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土地を売却した時には譲渡所得にかかる税金があり、この税金を控除できる特別控除がいくつか存在しています。
不動産を売却して得た金額のことを譲渡価額と呼ぶのですが、【譲渡価額】から売り主が不動産を得るためにかけたお金【取得費】と、売却時にかけた費用【譲渡費用】を差し引いたものを譲渡所得と言います。
譲渡所得 = 譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
簡単に言えば、不動産を売却することによって得た純粋な利益のことですね。この譲渡所得の価額は、そのまま課税の額として使われるわけでなく、そこから軽減措置として特別控除でいくらか価額を引くことになります。
納税者としては納税負担の減るプラスな制度で、譲渡所得から特別控除を引くことで課税される金額(課税譲渡所得金額)を算出することができます。
譲渡所得 - 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
その後の計算は本文にて後述いたしますが、まずは譲渡所得の出し方の概要を知っておくことで、これから話す内容がより理解しやすくなると思いますので、先に解説させていただきました。
今回は、マイホームを売却したときの特別控除と収用(国が公共事業目的に土地を使用したいときにその土地の所有者が売却すること)のために売却したときの特別控除を中心にお伝えします。軽減措置の種類とそれぞれの特徴や適用条件を知ることで、土地や建物を売却したらどの特例を受けられるのかを確認しましょう。
よろしければこちら下記の記事も御覧ください。
【関連記事】不動産売却にかかる譲渡所得税の計算方法とその他の税金の知識
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この記事の目次
土地・建物を売却した時の特別控除は7種類ある
不動産を売ることで得たお金から、購入費用や売却費用など諸々の費用を引いた「純利益」のことを譲渡所得といいます。いくつかの特別控除を使うことで課税額の軽減や、場合によっては非課税にすることも可能です。
特別控除は7種類存在し、それは下記のとおりです。
- 収用等によりに土地建物を売ったとき
→5,000万円の特別控除と譲渡所得がなかったものとされる特例
- 居住用財産を譲渡した場合
→3,000万円の特別控除
- 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合
→2,000万円の特別控除
- 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合
→1,500万円の特別控除
- 平成21年および平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合
→1,000万円の特別控除
- 農地保有の合理化などのために土地を売った場合
→800万円の特別控除
- 低未利用土地等を売った場合
→100万円の特別控除
特別控除によって控除できるのは5,000万円が限度で、上記の特例を1から順番に適用できるか確認していくことになります。したがって一番上の5,000万円の特別控除が使えるのであれば、他の特別控除を使用することはありません。以降より各特例について説明させていただきます。
1:収用等により土地建物を売ったときの特例
収用とは、国や地方公共団体が公共事業など公益のために、土地の所有者に対価を支払った上で所有権をもらうことで、そのときに利用できるのがこの特例です。
所有者の意思ではなく、国側の都合で生まれた、ある意味恵まれた特別控除制度ですね。
この収用等により土地建物を売ったときの特例には下記の2つがあります。
- 譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除を差し引く特例
- 対価保証金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例
参考-国税庁- No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例
最高5,000万円までの特別控除を差し引く特例
収用等により土地建物を売ったときの特例の一つ目です。不動産売却による所得=譲渡所得から5,000万円を減らすことができる特例で、下記の要件をすべて満たすことで適用が可能になります。
- 売却不動産(土地や建物)が固定資産であること
- 買い取りなどの申し出から6ヶ月が過ぎるまでに売却していること
- 公共事業の施工者から買い取りの申し出を受けた最初の人物が譲渡していること
- 特例を受けたい年に、公共事業を理由に売った資産のすべてについて、収用などで代替資産を得た場合の特例を受けていないこと
参考-国税庁- No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例
5000万円の特別控除を受けるために必要なもの
譲渡所得に関して納税する場合、確定申告が必要ですが、確定申告書と公共事業用資産の買い取り等の申出証明書、買取り等の証明書などの書類を提出することになります。
対価で土地建物を買い換えたとき譲渡がなかったものとする特例
土地や建物を売却したときに得たお金で新しく不動産を買い換えたときの特例です。
租税特別措置法第33条の4で規定されていて、売却額と買い換えた住居の金額でどちらが大きいかによって受けられる内容が異なります。
以下より売却で得た価額のことを【譲渡価額】、買い換えた不動産の金額のことを【買換資産額】と表記します。
・買換資産額のほうが譲渡価額より大きい場合(買換資産額>譲渡価額)
その年は譲渡所得がなかったと考えます。ただし、このときに買換資産をいつか売却するときに譲渡所得の税金が課されることになります。
・譲渡価額のほうが買換資産額より大きい場合(買換資産額>譲渡価額)
→【譲渡価額と買換資産額の差額】と【買換資産額に20%(一定のケースでは25%もしくは30%)をかけた数値】の合計額を収入額と考え、譲渡所得の算出をします。
譲渡価額のほうが買換資産額より大きい場合の譲渡所得額の計算方法
譲渡所得の計算をする場合、収入金額と必要経費を算出する必要があります。
収入金額について
収入金額は下記の①、②の合計額です
譲渡価額-買換資産額・・・①
買換資産額×20%・・・②
①と②の合計額をAとします。
①+②=A
必要経費について
必要経費は下記③、④を掛け算した数値です。
譲渡資産取得費+譲渡費用・・・③
収入金額+譲渡価額・・・④
③と④の乗算の結果をBとします。
③×④=B
譲渡所得額を算出する
収入金額から必要経費を差し引いたものが譲渡所得額です。
A-B=譲渡所得額
実際の計算例
ある人が土地を収用によって売却しました。譲渡価額1億円、買換資産額5000万、買換資産取得費8000万、譲渡費用1000万としたとき、譲渡所得額はいくらになるでしょうか。
収入金額をもとめる
譲渡価額-買換資産額=①なので
1億-5000万=5000万・・・①
買換資産額×20%=②なので
5000万×20%=1000万・・・②
①+②=収入金額なので
1000万+5000万=6000万
収入金額は6000万・・・A
必要経費をもとめる
譲渡資産取得費+譲渡費用なので
8000万+1000万=9000万
9000万・・・③
収入金額÷譲渡価額なので
6000万÷1億=0.6
0.6・・・④
③×④=必要経費なので
9000万×0.6=5400万
必要経費は5400万・・・B
譲渡所得額をもとめる
A-B=譲渡所得額なので
6000万-5400万=600万
譲渡所得額は600万円です。
この特例を受ける場合下記の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 収用などで売却があった日から2年以内に代替資産を取得すること
- 売却不動産が固定資産でなければならない
- 代わりに買った資産が売却不動産と同種のものであること(土地を売却したなら土地が代替の資産であること)
2:マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除について
【居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除】
租税特別措置法第35条に規定されたもので、居住用財産とは、売却主が住んでいる建物のことです。居住のために使用していた土地や建物を売却した場合、3,000万円の特別控除を受けることができます。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除を受けるための必要条件
- 自身の家屋を売却するか、家屋とその敷地、借地権を売却すること。現在住んでいない不動産の場合、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却する必要がある
- 売却した家屋およびその敷地は、収用等の場合の特別控除などの特例を受けていない
- 災害で損壊してしまった家屋はその敷地に住まなくなって3年目の12月31日までに売却しなくてはならない
- 同特例を売却した年の前年と前々年に受けていないこと
- マイホームの買い換えもしくは交換の特例またはマイホームの譲渡損失についての損益通算および繰り越し控除の特例を受けていないこと
一見、土地だけ売った場合は3,000万円の特別控除が受けられないようにみえますが、下記の条件を満たせば、この3,000万円の特別控除を受けられます。
- 土地の譲渡契約が、居住用建物を処分してから1年以内に結び、住まなくなって3年目の12月31日までに売却すること
- 居住用建物を処分してから譲渡契約を結んだ日まで、居住以外につかっていないこと
3000万円の特別控除の手続きに必要なもの
譲渡所得は確定申告をおこなう必要があるのですが、この3,000万円の特別控除を受けるためには確定申告書と譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)を提出することになります。なお、売買契約日の前日の時点において、売り主の住民票住所と不動産の所在地が異なる場合において、必要な書類は下記の書類です。
- 削除された戸籍の附票の写し
- 戸籍の附票の写し
- 売り主が対象不動産を居住用に用いたことを証明できるような書類
所有期間が5年を越えている場合に軽減税率の特例が受けられる
【優良住宅造成等の譲渡にために土地等を譲渡した場合の軽減税率等の特例】
5年を超過して対象の土地を所有している場合、この特例を受けることができるようになります。(平成31年12月31日まで)
特例の対象となる譲渡の例
以下がこの特例を受けられる譲渡の例です。
※対象となる事業について、国土交通大臣の証明を受ける必要があります。審査基準はこちら【PDF】
- 一定の優良な建築物の建築事業(500m2以上の敷地に、建築面積150m2以上の1の建物を建築する事業)を行う者に対する譲渡(租税特別措置法第31条の2第2項第11号)
※対象となる事業について、造成開始前に、都道府県知事又は市区町村の認定を受ける必要があります。
- 開発許可を受けて住宅建設の用に供される1,000m2以上(三大都市圏の市街化区域においては500m2以上)の宅地造成事業を行う者に対する譲渡(租税特別措置法第31条の2第2項第13号)
- 開発許可を要しない住宅建設の用に供される宅地造成事業を行う者に対する譲渡(租税特別措置法第31条の2第2項第14号)
詳細は、国土交通省不動産市場整備課又は自治体にお問い合わせください。
- 優良住宅認定を受けて、25戸以上の一団の住宅建設事業又は15戸以上若しくは床面積1,000m2以上のマンション建設事業を行う者に対する土地の譲渡(租税特別措置法第13条の2第2項第15号)
※当該軽減税率は、下記の(3.)特別控除及び特定の事業用資産の買換え特例等と重複適用することはできません。
所得税 | 項目 | 通常 | 軽減税率 | |
長期譲渡所得 | 15% | 2,000万円まで | 10% | |
短期譲渡所得 | 30% | 2,000万円を越える | 15% | |
住民税 | 長期譲渡所得 | 5% | 2,000万円まで | 4% |
短期譲渡所得 | 9% | 2,000万円を越える | 5% |
10年以上所有していると軽減税率の特例が受けられる
こちらも居住用の土地や建物を売却した場合に使用できるもので、本来より低い税率で譲渡所得額を算出することができます。3,000万円の特別控除と併用することができ、一方で前述の5,000万円の特別控除とは併用できません。
この特例を受けるための要件は、居住用の建物かつ売却した年の1月1日時点で対象資産の所有期間が10年を超過している必要があります。下の表がこの特例における所得税と住民税の税率です。
本来の税率とこちらの軽減税率を比べてみましょう
所得税 | 項目 | 通常 | 軽減税率 | |
長期譲渡所得 | 15% | 6,000万円まで | 10% | |
短期譲渡所得 | 30% | 6,000万円を越える | 15% | |
住民税 | 長期譲渡所得 | 5% | 6,000万円まで | 4% |
短期譲渡所得 | 9% | 6,000万円を越える | 5% |
- マイホームを売った場合には譲渡所得から3,000万円までを控除できる
- この特例の適用は確定申告で行う
- 10年以上所有した場合の軽減税率は、3000万円の特例と併用可能
3:都市開発の事業のために売った場合の2,000万円の特別控除
【特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除】
特定土地区画整理事業とは都市を対象にした街づくりの活性化を目的とした事業のことで、この事業のために土地を売却した場合に2000万円の特別控除ができるというものです。(租税特別措置法第65条の3)
参考-国税庁-第65条の3《特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除》関係
4:住宅や宅地の造成のために売った場合の1,500万円の特別控除
【特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除】
特定住宅地造成事業とは、地方公共団体や独立行政法人などが住宅の建築または宅地の造成(=新たにつくること)をする事業のことです。この特例は、特定住宅地造成事業により土地を売却したときに1500万の特別控除を受けられるというものです。(租税特別措置法第65条の4)
参考-国税庁-第65条の4《特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除》関係
5:特定の時期に取得した土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除
【平成21年、22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除】
土地および土地の上に存する権利を平成21年に取得した場合は平成27年以降に譲渡し、平成22年に取得した場合は平成28年以降に譲渡したときに、土地および土地の上に存する権利に関係する譲渡所得の金額より1,000万円分控除することができるという特例です。(租税特別措置法第35条の2)
特例を受けるための要件
この特例を適用させるための5つの要件があります。
- 土地や土地の上に存する権利は、平成21年に取得した場合は平成27年以降に譲渡し、平成22年に取得した場合は平成28年以降に譲渡する必要がある。
- 平成21年1月1日から平成年12月31日までの間で土地と土地の上に存する権利を取得すること
- 特別な間柄(夫婦など)から取得した土地、土地の上に存する権利ではない
- 贈与、交換、相続、遺贈などにより得た土地、土地の上に存する権利ではない
- 譲渡した土地、土地の上に存する権利について、ほかの譲渡所得の特例を受けていない
リンク-国税庁- 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
6:農地に関する土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
【農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例】
こちらは農地の売却に関する特例です。農用地利用集積計画や農業委員会の斡旋により、農用地区の農地を売った場合に、800万円の特別控除が受けられます。
7:低未利用土地等を売った場合の100万円の特別控除の特例
令和2年7月1日から令和4年12月31日までの間に、個人が都市計画地域内にある未定利用土地を500万円いかで売った場合は、100万円の控除が受けられます。
また、譲渡所得が100万円に満たないケースでは、譲渡取得の金額すべてが控除の対象です。
譲渡所得の税額はどのように算出するのか
今回は特別控除をメインに触れてきましたが、特別控除というのは譲渡所得税の価額を算出するための一要素に過ぎません。そこで譲渡所得に課される税金の算出の流れを見ていきましょう。
譲渡所得税額の算出の流れ
算出するまでにどのような計算からしていくのか、その流れが下記のようになります。
①譲渡所得額の算出→②課税所得金額の算出→③税率の算出→④譲渡所得税額の算出
①譲渡所得を算出する
譲渡価額-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得額
まずは譲渡価額(売却することで入ってきたお金)から取得費と譲渡費用を引いたものが譲渡所得額と言われます。
②課税譲渡所得金額を算出する
譲渡所得額-特別控除額=課税譲渡所得金額
①で出した譲渡所得額から特別控除額を引きますと、課税譲渡所得位金額を算出できます。
③税率を算出する
所得税率+住民税率=税率
所得税と住民税の税率を足すことで税率を出すことができます。税率は対象の不動産の所有期間により変わり、5年以下であれば短期譲渡所得と言い、5年を超過する場合は長期譲渡所得と言います。
所有期間に対する種別 | 所得税の税率 | 住民税の税率 |
短期譲渡所得(不動産の所有期間5年以下) | 30% | 9% |
長期譲渡所得(不動産の所有期間5年を越える) | 15% | 5% |
④譲渡所得の税額を算出する
課税譲渡所得金額×税率=譲渡所得の税額
②の課税譲渡所得金額と③の税率を掛け算することで、譲渡所得の税額を出すことができます。
まとめ
土地も建物も一般に高価なものですので、それに対する税額は大きなものになるでしょう。
しかし見ていただきましたように、特別控除が用意されているので非課税になることも多いです。無駄に多くの税金を払わないためにもこのような制度でしっかりと使いましょう。
不動産売却に関連するこちら下記の記事も是非御覧ください。
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