今、不動産業界で騒がれている「2022年問題」。この2022年問題というフレーズはニュースなどでも聞いたことがあるかもしれません。一体この2022年問題とはどんなことを指すのでしょうか?この2022年問題では誰が損をして誰が得をするのでしょうか。また、2022年問題に備えて今からできる準備としてはどのようなことがあるのでしょうか?今回は2022年問題について掘り下げてご紹介していきます。

2022年問題とは

まず2022年問題とはどのような問題なのでしょうか。この2022年は、これまで政府が延長してきた「生産緑地制度」の期限が切れるという問題が起こる年なのです。生産緑地制度の期限が切れることにより、不動産業界の「需要」と「供給」のバランスが崩れ、不動産の価格が下落するのではないか?とさまざまなところで懸念の声が上がっています。

2022年問題とは

2022年に起こること…

  • 生産緑地制度の延長期限が切れる
  • 需要と供給バランスが崩れ不動産価格が下落する可能性

生産緑地制度とは

この2022年に延長期限が切れる「生産緑地制度」とはどのような制度なのでしょうか。この生産緑地制度は「緑地」を守る制度で、下記のような優遇や制限があります。

  • 土地の固定資産税は農地並みに軽減
  • 相続税の納税猶予
  • 生産緑地の指定を受けると建築物を建てるなどの行為が制限

生産緑地制度とは

まず、この生産緑地制度の一番の大きなポイントは、生産緑地を持っている方に対しての「税金面」での優遇です。この生産緑地制度により、土地の固定資産税は農地並みに軽減されています。また、相続税に関しても納税猶予を受けることができます。この生産緑地制度は緑地を守るための制度なので、緑地を守るために税金面での優遇を受けることができ、逆に緑地に建築物を建てるなどの行為は制限されています。

2022年問題を疑問視する声も

2022年に生産緑地制度の期限が切れることにより、これまでこの制度により税金面で優遇を受けていたり、建築物を建てる行為が制限をされていたりした人たちの状況が変わることになります。税金が高くなり建築物の制限がなくなることで、生産緑地に不動産が一斉に建てられて、需要と供給のバランスが崩れ、不動産の価値が下がるのではないかという懸念こそが、「2022年問題」と呼ばれる所以なのです。

しかし、「この2022年問題はそもそも本当に起こるのか?」と疑問視する声もあります。

生産緑地は収益物件に適さない

まず生産緑地はたいていの場合、駅から離れた場所にあるため、そのような場所は収益物件に適さないのでは?との声があります。生産緑地であった場所はあまり需要がないので、建物を建てても人が集まる見通しが立てられず、結果として生産緑地に一斉に不動産を建てるということ自体が起こらないのでは?と疑問視されています。そうなれば、需要と供給のバランスが崩れ、不動産の価値が下落するということも起こりません。

銀行が融資してくれない可能性がある

また、そのような需要が見込めないロケーションなら、例えば「以前生産緑地だった土地にアパートを建設する」などと言っても銀行が融資をしてくれない可能性があります。銀行の融資を受けることができなければ、生産緑地に賃貸アパートや戸建て住宅を建てることもできませんので、心配されている需要と供給のバランスが崩れるという問題も発生しません。

2022年問題が疑問視される理由

  • 生産緑地は収益物件として適さない
  • 銀行が融資してくれない可能性がある

2022年問題が疑問視される理由

2022年問題で得をする人・損をする人

では、仮にこの2022年問題が実際に起こった場合、この2022年問題で「得をする」という人はいるのでしょうか?逆に「損をする」人とはどのような人なのでしょうか?

まず2022年問題により、どのようなことが起こるかというと、例えばファミリー向けの賃貸住宅(駐車場付)は増えると予想されます。

先ほどもご紹介したように、これまで生産緑地だった場所は駅から離れた場所にあります。そのような場所に住む人はどのような人かと考えたとき、駅から離れているのでまず「車を使う層」、そしてある程度の広さの家が必要な「ファミリー層」が考えられます。

今後、生産緑地を改良し、そのような層をターゲットとした「ファミリー向けの賃貸住宅(駐車場付)が増えることは考えられます。したがって、そのような物件を探している層にとっては、2022年問題によって物件数が増え、相対的に価格も抑えられるので、「得」をすると見ることができるでしょう。

また、郊外に「安い新築」は増えていきますので、「これから郊外に新築を…」と考えている層にとっても、不動産の価値は下がる可能性があるので「得」になります。

一方、上記のような郊外の不動産をすでに所有しているオーナーにとっては「損」になるという見方ができるでしょう。安い新築が郊外に増えますので、中古物件は値下げをしなければ目に止まらなくなるかもしれません。大きな付加価値を付けなければ、購入者は新しくてきれいな割に安い新築に流れていってしまいます。

この2022年問題で一番影響があるのは、そのような生産緑地の近辺に不動産を所有しているオーナーといえます。郊外に不動産を持つオーナーは、2022年問題に向けて対策をしなければなりません。

生産緑地の期限が切れることによる影響

  • ファミリー向け賃貸住宅(駐車場付)が増える
  • 安い新築住宅が増える
  • 郊外に不動産を所有している人にとってはリスクに

生産緑地の期限が切れることによる影響

2022年問題に備えて今できること

2022年問題に備えて今できることとしては、どのようなことがあるのでしょうか。これから購入する側、すでに不動産を所有している側、それぞれの立場でご紹介します。

購入を考えている人

まず不動産の購入を考えている人、特に郊外での購入を考えている人にとっては、2022年まで長期的に不動産価格の推移をチェックしておきましょう。2022年問題ももちろんそうですが、その前には消費税の増税や東京オリンピックなど、不動産価格に変動を与える可能性のあるイベントが多くあります。

また、逆に郊外ではなく駅近などの不動産の購入を考えているのであれば、この2022年問題が直接の要因となって不動産の価格が大きく変動することは考えにくいでしょう。駅近の物件の価格に対しては「大きな影響はない」と考えられます。

不動産を所有している人

一方、郊外に不動産を所有している人にとって、この2022年問題による「負」の影響は大いに考えられます。特に、郊外に賃貸住宅を持っているオーナーにとって、生産緑地が新築の戸建てや賃貸住宅になり、安い価格帯で建ち並んでしまうと、新規の入居者を獲得することが難しくなります。

郊外に賃貸住宅を所有しているオーナーは、2022年に生産緑地制度が期限切れを迎える前に、資産価値を高めるための修繕を行っておくこと、場合によっては今のうちに「売却」することなども検討しておいたほうがよいかもしれません。

2020年問題に向けて

まとめ

生産緑地に建物が一斉に増えるのではないかと懸念される2022年問題。「実際にはあまり建物は増えないのでは?」と疑問視する声もあります。

しかし、もし本当に建物が増えれば、郊外で不動産の購入を考えている人にとっては安く購入するチャンスになり、逆に郊外に賃貸物件を所有しているオーナーにとっては厳しい時期となります。今後の不動産市場の動向をしっかりと確認しながら、資産価値を高めるための修繕や、必要であれば売却などの対処を検討するのがよさそうです。