000万-{(6,000万-1,000万)+200万}=-2,200万
譲渡損失の額は2,200万円
平成27年度の計算
次に損益通算をおこないます。
損益通算では譲渡損失の額と給与所得を足し算します。
譲渡損失額+給与所得なので
-2,200万+1,000万=-1,200万←この1200万円を翌年に使用します。
所得税は非課税で、源泉徴収額の40万円が還付されることになります。
平成28年度の計算
また繰り越し控除として損益通算をおこないます。
1,000万-1,200万=-200万
所得税は非課税で、源泉徴収額の40万円が還付されます。
平成29年度の計算
再び損益通算をおこないます。
1,000万-200万=800万←この800万円が課税譲渡所得額
次に所得控除額を計算します。
所得控除額は収入金額×10%+120万なので
1,000万×10%+120万で220万円
次に所得税額を計算します。
課税譲渡所得額800万と所得控除額220万円を使用します。
(800万-220万)×20%-42万7,500円だから
所得税額は73万2,500円
復興特別所得税は1万5,300円
還付の額は所得税額と復興特別所得税を足したものを源泉徴収額から引くので
73万2,500+1万5,300=74万7,800円
40万-74万7,800=-34万7,800円なので
平成30年度の還付はされません。
損益通算をする為に確定申告を行う3つの方法
所得がある場合と異なり、譲渡損失自体は確定申告する義務はありません。しかし所得税を軽減するためにも是非やったほうがいいでしょう。
確定申告する方法は下記の3つです。
- e-taxを利用する
- 管轄の税務署へいく
- 郵送する
インターネットを利用できる環境があれば、確定申告書作成コーナーを利用することで、パソコン上で確定申告書や申告に必要な書類を作ることができます。なおe-taxというものをつかって書類データの送信までおこなうことができるのですが、登録などが面倒であれば印刷して郵送や直接税務署にもっていってもいいでしょう。
こちら下記の国税庁のページにてあなたの探している管轄の税務署を見つけることができます。郵便番号から調べる方法と住所から調べる方法があります。
まとめ
譲渡損失では特例を利用することによって所得税を節税することが可能になります。売却時に赤字が発生してしまった一方で、給与所得の部分で所得税を節税できることはとても助かります。
譲渡損失の確定申告は義務では無いがゆえに見逃してしまう可能性もなくはないのですが、大切なお金の問題です。
まずは特例が受けられるかどうか、税務署に相談しに行くことをおすすめいたします。
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